【羅臼岳】北方領土が見える山

羅臼岳入山前日は、羅臼岳を歩くにあたっての食品に関するルールやヒグマについて学ぶため、知床自然センターを訪問しました。

特に本州とはまったく違う知床の入山にあたっての注意点など知っておかなければならないことが多く、入山前に立ち寄ってよかったと思います。

ちなみに・・・

知床自然センターでは、クマよけスプレーやフードコンテナの有料レンタルも行っています。どちらも、普段は使わないものだし、買うとなかなかの高値。個人的にはレンタルの方が断然お得だと思います!

そしてその夕方、翌日の偵察も兼ねて羅臼岳登山口でもある、岩尾別温泉へ行ってみることにしました。

 

羅臼岳・岩尾別温泉登山口の登山者用駐車場

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岩尾別登山口には地の涯という温泉宿があり、舗装部分(画像に写っている場所)はこのお宿の駐車場になりますが、はしっこに未舗装部分があって登山客用駐車場となっています。
ただスペースは約5台と登山口にしては、おそろしく停められる台数が少ないです。

さらに登山口方面へ進むと木下小屋という山小屋があり、その前にも約5台ぶんの駐車スペースがあります。それでもやっぱり百名山の登山口駐車場としては、ありえないくらい少ないですね。

じゃあその他多くの車はどうするかといいますと、皆さん路駐をしていました。というか、もう路駐するしかない状況で、とある施設で伺ったのですが、これはもう暗黙の了解のようになっているようです。

 

駐車場横に登山者向けに二つのトイレがある

地の涯の駐車場横には登山者向けに二つのトイレが設置されていました。明るい茶色の方は小林製薬が寄贈したバイオトイレで、綺麗でまったく臭いがありません。ただし大小にかかわらず男性も女性も必ず腰かけて使用しなくてはならないのですが、その便座位置が遠くて、後ろ向きに勢いをつけてお尻を乗せないと届かない感じでした。背の高い人なら難なく座れると思いますが。

もうひとつのトイレは臭いがきつくボットンタイプじゃないかな?と思います。扉を開けた途端のものすごい臭いに怖気づいて利用していないのでわかりませんが。

 

そして時間帯によっては地の涯のトイレも貸していただけます。地の涯では飲料の他、クマスプレーや山バッチも販売していました。

 

せっかくなので地の涯で立ち寄り湯もお邪魔しました。雰囲気ある内湯と、豪快掛け流しの露天風呂がとても良かったです。

この日は登山者用駐車スペースでそのまま車中泊することにしました。最初は車中泊していいのか迷ったのですが、先客の男性が「確認したらいいってよ~」という事で、一晩お邪魔しました。

我家が到着した夕方頃はまだギリギリあと1~2台停められましたが、すぐ満車になってしまいました。

その後も続々と車はやってきて路駐も徐々に車が増えつつあります。とはいえ南北アルプス登山口各所の熾烈な場所取り合戦に比べると、北海道の山はずいぶん平和だなぁと感じました。北海道の皆さんに夏の中房温泉や芦安の凄まじい大混雑ぶりを一度見てほしいなぁ。

 

羅臼岳の朝はめちゃめちゃ早かった

8月19日(日)

まだ周囲は真っ暗な3時半ころ、何やら送迎バスがやってきてワイワイ賑やかに20人位のシルバー層が降りてくるじゃありませんか。そして賑やかに準備体操を始め、そして元気よく歩き始めていきました。どうやらどこかのツアー会社の団体さんのようですが、それにしても3時半って早すぎやしませんか?3時半に登山口にいるって事はいったい何時に起きたんだろう??

そんなワケで私達もモソモソと起き、モソモソと準備を始めました。そうこうしているうちに例によって他のハイカーさんも続々と出発して行きます。

周囲が薄明るくなり始めた5時少し前に歩き出します。

 

地の涯の右横を少しだけ進んだ場所にある木下小屋の前が登山口になっていて、ここで入山者名簿を記入します。入山者名簿には氏名、住所などとともに入山時間を記入し、そして下山時にも時刻を記入します。

 

ここにも羅臼岳のヒグマ情報が掲示されていました。

 

まずは神様に入山のご挨拶。・・・と、ここで地図を忘れている事を思い出し、取りに戻ります。駐車場が近くてよかった。

 

5:06では、あらためて出発!しばらくは薄暗い樹林帯を進みます。関東界隈じゃ、この手の樹林帯はジメジメ蒸し暑く体力を奪われる場所ですが、北海道の知床では湿度もそれほど高くなく、気温が低いので快適ですね~。

5:37オホーツク展望です。まだ標高も低く、肝心のオホーツク海は樹木の間からチラリと見える程度でした。

ヒグマ目撃の多い560m岩峰と650m岩峰

そして問題のヒグマが蟻を食べにくる560m岩峰と650m岩峰を通過。念のため手を叩きながら通過。昨日ビジターセンターで借りたクマスプレーがあったので安心感がありましたよ。

幸いにもヒグマには会わず、そのかわりかわいいエゾリスが目の前を横切りました。

 

弥三吉水は要煮沸

6:19弥三吉水です。冷たくきれいな水が絶え間なく流水しています。ここで顔を洗ったらスッキリして気持ちよかった~。高原地図には要煮沸と書いてありますが、これは北海道ならではのエキノコックスを心配してのことでしょうか?

