【インド】スピティ谷・プライベートタクシーでカザ周辺1日観光

この記事では2019年7月インド北部のマナリ(バシスト村)から行った秘境スピティ谷への小旅行を紹介しています。全部で6ページのうちの4ページ目、プライベートタクシーでカザ周辺1日観光を紹介しています。

 

カザでプライベートタクシー手配

 

マナリから2泊3日の急ぎ足でスピティ谷観光にやってきました。2泊3日といっても初日と最終日は移動なのでスピティ谷を観光できる日はたったの1日です。(時間だけはたっぷりあったのに、なんでこんなキツキツの旅程を組んだのか謎)

スピティ谷の中心地カザをGoogleマップで見る(バス停にピンを立てました)

限られた時間で効率よく観光しようと、カザの旅行会社でプライベートタクシーをチャーターすることにしました。最初はレンタルバイクも候補にしたんですが、バイクの数が少ない上に(訪問時は)いまいち状態のいいものが見つからなかったんで諦めました。

 

スピティ谷はデリケートな問題を含んだ国境に近いため、場所によっては入境許可証(訪問した2019年7月時点で取得は容易)が必要になる所もありますが、宿泊したカザを含め今回巡った場所は全部「入境許可証不要」でした。

 

観光予定日の前日夕方、オールドカザのバス停向かいにあるこちらの建物の2階の旅行会社でプライベートタクシーを手配しました。「スピティ谷は初めてだからおススメの観光名所を巡りたい」とお願いしたら「じゃあここと、ここと、あとここも見ないとね」と「はじめてのスピティ谷・カザ周辺を巡る1日観光」みたいなコースを組んでくれました。

料金は朝から夕方までのプライベートタクシーで旅行会社1000ルピー+ドライバーさん2500ルピーでした。(インドにしてはなかなかの高値!)

本当ならいろいろ下調べしたかったんですが、前回の記事でも書いたとおり訪問時のカザではジオ以外の通信が使えナなかったので情報収集が一切でき~ず。

 

スピティ谷・プライベートタクシーでカザ周辺1日観光

2019年7月12日

観光当日の朝です。昨日予約した旅行会社に向かいます。もうすぐ8時なのにまだ人がほとんど歩いていないカザの朝。朝ごはんを食べようと少し早めに宿を出たはいいけど、ほとんどの食堂はまだ閉まってました。他のインドの町ならもう普通に賑わっている時間なのになぁ。カザは全体的に朝が遅いです。そして夜も早い。

 

そんな中、昨日夕食を食べた食堂のシャッターが薄っすらと開いていて中を覗いて女将さんに「もういい?」と聞くとOKだったので、トゥクパ(チベット風うどん)とチーズトマトオムレツをいただきました。

 

オールドカザのバス停横です。ここだけは局地的に賑わっていました。これからシムラーやマナリなどへ向かう車がズラリ。

 

予約した旅行会社に行くとドライバーさんが待ってました。きょう一日お世話になる車です(この画像は別の場所で観光途中に撮りました)。ドライバーさんはチベット仏教徒の男性でした。

 

出発早々どんどん標高を上げていきます。

 

スピティ谷は標高が高くて空気中に余計な不純物も少ないからか、広がる景色の色彩が鮮やかで絵画みたい。

 

凄い・・・あんな荒野に家がある。カッコいいなぁ。どこにいっても見られない、ここだけの景色だと思う。

ドライバーさんに「ここと、あそこと、あれも行くけど他にリクエストある?夕方までに帰って来ればいいんだから行きたいところがあれば言って」と聞かれましたが、スピティ谷の見どころがわからなかったので「おまかせ」でお願いすることにしました。

 

ランザ大仏(Langza Buddha Statue)

最初に訪れたのは雪を被った山々を望むランザ村です。荒々しい茶色の世界にオアシスのようなランザ村が見えたときは感動したなぁ。フランスみたいに「最も美しい村」リストみたいのがインドにあったら選出されそう。そういうのインドにもあるかな?

