【北海道】獣害史上最大「三毛別ヒグマ事件」の地へ

2018年9月1日(土)

 

道の駅わっかないの朝です。昨晩から強く吹く風はまだ止まず、空は厚い雲がかかっていますが、時々明るい日差しもさすという台風なんかでよくみられる空模様です。気温は17℃で寒くはないです。

 

駐車場を散歩してみると埼玉県内の車が結構多くて、みんな暑くて逃げてきたのかもしれません。そして島へ渡る前から停まっている車中泊がまだ泊まっています。よっぽど道の駅わっかないが気に入ったのか乗っているのはどの車もお爺さんばかり。もしかして住んでいるのかなぁ?

朝食は久々の「すき家」でした。北海道に入ってから滅多にお目にかかることのなくなった貴重な「すき家」が稚内にはありました。

さぁ9月に入って北海道の旅もいよいよ終盤。ここから一気に南下します。ほんの短い間でしたが、よい町でした、稚内。北海道の町でどこが一番気に入ったか聞かれれば、真っ先に稚内と答えるでしょう。

 

寂しげなサロベツ原野、

 

そして迫力のオトンルイ風力発電所を通り過ぎ、

 

南下するごとに青空が見え始め気温も上昇、気が付けば23℃になり「暑い、暑い」を連呼。埼玉では23℃なんて「今日は涼しいね」なのに、1ヶ月近く北海道にいて、すっかり涼しい気温が当たり前になってしまいました。

 

苫前の三毛別羆事件の地へ

 

苫前にさしかかったころ「苫前といえば、三毛別ヒグマ事件で有名なとこだ・・」なんて薄っすら思い出していると、こんな案内が。

 

「24㎞ならそんなに遠くないし行ってみよう」ということに。北海道では24㎞なんて隣近所に回覧板まわしに行く距離です(嘘です、ごめんなさい)。

 

三毛別羆事件とは・・・

まだ北海道が原野広がる開拓時代、三毛別の地で貧しさに耐えながら原野を切り開き懸命に生きていた15戸の集落が、大正14年12月の冬、冬眠を逃した一頭の羆の襲撃により壊滅させられた獣害史上最大の事件のことです。この時の死者7名、重傷者3名。

婦女子ばかりが襲われ妊婦の腹までも食いちぎられたという残忍さ、そして今では想像もつかない粗末な道具で、ひと鍬ひと鍬懸命に開墾をした当時の苦労と重なり、開拓時代の悲話として今も語り継がれています。

この時、鬼鹿に住む熊打ち名人が数日かけ三毛別の地に入り、ついに羆を撃ち取るのですが、この地に伝わる「クマを撃ち取ると嵐になる」という言い伝え通り、空はみるみる暗雲たちこめ吹雪となり、いよいよ木々はなぎ倒され、人々はこれを「羆嵐」と呼んで恐れたそうです。

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その三毛別羆事件のまさにその地に、当時の様子を再現した小屋が建っているというのです。

 

のどかな田園の道をどんどん進みます。

 

途中途中の民家の壁には、なんともほのぼのとしたクマのイラストが描かれています。三毛別羆事件の現場へ続くこの道はベアーロードなんていう名前が付けられていました。事件の恐ろしさに対して、現在のファンシーさときたら温度差100℃くらいでしょうか。

 

ところが現地に近づくにつれどんどん山深くなり、いかにも・・という雰囲気に。

 

三毛別羆事件の地に到着

鬱蒼とした木立の中で、今にもヒグマが出て来そうですが。

 

実際ヒグマ注意の看板も出てましたが、まぁ北海道で100パーセントヒグマに会わない保証はどこにもないんですよね。106年ぶりに利尻島にも海を渡ってっちゃったし。

 

ありました、当時の状況を再現したものが。本当にあんな大きな羆がいたんでしょうか。当の羆は340㎏だったそうですが。この像だと身長57m体重550トンは無いにしても、2トンぐらいはありそうです。まさに「巨体がうなった」わけですね。

 

内部です。当時はこの簡素な小屋で、家族が身を寄せ合って懸命に開墾の日々を生きていたんですね。

舗装された道路もなかった時代、こんな山の奥での開拓は、どれだけ苦労が多かったことでしょうか。過酷な環境の原野の中、唯一安心できる、安全なはずの家の中に大きな羆が飛び込んできた時の絶望たるや。

 

周囲はあまりに鬱蒼と静かで、果てしなく広がる原生林を開墾した先人の苦労も垣間見れる訪問となりました。

 

その後も、海岸で遊んだりしながらずんずん南下。

気が付けば、小樽まで来ました。

 

道の駅スペース・アップルよいちで車中泊

今夜の車中泊は「道の駅スペース・アップルよいちで」でした。すぐ隣はレンガ造りに赤いトンガリ屋根の重厚で大きな建物が何棟も並ぶ(まるで日本離れしたような)ニッカウヰスキーの工場があります。道の駅はできてからだいぶ年数の経ったような古い印象があります。駐車スペースは出入りが多く明るいメインスペースの他に、裏手に進んだ先に第二駐車場があり、そちらは真っ暗で静かでした。というわけで我家は第二駐車場へ。

この道の駅のちょっと困ったことは洗面台がトイレに二つしかないこと。多くの利用者は車の中でブラッシングして洗面台では最後に口をすすぐだけにする気遣いをしているんですが、やっぱり中には洗面台正面に立ちふさがって長々と占拠してショコショコと歯磨きする人もいるんですねぇ。トイレ後の手洗いする人が困ったように後ろをウロウロなんて場面もありました。

石狩、札幌、小樽と通って来たんですが(といっても、かすめただけ)、これまでのような長期旅行者の車や、大きな荷物を積んだバイクにまったく出会わなくなり「この辺りは長期旅行者には人気ないのかなぁ」なんて思ってたんですが、この道の駅だけは局地的に大賑わい!道の駅定番のシルバー層はもちろんのこと、3~40代の若い層もいて「へぇ、人気があるんだな、この道の駅」なんて思ってよくよく考えたら・・あ、そうだ、今日は土曜日だった。車も遠方組はごく少数で、ほとんどが地元の札幌・函館ナンバーでした。

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