
2019年9月17日
キルギスの伝統的な鷹狩りを見るため、イシククル湖畔のボコンバエバにやってきました。
鷹狩りといっても見学するのは本格的な狩りではなく、その技術を継承し観光客向けに実演してくれる鷹匠がいるらしいのです。
けれど、どこに行けば鷹匠に会えるかわからず、手っ取り早く宿泊していたゲストハウスに手配してもらいました。

そして当日。ゲストハウスまで鷹匠の方が車で迎えに来てくれました。やって来たのは、まだあどけなさの残る二人の男の子!
聞くと二人は兄弟で、鷹匠の衣装を着た二十歳のお兄ちゃん。そしてまだ見習いの十五歳の弟くん。お爺さんが鷹匠で、お父さんは別の仕事についたものの、孫兄弟の三人で伝統を残そうと引き継いだんだって。弟くんの膝の上には目隠しを被った鷹が大人しくとまっていました。

乗用車の後部座席に乗り込むと、足元には餌に見立てたキツネの毛皮、さらに運転席の下からお尻だけ見える生きたウサギ(!)

真後ろには、狩りを一緒に行うキルギス犬がいました(ん?君はなんでそんなに干し草まみれなんだい?)。キルギス犬は私達が気になるみたいで、頭の臭いをしきりにクンクン。念入りにクンクン。(移動で汗かいたんで臭かったかな?)

キルギス犬に頭の臭いを嗅がれまくりながら到着したのは、遠くに雪を被った高山の見える、キルギスらしい広大な草原でした。

ここでようやく鷹の目隠し帽を外します。鷹匠の衣装に身を包んだのがお兄ちゃん、左側の私服が弟くんです。弟くん、見れば見るほど埼玉県の近所の子(日本人)に似ている。

まずは鷹を手に乗せて記念撮影。この時ようやく鷹の目隠しを外したんですが、生き生きとした輝く瞳がキレイでした。

この勇ましい佇まいにオスかと思ったら、なんと年頃のかわいいお嬢ちゃんということです。だからからかな?飼い主の兄弟が大好きな甘えん坊。とってもおとなしくて、頭や胸を撫でると心地よさそうな優しい表情を見せてくれます。
お嬢は、めちゃめちゃ体重が重いんです。羽根を広げたところを見せたいから「乗せた腕を回転させてみて」って言うけれど、これが重すぎてうまくいかなかった。

お兄ちゃんによる見本。大きい!翼を広げて2mはあります。(空の色が違うのは、この後、雨雲が通り過ぎて青空になったから)

ところが…私の腕に乗せると、何故か口を開けて、じりじりと近づいて来る。これっていったい、どういうことなんですかね?威嚇だったら悲しい…。

さっそく鷹狩りの実演。お嬢を連れた弟くんが、いつの間にか遠くの小高い丘の上に移動していました(さすが若いからか移動が速い)。
私達は草原の真ん中で待機。いよいよ鷹狩りスタートです。実は始まる前に「生きたウサギ使う?」と聞かれたんですが、足元にいたあのまだ小さくかわいいウサギを使うのは忍びなく、キツネに見立てた疑似餌を使ってもらうことにしました。

疑似餌を引っ張りダッシュで走るお兄ちゃん。(ウサギ獲らせてくれたら走らなくてよかったのになぁー)と内心思ってたりして。
やがてお嬢がフワリと翼を広げ飛び立つのが見えました。

そして音も無くスー―ッと近づき、アッという間に疑似餌をキャッチ!凄いっっ!速い!

(どや顔のお嬢)この間、数秒のできごとでした。お嬢、単なる甘えん坊じゃなかったんだね!凄いよ!

ガッチリと獲物を掴んで離さないお嬢。それをなだめ、引き離して、新鮮な生肉のご褒美です。「わたし、生肉大好き」お嬢の顔がほころんでいるように見えましたよ。

…ん?新鮮な生肉?

ふと足元を見るとウサギの毛が散らばっているじゃないですか!(うわぁぁ車内にいたあのウサギを捌いたのかなぁ)とビビりましたが、そのウサギは帰りも車の中にいたので、このウサギの毛はいったい??もう一羽、隠し持っていた??