 

どれ、標高でも確認しますかね。4153m。

 

ランザ村のみどころは美しい景観、そしてスピティの荒涼とした大地に鎮座する大仏です。ドライバーさんが(さぁどうだ!スピティにはこんな凄い大仏があるんだぞ)と言わんばかりの笑みを浮かべていました(早いハナシがドヤ顔)。

ランザ大仏をGoogleマップで見る

 

新しく建立されたのか、たまたまお色直ししていたのかは不明ですが、なにやら足場が作られてカラフルに色を塗っている最中でした。作業中の人たちと比べてもかなり大きな大仏だということがわかります。ミャンマーの人が見たら喜びそうだなぁ。

 

近くにマニアの喜びそうななかなかの鄙び系お茶屋さんがありました。
 

高山植物がそよそよと風に揺れています。

 

「こういう所に泊ってみたい」と多くの人が思うのか絶妙なタイミングでホームスティの案内が・・・。書かれている案内を見るとなかなか良さげ。(実際に部屋を見せてもらわないとわからないけど)

 

私達が大仏のまわりをウロウロしていると、集落の方から競歩クラスの急ぎ足で欧米風の男の子が寄ってきて「コミックに行くなら乗せて欲しい」と言ってきました。ドライバーさんによるとコミック村は丁度次の目的地だったんでもちろんOK。

 

スピティやヌブラのような公共交通機関の少ないインド北部の僻地では、一般車への乗り合いがごくごく普通に行われていました。助け合いの精神で運賃のやり取りはありませんでした。実際に私達もヌブラでは通りがかった車に何度か乗せていただきました。

同乗した男の子(高校生くらいかな?)はイスラエルからお母さんと妹と3人でもう半年近くもインドを旅してるとのこと。コミック村ではお母さん達が待ってるらしい。「半年インドを回ってるけどこのスピティが一番好き!」と、いかにスピティが素晴らしいかを私達に教えてくれて、地元を褒められたドライバーさんは「うんうん」とご機嫌でした。

 

コミック村(KOMIC Villag)

コミック村に着きました。ここは世界で最も高い標高にある自動車道の通る村とのことです。イスラエルの子のお母さんと妹さんは食堂の外で待ってました。

コミック村をGoogleマップで見る

コミック村はそれほど民家は多くないようで、乾いた山肌にポツリポツリと家々が点在しているのが見えます。段々に造られた田畑の淡い緑がとても美しいです。

 

観光客が集中するのがこの食堂のある高台で、ここには二つのチベット仏教寺院施設がありどちらも見学可能でした。

 

ところが赤茶色の寺院の方は扉が施錠されていて見学できず。

 

近くを見回すと今まさに車に乗り込んでどこかに出かけようとする男性の姿があり、(たぶんあの人は寺院関係者だ)と駆け寄ってみると「いま鍵開けるからついてきて」と、無事見学できました。

 

広いお部屋。勤行する場所なのかなぁ。

 

かなり古そうな像がありました。チベット仏教にはまったく疎いのでどういう像なのかはまったくわかりませんが、お布施や敬意の印のカター(白い布)が掛けてあったので、なにかご利益ありそう。

 

おっ?天井からぶら下がるユキヒョウ。最初ぬいぐるみかと思ったけれど微妙な崩れ個所を見るとたぶんホンモノの剥製だと思う。古くなった剥製ってよくこうなってる。

 

謎の小さな入口がありました。なぬ!?女性はこの先に入れないんだ。ということで、ここから先は三昧だけ見学。内部は暗く外からはよく見えません。

 

その入口の上に書かれていた馬に乗った男の人。・・・誰?

寺院を出るとき靴を履いて立ち上がる際、急にフラッと立ち眩みがしました。もしかしたら高度の影響だったかも?

 

チベットは今年2145年だったのかな?

 

ヒッキム郵便局(Hikkim Post Office)

またかわいい村が見えて来た。

 

次にやって来たのは世界で一番高所にある郵便局で有名なヒッキム村です。

 

村から一段高い場所が外来用の駐車スペースとなっているようで、観光客はそこから郵便局まで少しだけ歩きます。歩く距離はなんてことないですが、なんせ標高4440mなので行きの下りはいいけれど、帰りの上りがキツかった。

 

ここが世界一高所にあるヒッキム郵便局です。

ヒッキム郵便局をGoogleマップで見る

 

惜しい!あと4mあれば全部4並びだったのに!

