【祝・世界遺産登録】ミャンマーのバガンで到着早々馬車でド派手にボラレちゃいました

2019年2月16日

この日はヤンゴンから夜行バスでバガンへ移動する日です。二日ほど前にホテルを通して夜行バスのチケットは予約済み。当日はグラブで呼んだタクシー運転手さんにバスチケットを見せ、優雅にリッチにバスターミナルまで連れて行ってもらいました。

・・・はい、前日のチャイティーヨー(ゴールデンロック)とバゴーの一日イッキ観光で真っ白に燃え尽きて、いまだ復活できずにいます。歳取るって怖いですね。
https://hashigoyu.com/around-the-world/155/

 

さすがこの地に精通したタクシー運転手さん、チケットを見てスグに乗り場がわかったようで、ピンポイントで私達の利用するバス会社の営業所まで連れて行ってくれましたよ。

 

この日利用したバスターミナルはとても広く大量の大型バスが行き来し、丸腰で行ったらいったいどこに自分の乗り場があるかわからなかったと思います。

 

こちらが利用するバス会社「BAGAN MINN THAR EXPRESS」の営業所です。同じバスでバガンへ向かう乗客がボチボチ集まり始めていました。

ザっと見る限り欧米人(のご婦人10人くらいの団体様)、ベトナム人(の若い子5人くらい)、日本人(個人旅行者が数名)と、乗客の大半は外国人観光客のようです。まぁ行先がミャンマー有数の観光地バガンですからね。

欧米マダムは営業所内にあった浴室(といっても水の入った大きな瓶が置いてあるだけ)できゃあきゃあ言いながら水浴びしてました。何をしても楽しいお年頃ですね。

バスの料金は片道27000チャット(1893円)、宿泊したホテルで購入したのでナンボか乗っているものと思われます。

 

そして当然のようにここにもありました。ミャンマーでお馴染みの、瓶に入った無料飲料水。怖くていまだ飲めず。

 

気になるのは先ほどからカウンター前で顔を真っ赤にし足をふらつかせている男性。どうやらこのバス会社のスタッフのようですが、既にたっぷりとお酒を召し上がりニヤニヤと上機嫌の様子。

 

「まさか運転手!?」などと不安がよぎる頃、運転手さんらしき男性が現れたのでホッと一安心。

 

運転士さんはバスに安全祈願の線香や花を飾っていました。

 

バスターミナルには食堂も数店舗あり、即興腹ごなしも可能。

 

こちらは営業所の横に出店していたキンマ屋さん。ミャンマーの嗜好品です。よくミャンマーの男性が頬を膨らませて噛み噛みして、赤い液体を口からペッするアレですね。

キンマの葉にビンロウの実の破片を乗せ、謎の白い粉やらなんやらを振りかけて丸めてできあがり。なんでもドライバーさんが買っていくんだそうです。眠気覚ましにもなるのかな?

 

バスは二列+一列のゆったりシート。首枕(って言うの?)や薄手の毛布もついてます。ペットボトルの水やウエットティシュ、ちょっとしたお菓子の配布もありました。

 

座席にはコンセントはもちろん、絶妙高さのフットレスト設置、リクライニングもかなり倒せ、車内にトイレもあり、空調もバッチリ。なかなかの快適さでした。

 

よく見たら日本からの中古バスですね。日本の観光バスの快適さがそのままミャンマーに引き継がれたってわけですね。

 

本来は21:00出発予定でしたが、乗客が全て揃ったということで、ちょっと早めの20:40いよいよバガンに向けて出発!

 

出発早々テンションの上がった欧米マダム達が全員同時に大声でお喋り開始、前方では運転手の眠気覚ましなのか大音響で音楽が鳴り響いています。かなりうるさい車内ですが、少なくとも音楽の直撃を受ける前方席じゃなかったのが救い。

そして出発前から気になっていたアノ酔っ払いですが、なんと車内にいました!(まさか運転手の交代要員じゃないよなー・・)と思いましたが、どうやら車掌さんのようです。酒臭をプンプンさせながらも車掌業務はちゃんと(?)こなしていた模様。

バスはヤンゴンを抜けるとたちまち真っ暗な荒野の道へと突入。ただひたすら闇夜を走ります。

 

真夜中に休憩で立ち寄った綺麗なレストラン。ミャンマーの美味しいミルクティーを注文しました。

 

前回の記事でも書きましたが、ミャンマーのミルクティーは香港並みにミルクと紅茶の味が濃くて美味しいんですよね。

トイレも清潔でピッカピカな洋式が並び、世界遺産(この時はまだ登録前)を目指すバガンへのルートを外国人旅行者向けに整備しているミャンマーの本気度が伺えました。

再びバスが走り出すと、大はしゃぎしていた欧米マダム達もさすがに疲れたのか寝静まり(ただし前方の音楽は流れっぱなし)、外はほとんど灯りが見えず、相変わらず荒野の中を走っているかのようでした。

 

5:00まだ真っ暗なバガンに到着。欧米マダム達は迎えのバスに乗り込み、その他の個人客もタクシーやバガン名物の馬車に声をかけられ、それぞれの宿泊施設へと散らばってゆきました。

 

寝不足と移動の疲れで頭がボーっとしているあまりよろしくないコンディションの中、私達にも一台の馬車が声を掛けてきます。

予約しておいたホテルまでの料金を聞くとそれほど高くなかったしお兄さんは愛想がいいし「馬車なんて、そう乗れる機会もないから」と、お願いすることに。

この判断が後々とんでもない事になっちゃうんですが。

 