お次は余興の腕にとまらせるバージョン。
動画でどうぞ。(24秒)
今回は観光客相手のデモンストレーションでしたが、9月~2月には本格的に狩りを行うそうです。使う鷹は主にメス。オスは体が小さく動きが鈍くて狩りには向かないらしいですよ。
鷹はどうやって調達するのか聞いてみると、山から卵を持ってきて人工孵化させ、小さいころから育てるって言ってました。いわゆる「刷り込み」ってやつですね。だからお嬢もあんなに兄弟に甘えてるのかな。自分を人間だと思っているのかも。

ただいつまでも一緒にいられる訳ではなく「15年で仕事は終わり」だそうで、それ以降は野生に戻して次のタマゴを産んでもらうらしい。タマゴから連れて来られて、人間の元で孵化した鷹が野生でどうなるものか、ちょっと興味があります。
兄弟たちも常にお嬢を撫でてかわいがっていて、これは別れの時は相当辛いだろうな…と思いました。

お嬢の実演が終わったタイミングで、ザーーっと夕立ちのような雨!急いで車の中に避難。

そして待つこと十数分、さっきまでの暗雲が嘘のように晴れ渡りました。

続いてワンコによる実演です。普段はお嬢とペアを組んでで狩りをするんだそうです。

離れた場所にワンコを連れて行き、解き放たれます。弟くんが紐で疑似餌を引っ張りダッシュ。それを捕まえます。

ワンコは風のように走り込み、いっきに獲物に食らいつき押さえ込んでました。興奮気味のワンコは獲物をなかなか離そうとせず、兄弟がなだめすかしてようやく口を放しました。

さっきまでと眼つきがまるで違う。眼が狩りモードになっている。ちなみにワンコへのご褒美は無し。あらま残念。
実はこの時、数百メートル向こうで兄弟のお兄さんが別の観光客に鷹狩りを見せていたんですが、どうやらキルギス犬はこのワンコ一頭しかいないようで、弟くんがダッシュで向こうへと連れて行ってました。二人の兄のヘルプで行ったり来たり、丘に駆け上がったり大奮闘の弟くんです。

お次はキルギスの伝統的な弓射ち体験です。まずはお兄ちゃんが見本。

次々と矢を射ち…

全部命中させていました。

続いて弟くんも数発矢を射ってましたが、同じく全部命中。兄弟そろって凄い。

そしていよいよ三昧おじさんが挑戦。これが結構難しく弦を引く指も痛い。命中どころか全然違う方向に矢が飛ぶし、そもそも的にも届かない。お兄ちゃん「あと少し!」私&弟くん(え?どこが?)

足腰へなへなの失敗続きで、「惜しい」を連呼するお兄ちゃんに対して、弟くんの「ダメだこりゃ~」な忖度ない表情がナイスです。
その後、兄弟ふたりがかりで「もっと下、もっと下」「もっと強く引いて」の熱血指導が行われ、やっと的に当てることができました。

伝統的な弓の装飾が美しかった。
これにてプログラムは全て終了。キルギス伝統の鷹狩りに触れられたのが有意義だったし、この旅に出てこういう体験をする機会がほとんどなかったんで、新鮮でとても楽しめました。

鷹匠兄弟はサービス精神満点で、ゲストハウスへ送ってくれる途中も、私達がカメラを車外に向けるたびに車を停めて景色をじっくりと撮らせてくれました。キルギスの広大な景色が素晴らしい。
素朴な兄弟鷹匠のふたり、日本の動物園の鷹ショーに出演すれば人気者になりそうでした。

キルギスワンコもお疲れさまでした。帰りも三昧のすぐ近くに顔をくっつけて、三昧が前を向いたらワンコも前を向き、横を向いたらワンコも横向く。

遠くを見たらワンコも遠くを見るという謎のシンクロ行動。

常に人間の目線の先を見ているのは、猟犬だから、そういう風に訓練されてきたのかな。賢いね。

ゲストハウスに戻って来ました。今日もコチラでお世話になるかと思いきや…実はすぐ近くのトン村にあるイシククル湖畔の宿に移動します。
「Guest House Gulmira」の女将さんの「鷹狩り見学が終わるまで荷物はここに置いていけばいい」の言葉に甘えさせていただきました。たった一泊なのに荷物を預かっていただいたり、鷹狩りを急遽手配していただいたり、そしてトン村までのタクシーまでも手配していただいたり、ありがとうございました。放し飼い鶏のタマゴ、おいしかったです。
