スリランカに来て驚いたのが、野生動物との距離感がとても近いということです。町の市場でクズ野菜をシカが食べてたり、日本では滅多に見られないコウノトリや朱鷺が、その辺の田んぼを普通にウロウロ闊歩していたり、庭先にはマングースがチョロチョロしたり、木陰をリスやミズトカゲがうろうろしたり。
そんな野生天国のスリランカの中でもダントツ人気なのは、やっぱりこの御方!
ぞうさん!
自然の多いスリランカ国内にはいくつかの国立公園があって、このとき滞在していたポロンナルワだと、ミンネリア国立公園が近くにありました。
そう、アヌラーダブラからポロンナルワへ路線バスで移動中に、道路を野生のゾウが歩いていた、あの国立公園です。
ところが私たちがいたのは3月の中旬。さすがに「シーズンオフでゾウは見られないかなぁ」と諦めていたら、ゲストハウスのオーナーさんが昨日行ってきたガイドさんに聞いてくれたところ、なんと「最近雨が少なくてゾウが集まり始めているらしい」との情報をキャッチ。こりゃもぅ、行くでしょ。
というわけで、オーナーさんにお願いして、急遽前日にエレファント・サファリ用のジープをチャーターしてもらいました。
ミンネリア国立公園で野生ゾウ観察にかかった料金
料金はジープチャーター一台5000スリランカルピー。これはあくまでもジープ代のみです。この他に、ミンネリア国立公園入場料などがかかります。
2019年3月のミンネリア国立公園料金表です。これにジープ一台5000スリランカルピーと運転手さんへのチップという感じですね。まぁ安くない金額ですが、結論から言うと料金以上の感動がありました。野生のゾウの群れって、本当に凄いですよ。
ポロンナルワからミンネリア国立公園へ
2019年3月22日
ゾウは夕方近くに湖に集まる、ということで、ジープは午後にゲストハウスまで迎えに来てくれました。
ちなみに前回の記事でもちょっと触れた、昨日のポロンナルワ遺跡で見損ねた南エリアにある残り二か所の遺跡にも寄ってもらおうと、ちょっとだけ早く来てもらいました。ゲストハウスのオーナーさんがドライバーさんを「彼は信頼のおける優れたガイドだよ」と紹介してくれました。
南の遺跡を見学後、ポロンナルワの街を抜けたところで、
おまわりさんのチェック。ガソリンスタンドにも寄って、いよいよミンネリア国立公園入口を目指します。
数日前にアヌラーダブラからの路線バスで通ったのと同じ道路です。動物への餌やり禁止の看板がありました。
なんだかんだ、遺跡を出発してから40分くらいでミンネリア国立公園入口に到着しました。みんな同じタイミングを狙ってか、お客さんを乗せたジープが集結しています。
到着後は各自でミンネリア国立公園入域料を支払います。こちらがチケットオフィスです。洋式・スリランカ式両方揃った清潔なトイレもあります。(紙はなかったので使う人は要持参)
国立公園で見られる動物達(へ~・・・熊がいるんだ)。「熊がみたい!」と言ったら、「熊はあまり見られないよ」って。
ジープに戻ると、幌が解放されていました!
ミンネリア国立公園はシーズン前なのにゾウがいっぱい!
いよいよ出発!しばらくは鬱蒼としたジャングルの中を走ります。細い川を越えたりしながらどんどん進みます。途中で停まって何か動物などを探すことはなく、ただひたすら進みます。
すると、突如広々とした草原に出ました。
「ほら、あそこにゾウがいるよ」とドライバーさんが指さす方を見ると、雑木林の中にゾウが数頭いるのが見えます。木をバキバキして、葉っぱでも食べているのかな。雑木林のゾウはチラッと見ただけでジープは、さらに進みます。
すると・・・・
おおっっ!広々とした湖のほとりに見えるのは・・・
ゾウさん!
あっちにも、ゾウさん!
ここにも、ゾウさん!