暗闇の中を馬車はパカパカと軽快な足音を鳴らしながら進みます。

 

途中、闇夜の中で煌々と電気の灯るチェックポイントのような場所があり、ここでバガンの入域料25000チャット(三日間有効約1754円)を支払います。「へー、こんな早朝でもチェックポイントが開いてるんだ」とちょっとビックリ。

 

再び暗闇の中を少しばかり走ったところで馬車はなぜか停車。するとお兄さんが「サンライズが綺麗に見える丘があるから見に行かないか?」と提案してきます。

そんなことより昨日からの疲れで一秒でも早くホテルに行きたかったので

 

「早くホテルで休みたいから行かない」と言うと

 

「予約しているホテルのオーナーを知ってるけれど、早朝は入口が閉まってて入れないよ」と言うじゃないですか。(これは嘘。なぜなら後日、早朝に来たお客さんがフロントのソファーで休んでいるのを見ているから)

 

「それでもいいから今は疲れているからホテルに行きたい」

 

と告げると、お兄さんは聞こえているのか聞こえていないのか、黙ったまま再び馬車を走らせます。ところが、どうもホテルとは違う遺跡方面へと向かってるんですよね。

そして相変わらず「サンライズが綺麗だから行こう」と繰り返し、かなり強引・・というかほぼ強制連行。

 

仕方なしに「じゃあ、そのサンライズは別料金がかかるの?」と聞くと、

 

「・・・・・・・。」

 

(おや?今度は何も返答がないぞぉ?)

馬車の音で聞こえなかったのかな?と思い、3回くらい大きい声で聞き直しても、相変わらずお兄さんは黙ったままです。うーん、これは困った。やっぱり聞こえてないのかなぁ?

 

やがて馬車は素朴な集落横にある丘の下で止まります。

「この上がサンライズポイントだよ」と丘の上に行くようにうながすお兄さん。後日知ったんですが、ここはバガン遺跡群を見渡す絶好のサンセット&サンライズ観光ポイントだったんですね。

ここであらためて「このサンライズは幾らなの?」と面と向かって聞くと、お兄さんはニコニコと頷くばかり。

その様子を見て(あれ?もしかして早朝でまだホテルに入れないからサービスで連れて来てくれたのかな?優しい人だな)なんて呑気なことを思ってしまいました。

 

そして丘に上がると、

 

やがて朝日が昇り、

 

オレンジ色に染まる広大な大地に無数の仏塔が輝いているのが見えるじゃありませんか。(画像はアレですが、実際の景色はとても素晴らしいです)

 

この荘厳な光景を目の当たりにして、さきほどまでの(サンライズはいくら?)なんて考えは吹っ飛んでました。

いつの間にか私達の横に来ていたお兄さんが「ほら、あそこ」と指さす方向を見ると

 

気球が舞いあがっているのが見えます。

 

やがて一機、二機とその数は増え、それはとても幻想的で美しい眺めでした。

お兄さんが「あれは一機●$で乗っているのは中国人なんだよ、中国人ってお金持ちだよね」なんていろいろ教えてくれます。

気が付くと私達の他に中国人観光客を乗せた馬車が来ていましたが、彼等もまた夜行バスで到着後にそのまま連れて来られたんでしょうか?

 

下の集落では人々が動き始め、お坊さんも朝の托鉢にやってきました。

さてサンライズも見終え、「今度こそホテルに連れてって」と告げると、なんとお兄さんがニッコリ笑顔で驚愕の一言。

 

はい、馬とサンセットで50ドルね。

 

「え?」

 

「ええええーーーっっ!ごっっごじゅうどるぅぅぅぅっっっ!?」

 

「何それ!高すぎるよ!こっちはサンライズ見たいなんて頼んでないよ!」と言うと、今度は急に謎のカタコト英語になり

 

「ホース、ホース、フード、フード」

 

ええ、もぅ何を聞いても兄さんは「ホース」と「フード」しか喋らない謎のロボットと化してしまったんです。

 

・・・なんだろう、この現象

 

見事な三文芝居が目の前で展開してるよぉぉぉっっ!!

 

これにはもぅ、怒りを越えて笑っちゃうしかありませんでしたよ。

 

以降「ホース」と「フード」しか喋らなくなった謎兄さんの操る馬車は、ようやく本来の目的地ホテルへと向かってくれるようです。

 

行きは暗くてよくわからなかったけれど、遺跡の中を通って来たんですね。

 

牛車がのんびりと道端を進んでいます。なんだ、よさそうなところじゃないか、バガン。

 

そしてホテルに着くや、お兄さんは満面の笑みで手を振りながら「さんきゅぅぅ~」と50$を握りしめ、馬車を走らせ去ってゆきました。(なんだ、ホースとフード以外も喋れるようになったのか・・)

 

あぁ、この時の敗北感たるや・・。

 

 

負けた・・・。負けたよ。見事に完敗だ。

 

 

ちくしょぉぉぉーーーーっっ!次はぜーーーったいにボラれないぞぉぉぉ!

 

ちなみにバガンでは馬車はごく普通に楽しく観光客に利用されています。今回たまたま「ボリ兄さん」に当たったものと思われます。

今回の件は、馬車代+ボリ兄さんの即興三文芝居の観劇料として50$支払ったんだと自分に言い聞かせることにします。はぃ。・・・。

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