2019年5月
朝起きて、窓を開けた。(←流行ってたフレーズ一度使ってみたかった)
(猿か・・・)
おや?前回の記事の「青空トイレ養豚場」とは景色が違うぞ?とおもわれた方、鋭いですね。実はあの部屋は1泊だけして、別の部屋に移動しました。料金割増しでエアコンルームにしたのに、肝心のエアコンが故障しちゃうからさぁ。
到着日から毎日通っている近所の食堂で朝食です。毎日通ってるって言っても三日目だけど、朝昼晩とベビーローテーションのおかげで、ちょっとだけ顔馴染みになりました。
毎回同じ席で、同じ猿にジットリと湿り気のある視線を浴びます。
南インドの朝食の定番「ウプマ」と「イドゥリ」を食べます。
だめだめ、いくら見てもあげないよ。
バーダーミすべてのATMが使えない!(涙目)
朝食の支払いついでに財布の中のルピーをチェック。「うーーん、もうちょっと現金あった方がいいかなぁ」というわけで近くのATMへ。
すると何やらATMに行列ができています。そしてみんな自分の番になると怪訝な顔をしながらすぐにATMを離れるという。
「おやぁ?」と思いつつ私達も並んで順番を待っていると、前の人がこちらに向かって何か一生懸命言ってます。(バリバリの現地語で何言ってるかさっぱりわからん)
自分たちの番になり意気揚々とパネル操作すると、なんと「ATMに現金が入ってないから使えないよ」の表示が!(自分の預金残高が無いということではなく、ATMにお金が無いってことね)「なんだ~、さっきの人はコレが言いたかったんだ」
仕方なく次のATMへ行くと、またも大行列。そしてまたもや現金無しで使用不可。さらに10分ほど歩いて次のATMに行くも、ここももダメ。
どうやらバダミのATMからお金がみーーんな無くなっちゃったみたいですよ。
うーーん、これは困った。バーダーミではほぼカード払いできないし手元に現金が無いのは不便だし不安過ぎる。でも無いものは仕方ない、まぁとりあえず明日、出直そう。
バーダーミのATMが使えなくなって2日目(銀行にもお金ない!)
そして翌日。
午前中にいくつかのATMを回ってみたけど状況は変わらず。この時点で手持ちのルピーがもう安い食堂で一食程度しかありませんでした。
「これはいよいよヤバくなった」
困っていると、やっぱりATMでお金が下せなかったお兄ちゃん達が「インドステイト銀行ならあるかもしれない、これから行くけど一緒に行く?」と、自分達のバイクに私達を乗せて銀行まで連れて行ってくれました。
インドステイト銀行に到着すると、絶妙タイミングで目の前でガラガラガシャーンとシャッターを下ろすじゃありませんか!銀行の人に聞くと「お金が無くなったから閉める」って!
(・・・なんだ、銀行にもお金ないのかぁ)
するとお兄ちゃんが「俺たちはもう帰るけど、ここは11時頃に現金が来るからもう少し待ってみるといいよ」とのことで、ここで親切なお兄ちゃんたちとお別れ。
そしてしばらく待つこと11時・・・結局お金は来ませんでした。
ただ「11時にお金の補充がある」というのはバダミでは鉄板らしく、その時間になると入れ代わり立ち代わり町の人が様子伺いに来てました。
12:30諦めきれず再びインドステイト銀行へ。
相変わらずシャッターが閉まってますが、なぜか銀行の前にはさっきよりも大勢の人が押し寄せています。そして朝はいなかった警察?のような制服に身を包み機関銃を持った人が立っていて「お前たち、ちょっとでも暴れたら撃つぞ」と言わんばかりに睨みをきかせてます。(うわっ、ついに暴動勃発か!?)