 

ヒッキム郵便局は今日一日巡ったカザ周辺の見どころの中でもここがダントツに賑わっていました。局員さんもいるのでここから郵便物を出すことができました。

まずは郵便局の向かいにある売店で絵葉書購入。売店ではチャイも売っていたので、せっかくなので一杯いただきました。

 

次に切手購入。局員さんに送り先(国名)を言うと料金分の切手をステック糊で丁寧に張り付けてくれました。(写ってる男性は三昧じゃないですよ・・・って見ればわかるって?)

 

そして消印スタンプをポンポンと押してくれました。ボールペンも置かれているのでここでメッセージも書けました。

 

今回投函した絵葉書は全部で3枚。全部ちゃんと日本まで届きましたよ。

 

ハガキを投函した後はちょっとだけ集落を散策。といってもほんの数軒だけしか家がないから、すぐに畑に出てしまいます。緑の作物は麦かなぁ?

 

刈り取られた羊の毛がありました。そういえばバシスト村の羊も丸裸にされてたなぁ。この時期はどこも一斉に羊の毛刈りをするのかも。

郵便局から駐車スペースまで短い上り坂を歩いて戻ります。これがなかなかのキツさで息切れが凄い。標高4440mってこんなにキツイんだとしみじみ体感。よほどキツそうに見えたのか後ろから来た若いインド人兄ちゃんたちが「頑張れ頑張れ」と後ろから体を押してくれました(^^;)

 

村の人が下から水の入った重そうなタンクを持ってきました。息切れひとつない。凄いなー。

 

キーゴンパ(Kee Monastery)

キー地区にあるチベット仏教施設「キーゴンパ」です。スピティの荒涼とした山肌に張り付くように建つこの光景を、訪問前にネットなどで何度か目にしていて「ここはぜひ行ってみたいなぁ」と思っていました。

キーゴンパをGoogleマップで見る

 

ゴンパの上までは車で行けないので途中から徒歩で上ります。看板には標高4116mの文字が・・・キツイ。

 

途中にいた男性が「綺麗な花が咲いてるから撮りなよ」と言うので言われるがままに一枚。このピンクの花、荒涼としたスピティ谷のガレた地にあちこちで花を咲かせていました。

 

ようやく着きました。(ちょっとの距離なのに疲れた)

 

ゴンパは遠くで見ると大きなひとつの建物にも見えましたが、実際に来てみるとお堂や僧院などいくつもの宗教施設が集まった場所でした。

 

下を見ると段々に建物が連なっているのが見えます。

 

ゴンパはひとつの集落みたいな感じですね。

 

さっそく内部を見学。

 

チベット仏教寺院にまったく無知なので(たぶんここが勤行する場所なのかなぁ)とか、漠然と見学するだけになってしまってちょっと勿体なかったです。もっといろいろ勉強してくればよかった。

 

こちらでお茶をいただきました。チベット寺院に来ると必ずといっていいほどお茶をご馳走になります。

僧院の方に「タイ?」と聞かれたので「タイじゃないよ」と言うと「台湾?」と聞かれました。台湾からの観光客は多いと言ってました。「日本からはあまり来ない」そうですよ。

 

ゴンパのお子様たちはランチタイムでした(画像はちょうど食べ終わったところ)。元気なお子達があちこちで美味しそうなマサラの匂いをぷんぷんさせながらカレー食べてました。

 

キーゴンパは高い場所に位置しているので眺めがとてもいいです。

 

なんにも無いように見えた山肌をよく見ると幾筋もの細い道がありました。(洗濯物が干されてます)

 

空を見上げると黒い鳥がたくさん。

 

カラスかと思ったらもっと小さい鳥、これは・・・九官鳥?