既にたくさんのジープが並んで、みんなゾウの群れを眺めていました。
おそらくゾウが集まっていると聞きつけて、ジープも大集結なんだと思います。私達もゾウの見やすいポジションにジープを停めて、ここてでしばらくゾウの観察です。
眺めていると、ゾウはいくつかのグループの集合体だと気づきました。
ひとつのグループが、赤ちゃん、子供、若者、年老いたゾウで構成されたゾウの大家族です。
「ここに見えているゾウは、ほとんどがレディだよ」と、ドライバーさん。ゾウって女系グループで構成されてたんですね。
オスゾウはある程度大きくなると単独で行動するらしいです。そして、その単独のオスゾウがとても危険とのこと。だから、路線バスで道路を歩いてた単独ゾウに出くわしたとき、逃げるようにスピードをあげたのかぁ。
ゾウ達の動きを見ていると、どうやら一番の長老に従っている感じがしました。リーダー格のぞうが移動すると、みんなもついて行く感じです。
多くのゾウ達が、子供を連れていました。
ゾウは一人っ子が多いのかな。
まだお乳を飲む赤ちゃんゾウもいました。
「あのサイズだと生後何日くらいだよ」ってドライバーさんが教えてくれたのに、肝心の日数を忘れてしまった・・・。
ジープの間を通って雑木林に行くゾウ達もいます。うちのジープの前も通ってくれ~っって念じたけど、来なかった。
ゾウに混ざってたくさんの水牛もいました。「あれも野生?」と聞いたら「野生だよ」ってことです。
水牛もなにげにかわいい。
ゾウは視界の中だけでも軽く60頭以上はいたと思います。これがまだシーズン前って言うから、乾季真っただ中のエレファント・ギャザリングって、どれくらいの大群になるんだろう?と思いました。
このファミリーで幸せそうに暮らす野生のゾウ達を見ていて、ふとシギリヤで見た重い鎖を足につけて観光客を背中に乗せていたゾウの姿がよぎりました。
こうして自然の中でのびのびと暮らして生涯を終えることができるゾウ達がいる一方で、どういう理由があったのか、重い鎖を引きずって生きるゾウ達もいるんだよね・・・。
いつまでも見ていたい光景だけれど、先へ進みます。だいぶ長い時間ぞうを見ていて、そろそろ飽きてきたかな?というタイミングでドライバーさんが「次に行く?」と声をかけてくれます。ジープを走らせた後でも私達が「あっ」って何かに反応すると、すぐにジープを停めて写真を撮らせてくれます。ゲストハウスのオーナーさんが「彼は信頼のおける優れたガイドだよ」って言った意味がわかった気がしました。
ゾウの群れから離れ、他の鳥や動物を探してみます。めっきりゾウも水牛もいなくなりました。ゾウの大群ポイントから離れた後も、遠くにポツン、ポツンと3頭くらいの小さなゾウのグループが見えます。あのゾウ達はみんなと一緒に行動しないのかなぁ?
孔雀やイーグル、ペリカン、がいました。
ドライバーさんが突然ジープから飛び降ります。何かと思ったら、落ちていたポリ袋を拾っていました。「少し前の車から飛んで来るのが見えたんだ、こういうのを動物が食べたら大変なんだ」って言ってました。
寂しい湖畔にポツンと一頭のゾウが現れました。
「彼女は歳をとって、群れから離れて今はひとりで暮らしているんだよ」
その時は「へぇー、老後の一人暮らししてるんだ」程度にしか思わなかったけれど、年老いた彼女はどうして群れから離れたのか、野生のゾウにはそういう習性があるのかを、その時ドライバーさんに聞けばよかった。
一頭で暮らす彼女は、ゆっくり、ゆっくりと湖の方へ歩いていきました。
老後を独りで暮らすって寂しいかな、それとも気ままな独り暮らしを満喫しているのかな。彼女と話しができればいいのに・・・。
展望所です。ここに乗って湖を見渡すことができるようですが・・・
かなり放置気味でした。
展望所を降りると、木立の向こうを「彼女」がゆっくりと歩いている姿が見えました。
この後は再び鬱蒼としたジャングルの中を走りゲートへと戻りました。