実はこの時は全然知らなかったんですが、この銃を持った警備の人がいる時は中で現金の補充をしている(=もうすぐATM使えるよ)合図だったんですね。
そうとは知らずインドステイト銀行でお金を調達することは諦めて、なけなしの現金で昼ごはんを侘しく食べます。見た目だけはボリュームのあるドーサにしました。
そして15時頃、灼熱の日差しの中ダメ元でもう一度ATM行脚へ。ホテル近くのATM2台はあいかわらず「お金ない」表示。
「またダメか~」と諦めたその時、朝からずーっとシャッターが閉められていた旧市街近くのATMがオープンし、なにやら人がワァワァと群がってます。近づいてみるとmasterもvisaも海外ではマニアックなJCBまでも扱うATMが稼働!さらに中から嬉々として現ナマを握りしめた人達が出てきます。
「これはいけそうだ!」と、朝の京浜東北線並みに人でギュウギュウ状態のATMコーナーに突入。
みんなで助け合いながらATM操作
今回利用したバーダーミ旧市街近くのATMは日本人の常識をひっくり返す有様でした。
まず基本的にATMが古すぎて操作に時間がかかる。そしてATM内は通勤ラッシュ時の電車並みに押すな押すなのギュウギュウ詰めで、順番なんかわからなくなる。(でもみんな、自分が何番目かを把握している)
そして、ここからがビックリ現象。
ひとりのカードを皆でよってたかって操作する!
どういう事かといいますと、現金を引き出す本人を順番待ちの人がグルリと取り囲み、みんなでワァワァいいながら一緒にボタンを操作するんですよ。やれ「カードの入れ方が違う」だの、「そこはキャンセルした方がいい」だの、あげくの果てには取り囲む人々の隙間から腕がニュゥっと伸びて来て、勝手にボタン操作までしちゃうんですよ。さらにこの「お節介の輪」に加われない後ろの列の人達は、どうしても参加したいから扇状に身を乗り出してチューチュートレイン状態。
もちろん皆、暗証番号も残高も丸見えですが、そんなのまったく気にする様子もありません。でもやっぱり人様の財布の中身は気になるもんで、残高表示はかなりじっくりと見てましたよ。
この異常事態もこのATMでは日常のようで、全員が同じ状況下でカード操作する形になります。なんというか、本当に田舎の素朴で無邪気な光景です。
で、私達の番ですが結果どうなったかというと、ATMとカードの相性が悪くて引き出せませんでした~~っっ。3回くらいやってダメだったので、みんな一緒になって残念がってくれたり、「どっから来たんだぁ?ダメなカードだな~」みたいに笑ったり。まぁなんとも不思議なATMでしたよ。
その後ダメ元で本日3度目のインドステイト銀行へ。
すると・・おやぁ?なんとATMがオープンしてるじゃないですか!しかも新しい機種が2台も並んでます。さらに先ほどの旧市街と客層が違う・・。(こんな人がバダミにいるの?)って感じのビジネスマン風のビシッとした身なりの人々が静かに整然と並んでいます。
やがて私達の順番に。この時点ではまだ安心は禁物ですよ!操作開始後に「機械にお金が入ってないから受付できませーーん!」なんてパターンが今日一日だけで何度あったことか。すると・・おや?何やらトントン拍子に受付が進みます。
いやいや、まだまだ安心は禁物。この後に機械とカードの相性が悪くてエラーになったことも数知れず。
すると・・おやぁ?何やら機会が現金を数えている音がしますよ。そして・・・
カシャーン!
やったーーーーーッっ!遂に現金を入手できましたぁぁぁぁ!昨日から始まったATM騒動に、ようやく終止符が打たれる時が来たのです!この時の感動!もぅ本気で嬉し泣きしそうになりましたよ。ありがとうインドステイト銀行!
その後、旧市街近くのATMの前を通ったら、相変わらず皆でワイワイお祭り状態でした。
みんなでATM操作をする理由が少しだけわかった
後日再度ATMに行った時、あることに気が付きました。ATMの操作の方法がわからなくて困っているおじさんがいるんです。カードを使う手順は知ってるんですが、どうもタッチ画面の文字が読めないようなんです。そこで一緒に手伝いながら画面操作した後に現金が出て来た時、男性は大喜びでまわりにいた人にも現金を興奮気味に見せていました。
あの旧市街の騒々しいATMは、みんなでワイワイ助け合いながら操作してたんだなぁ。
この地域の人達は、もしかするとあまり豊かではないのかもしれない。でも、とても無邪気で心は豊かな人達なんだと、思いました。
バーダーミ町民憩いの場、貯水池です。
夕暮れになるとここに家族連れやお友達同士、老若男女たくさんの人が集まって来ます。私達もバーダーミ滞在中は夕方になるとほぼ毎日ここで夕涼みをしました。
懐かしい遊びをしてる。
国はまるで違うのに、バーダーミにいるとなんだかすごく遠い昔の、子供の頃の日本に戻ったみたいな気がする。