2018年8月29日(水)
今日は利尻富士登山のため、魚河岸並みの早朝・・・というか深夜に起きだし、コソコソと静かに準備開始です。他の皆さんは当然ながらまだ寝ていて、キャンプ場はシィーーーンと静まり返っていました。
3:36真っ暗な中を出発です。利尻富士登山口まで続く真っすぐな道をトボトボと歩きます。綺麗に舗装された一本道ですが、周囲は森に囲まれ真っ暗で、ときどきギャーッなんて夜の鳥も鳴いて不気味さ満点。まったく車通りもありませんが、途中で二台ほど車が通り過ぎていきました。やがて折り返して来たので、おそらくは宿泊施設に泊ったハイカーを登山口まで送迎する車だったんだと思います。
【重要】利尻富士入山前に下山検討の目安を知る
4:10鴛泊コース登山口にあるキャンプ場に着きました。ここでトイレ(清潔です)を済ませ、登山計画書に記入しポストへ。登山計画書には控えがあり、この用紙を下山まで持ってゆきます。
読んでみると、とても大事なことが記されていました。特にコースタイムが長い利尻富士での下山検討の目安は、決して無視できないと思います。打ち込んでみますので、目を通されてみてください。
朝5時に出発して、11時から正午までに頂上に到着する見込みがない場合は、無理せず途中で下山してください。登りで7時間から8時間を要している場合、下山には6時間以上要することが予想され、季節によっては日没を過ぎるのと、体力の消耗で遭難等が発生する可能性が高くなります。
【下山検討の目安】8合目の長官山まで4時間以上かかり、長官山から2時間以上経過しても頂上につかない場合は、その地点で引き返すことをお薦めします。(利尻山登山計画書控えより)
【重要】利尻富士を守るため三つのルール
また利尻富士は、登山者の集中や降雨の影響で登山道の荒廃が進み、たった十数年で登山道が人の背丈以上に掘られてしまったそうです。
↑利尻島の主な施設に掲示されているポスター。実際にこの現場を歩きましたが、その崩れっぷりは凄まじいものがありました。
このため利尻富士を守るため三つのルールが設けられていました。
携帯トイレの使用/ストックはキャップを使用/植生を踏んだり腰を下ろさない
利尻富士・鴛泊コース出発!
4:20出発します!利尻富士では、雑草の種子などを持ち込まないために、この水の上を歩いて足裏についた種や土を落としてから入山します。
しばらくは活き活きとした原生林が見事な樹林帯を進みます。
5:18五合目・雷鳥の道標です。こんな名前がついているということは、雷鳥でもいるんでしょうか??
この辺りから眺めがよくなりました。
5:40六合目・第一見晴台。あそこに見えるのは昨日フェリーで着いた鴛泊の町でしょうか?ここから七合目の間に携帯トイレ用のブースがありました。
5:58七合目・胸突き八丁です。たいていの山はこの名前がついていると、とんでもなく急登だったりするんですが、この利尻富士ではあまり胸突き感はありませんでした。
6:44下山検討の目安となる長官山です。引き返さなくても、なんとか大丈夫そうです。
おおっ?あれが利尻富士の山頂ですか?でも山頂だと思っていたらその先にも、もう一山あったりするパターンが多いから、ぬか喜びは油断禁物ですよ。
横を見ると・・、おおっ!雲海が広がってます。
鴛泊コース避難小屋
この少し先で若い男の子たちのグループとすれ違ったんですが、どう見ても泊まり装備だったので聞くと、ちょっと申し訳なさそうな小さな声で「実は・・小屋に泊りました」と言います。
その言葉通り、登山道の先には山小屋が見えてきました。あの言いっぷりからすると緊急時以外の宿泊禁止なんでしょうか??
登山道の両脇では旬のトリカブトが綺麗に花を咲かせていました。
6:58山小屋です。素朴な木造の山小屋で、子供の頃に山の中で見た作業場的雰囲気もあります。
いろいろな用具も置かれ、登山道整備の詰所にもなっているような気がしました。
山小屋使用上の注意。
新しいの。
うーーん、どこにも緊急以外の宿泊禁止とか書いてないけどなぁ。あの後ろめたさ満載の様子は何だったんだろう?
・・・と思ったら、
山小屋には「身を守るのは事前の知識です」のメッセージと共に、各コースの危険個所ガイドが掲示されていて、その中に「鴛泊・沓形の避難小屋には、トイレ、水などの施設や備品はありません。利用も緊急時に限っていますので、避難小屋泊の登山計画は立てないでください。」と小さく記されていました。なるほど。
その後は爽快な眺めの中を歩きます。
足元にはあちこちに花が咲いていました。
利尻富士登山道・荒廃個所
ここから、例の登山道荒廃箇所が続きます。
日々続く修復は相当大変だろうなぁ・・・と思います。
別の角度から見ると、かなり危うい状態なのがわかります。利尻富士がこういう状況なのを知っていたので、ストックは持ってくるのをやめました。キャップどうのの前にあの細い棒で体重かけて突きまくったら、あのもろい登山道が崩れるのは目に見えてますって。
ここがポスターにあった登山者の集中や降雨の影響で登山道の荒廃が進み、たった十数年で登山道が人の背丈以上に掘られてしまった場所ですね。実際に目の当たりにすると凄すぎて歩くのが申し訳ない気分になります。
利尻富士山頂!
8:10利尻富士山頂に到着しました!山頂の祠には船のスクリューがいくつも奉納されています。航海安全とか、何かそういうご利益が利尻富士にはあるのかもしれないです。
お世話になったフィルイーズ宗谷もありました。
そして松葉杖なども奉納されていました。利尻富士は信仰の山なんですね。
山頂には単独のハイカーさんが数人いらして、みなさん腰を下ろしてオニギリなどをパクついています。山頂での食事、これまで登った北海道4座では見られなかった光景でした。
山頂の先も登山道が続いているように見えましたが、登山道が崩壊し通行止めとなっていました。
山頂からの景色をたっぷりと満喫したので、そろそろ帰ります。
帰路も眼下に広がる海と山の絶景を眺めながらと思ったんですが・・・
ガスが急速にわき上がり、気が付けば辺りは真っ白けっけ。その後もガスは抜けず真っ白な曇りの中を歩いての下山でした。
11:00登山口キャンプ場まで戻ってきました。利尻富士の登山口にも靴洗い場が用意されていました。この靴洗い、ブラシの先から水が出るようになっていて、とても便利です。
靴を洗っている最中、何か視線を感じると思ったら・・・
・・・・・。
そして何をねだるでもなく、ゆっくりと立ち去る猫。あの貫禄からして、この辺のボスでしょうか。
その後キャンプ場の片隅で、猫VSカラス軍団の壮絶バトルが繰り広げられていた事は誰も知らない。