 

ゴンパでは新しい建物を建設中でした。次に来たらゴンパはもっと大きくなってそう。

 

キーバ村(Kibber Village)

次の村に向かいます。丁度お昼どきだからか道端でお茶を沸かしてランチするグループがいました。

 

やってきたのはキーバ村です。

 

ここも自動車で来られる世界で一番高所の村らしいです。先に行ったコミック村も自動車で行ける世界で最も高所の村だった・・・まぁこの辺りは全部ひっくるめて世界で一番高所ってことでOKでしょ。これまで巡って来た村の中では少し規模が大きい。

キーバ村をGoogleマップで見る

 

「ランチでも食べてきなはれ」と放流されたのでプラプラ歩いてみることにしました。

 

畑の横に咲いているこの青い花は、昨日スピティ谷に来る途中にもいっぱい咲いてた花と同じかな?よくみたら日本のフウロとよく似てる。

 

少しばかり村内を散策したけれど、ここに来るまでに大小の似たような村を幾つか巡ってきて、なんというか似たような家や景色でそろそろ飽きて来ました。

本当はランチを食べる予定だったんですが、車移動で体も動かしていないからかお腹も空いてなく(それとクネクネ山道でちょっと車酔い気味)、ぷらっと立ち寄ったお店でチャイ休憩しました。

 

お店に貼ってあったこのポスター、ユキヒョウやマヌルネコも載ってる。(もし売り物なら)すぐ帰国できるんだったら欲しかったな。

 

チチャム橋(Chicham Bridge)

ドライバーさんイチオシのすっごいV字渓谷に造った新しい橋「チチャム橋」です。ランザ大仏に続いてドライバーさんドヤ顔第二段の場所です。スピティ谷に住んでいる人たちはトラディショナルな寺院や村々より、こういう最新の建造物とかの方が自慢みたいよ。

チチャム橋をGoogleマップで見る

 

2017年にキーバ村とチチャム村を隔てていた急峻なV字渓谷に造られた地元住民悲願の橋です。この橋が開通したことで移動の利便性が格段に飛躍したと思います。

 

看板にはアジアで一番高所の橋と落書き(?)されていました。標高は約4500mくらいらしいです。

 

「橋の上から下を見ると凄いから歩いてみて」というので対岸まで徒歩で往復してみました。

 

もちろん橋の下を覗きますよ。

 

こっわ・・・。落ちたら回収されないヤツだ。どうやってこんなドン深の渓谷に橋を渡したんだろ?

 

お次は車で渡ります。車の重さで橋が落ちるんじゃないかと相当ビビりました(インドなだけに)。マナリ~スピティの断崖絶壁酷道よりビビった。

橋を渡ったところで次の集落見学にさぁ行こうかという時、三昧が「・・・もういっかな」とポツリ。はい、出ました丸一日観光続けて飽きちゃった病。ドライバーさんが「まだ明るいから他にも行けるよ?」と言ってくれましたが、すっかり口数の減った三昧の様子を見てゆっくり景色を眺めながら帰ることにしました。

 

キー村をカザ方面へ向かう途中、お婆ちゃんを乗せました。なんでも近くの集落でご不幸があったとのことで、そのお宅へお婆ちゃんを送り届けました。故人に手向けるんでしょうか、手にはロウソクが大事そうににぎられていました。

 

お婆ちゃんにもらった素朴なおやつ。米ポンの麦バージョンみたいの。優しい味の美味しいおやつでした。

さらにカザ方面へ下った場所で今度は若いお嬢さん二人組が乗って来ました。このお嬢さん達はカザまで行きます。スピティ谷の携帯はジオしか使えないと教えてもらいました。

 

何も無いガレ場に唐突に設置されたアイベックス(ツノのデカい野生の大型ヤギ)の看板。「あんな看板があるってことはここら辺によく出るの?」と聞くと「めったに出ない」らしい。

 

カザの近くで急峻な崖を見上げるV字渓谷の下の方を通るんですが、その崖上が台地のようになっていて見上げるとゾ(ヤクと牛の交雑種)や牛が放牧されている姿がチラチラと見えるんです。

朝見たときは「あんな崖っぷちで草食べても動物は身体能力高いから落ちないんだー凄いなぁー」なんて思ってたんですが、夕方同じ道を通ったらなんと牛1頭が崖上から滑落したらしく、ヘソ天状態で川の横に転がって死んでいました。(うわぁぁ・・・やっぱ落ちるんだ)

 

楽しみにしていたスピティ谷一日観光は終わりました。

・・・やっぱりダメよ。一日にギュウギュウに詰めた観光は。最初はいいけど途中から観光への集中力が途切れちゃって。一日にせいぜい3個所くらいを数日かけて小出しに巡らなきゃダメだと思いました。

そんなわけで明日は早くもマナリ(バシスト村)に戻ります。

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