ここから登山道を少し進むとタマゴ臭がプンプン漂う場所がありました。もしかしたら温泉でも湧いているのかも?

 

羅臼岳の携帯トイレブース


 

7:13携帯トイレブースです。大小それぞれの便器に携帯トイレをセットして利用し、下山後に回収ボックスに入れる流れです。

 

樹林帯の足元には、白い花が咲いていました。本州でも見られる植物なのかもしれませんが、北海道で見ると何か特別な植物に見えてしまう不思議。

 

大沢入口・ここからいよいよ羅臼岳がおもしろくなります

7:28大沢入口。羅臼岳が楽しくなるのは、ここからです。

 

それまでは鬱蒼とした樹林帯でしたが、ここからパッと明るくなり、背後にオホーツク海を望めるようになります。標高をあげるとますます視界は広がり、樹海の向こうに知床五湖も見えました。

 


 

高山植物も増え始めました。何度も足を止めて写真を撮ったり、後ろを振り返って景色を眺めたり。

 


 

花のピークは過ぎてしまった感はありますが、これはこれで満足です。

 

残雪はほんの少しだけ。

 

ハイマツの登山道を進むと・・・

 

どこまでもハイマツの海が広がる羅臼平

広々とした羅臼平に出ました。

 

周囲はハイマツの海です。ガスも出て、北アルプスならライチョウが出てきそうな雰囲気です。

 

ヒグマ除けのフードロッカー

ここにはテント泊時にヒグマを寄せ付けないためのフードロッカーが設置されていました。

 

内部はこんな具合。ヒグマが悪戯しても大丈夫なためか、かなり頑丈な造りです。

 

テントはフードロッカーから100m離して張るのがルールのようですが、整地具合といい石の置きっぷりといい、この木下弥三吉翁レリーフがテン場なんでしょーか??でも100m離れていない気もするから違うかな?

このハイマツ帯から急に風が強くなり寒くなりました。

 

そしてオホーツク海の反対側にも海が見え始め、時々抜けるガスの合間には、

 

北方領土の国後島です。国後島って、こんなに近くにあったんですね。

 

途中にあった岩清水。

 

ろ過にろ過を重ねた美しい清水があちこちから滴り落ちていました。ここから山頂までは、あと少し!

 

山頂直下は大きな岩が積み重なった上を進みます。こういう岩場を歩く時はいつも「身長があと10センチ高ければ楽なのにな~」と思ってしまうのは私だけ?

この少し手前で早朝に登山口を出発した団体さんを追い越しました。団体さんはクラブツーリズムの皆さんでした。このクラブツーリズム、最近どこに行っても出くわす率が高いです。しかもいつも大団体で、よっぽど人気があるに違いない。相当儲かってんな~。

 

羅臼岳山頂到着!

8:58羅臼岳山頂です!ガスで真っ白けっけで何も眺望がありませーーん。山頂部は狭い岩場で、順番に記念撮影をしました。

 

山頂は風がビュンビュン吹いて立っていられない時もあります。それに寒くて、寒くて。前回歩いた十勝岳の山頂も風が強くて寒かったな~~っっ。北海道の山っていつもこうなの!?

そうこうしているうちに狭い山頂には、さきほどの団体さんも到着し満員御礼。これはとっとと撤収するしかありません。すれ違いの時にクラブツーリズムのガイドさんが「いつもはもっと風が強いですよ」なんて話しているのが聞こえて(ひょええーーっっ!いつもはもっと風が強いのぉぉぉ!?)とビビッてしまった。

 

9:03逃げるように下山開始です。これまでの山頂滞在最短時間更新か!?ってくらいの慌ただしい下山です。

 

ハイマツ原まで戻ってきました。ここまで来れば風もだいぶおさまってちょっと一安心です(まだ寒いですが)。

 

帰りは花々とオホーツク海を眺めながらのんびり歩きます。

 

ここは例のヒグマ遭遇率が高い岩峰あたりですが、まだ薄暗かった朝とはうってかわって登山道には明るく陽が当たり、足元を見ると確かにアリがウジャウジャいます。しかし、こんな小さなアリをあの大きなクマが食べるって・・・どんだけ食べたら満足するんだろう??

12:19登山口まで戻ってきました。

すると・・・

 

こんなメッセージが。

さらに歩くと・・・

 

うむ、なかなかの誘導電波っぷりですな。

 

さて、いつもならこの後はお楽しみの温泉で汗流しですが、この日はまだ続きがあります。

せっかく知床まで来たことだし、有名観光地のあそこも行ってみますよ。

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