2019年5月21日
ジャルガウンから寝台夜行バスでナグプール(ナーグプル/Nagpur)という街にやってきました。次の目的地バラナシへ向かう中継地として朝に到着、そしてもう明日出発の駆け足滞在です。
日本と繋がりのある街ナグプール
はじめてやってきたナグプールは、これまで通って来たデカン高原の乾いて埃っぽい田舎街(大都会アウランガーバードは別として)とはちょっと違って、緑の多い落ち着いた街という印象を受けました。
まずはジャルガウンからナグプールに向かう夜行寝台バスの中で予約したホステルへ向かいます。急な予約にもかかわらず「疲れてるだろうから、バスが到着したらすぐいらっしゃい」と、まだ朝なのに迎え入れてくれたオーナーさんには本当に感謝です。
これから出勤するというオーナーさんが私達の到着を待っててくれ、ナグプールの見どころをザッと教えてくれました。その時にオーナーさんが「日本のお寺にも行くんだよね?場所はわかる?」(・・・ん?日本のお寺ってなんだろう?)その後ナグプールについて改めて調べてみると、日本と繋がりのある場所だったことがわかりました。
ディークシャーブーミ(改宗広場)
ナグプールで観光できる時間はたった半日。いくつか見どころがある中で、どこか一か所に絞ろうと選んだのが「ディークシャーブーミ(改宗広場)/Deekshabhoomi」です。
人は「どこで生まれたか」じゃなく「どう生きたか」
今なお多くのインド人に慕われている「インド憲法の父」「反カースト運動指導者」ビームラーオ・ラムジー・アンベードカル(故人)、どういうわけか日本ではあまり知られていないけれど、インドの超絶有名人です。
カースト最下位にも入れない不可触民の出身であったアンベードカルが、泥沼のような差別の中から学問を武器に這い上がり、やがてインドの初代法務大臣へ。
反カーストを掲げ差別に立ち向かい、満を持して1956年アショーカ王の改宗記念日とされる10月14日、何十万もの人々と共に仏教へと集団改宗した地がディークシャーブーミ(改宗広場)でした。
現代インドじゃカースト制なんて関係ないんじゃない?と最初は思ってましたが、たった4ヵ月のインド滞在でも(これがカーストなんだ)と思うあからさまな差別の(時に暴力的な)場面を何度か目の当たりにしました。
現在では日本人僧侶佐々井秀嶺氏がアンベードカルの意志を引き継ぎ、不可触民の人々への差別を無くそうと尽力されているようです。そのためか現地では日本人というだけで優しい眼差しで皆さんが接してくれました。
ストゥーパ(仏塔)内部は撮影禁止で画像はありませんが広ーいドーム状になっていて、多くの参拝者が来ていました。私達が見学をしているとスタッフらしき男性が「日本から来られたんですね」と声をかけてくださり、そうだと知るととても喜んで三昧と握手をしてくれました。
ストゥーパの外に出ると今度は若いお嬢さんを連れた親子が「あなたた達が参拝しているところをみていました、日本の人ですよね?私達は日本人をリスペクトしているんです」と、まるで憧れの対象を見るような眼差しを向けてくれました。
ディークシャーブーミでは、日本人というだけで何か特別な存在のように接してくれるんです。(私達は何もしていないのに日本人というだけでこんな風に接してもらって、なんか申し訳ないなぁ)なんて気持ちになってしまうほど。
アンベードカル22の誓いが刻まれた石碑。内容を要約すると「あばよヒンズー教(ꐦ°д°)、こんにちは仏教(´∀`*)」みたいな感じでしょうか。22番は差別から決別するため改宗した多くの人々が万感の思いで見つめた一文だと思います。
その石碑の下では・・・インドあるある、わずかな木陰でのリラックスタイム。
金ぴかアンベードカル先生。
ナグプールに来るまで全然知らなかったんですが、このディークシャーブーミ(改宗広場)は仏教の巡礼地としても有名で、毎年10月14日には世界中から大勢の仏教徒が訪れるらしいです。
ディークシャーブーミのオープン時間です。
ちなみにホステルのオーナーさんが言っていた「日本のお寺」は、おそらく竜宮寺かなぁ。竜宮寺も時間があれば行ってみたかったなぁ。
5月のナグプールは45℃!
ナグプール観光をディークシャーブーミ(改宗広場)一か所だけで切り上げたのには、時間以外にもうひとつ訳がありまして・・・
5月のナグプール、無茶苦茶暑いんですよ。もう肌がジリジリと焼けるような、息苦しい暑さです。
おっチャイ屋さん発見。手前にいる紫の服のお婆ちゃんが、ここ(チャイ屋さん)の真のボスだと思います。
えっ、暑いのに熱いチャイ!?って思うでしょ?
暑い時に飲む熱くて濃厚なチャイは、不思議と格別に美味しいんですよ。
ナグプールはほんのちょっとの滞在だったけど、とても穏やかで心地いい街でした。今度はもう少し長く滞在して、じっくりと街や寺院を見て歩きたいなぁ。