2019年5月
バラナシの朝です。初めてガンガー(ガンジス川)で夕涼みをした初日から、毎日かかさず朝と夕方にはゲストハウス近くのガート「アッシガート」を散歩しました。昼間は45℃くらいの爆暑になるバラナシですが、朝と夕方は気温もそれほど高くなくて快適です。
→アッシガート(Assi Ghat)をGoogleマップでみる
ガートってなに?
ガートとは川や池に降りる階段状のことで、人々はこのガートで沐浴したり洗濯したり体を洗ったりします。
ガンジス川沿いには数十ものガートがあり、それぞれが巡礼者や観光客が多く賑やかなガート、地元の人もあまりいない鄙びガート、ひたすらご遺体を焼き続ける火葬場ガート、下町風情のローカルガートなど個性があります。
日の出に行われるプージャ
アッシガートでは日の出の頃にプージャというヒンズー教の伝統的な儀式を行っていました。
プージャが行われるのが早朝過ぎて見学できたのは1度だけ。
まぁ早いハナシが起きられなかった・・・。
これも宗教的な儀式のひとつかなぁ?
ヒンズー教徒のおじさんに「仏教徒か?ヒンズー教は仏教の父でありますぞ」と言われました。
ガンジス川の朝は沐浴から始まる
ガンジス川といえばヒンズー教徒の沐浴です。
大勢のヒンズー教徒が祈りを捧げながらガンガーに身を浸す、これぞまさに誰もがイメージするインドの光景ですが、お清めの瞬間以外はみんな楽しそうにはしゃいでいて、厳かというより夏休みの楽しい海水浴旅行みたいな雰囲気もありました。
みんな最初はおっかなびっくりガンガーに入ってます。私も膝下まで入ったけど川底がズブズブで安定しなくてちょっとコワイ。
ちなみにこのアッシガートはバラナシのガート群の中でも上流に位置するので水が綺麗と言われてるんですが、近くの上流にはガンガーの支流のアッシ川という強烈に汚れて悪臭のするドブ川が流れ込んでいるんで思ったほど綺麗じゃないですよ。
ガンガーは遠くヒマラヤ山脈の雪どけ水が流れ出た川で、ヒマラヤの神ヒマヴァットの美しい娘「女神ガンガー」の化身と言われているらしいです。
地元で呼ばれてる「ガンガー」って女神さまの名前だったんですね。
ガンガーはヒンズー教徒にとって大切な「聖なる川」で、この水に体を浸せばあらゆる罪を流してくれ、遺灰を流せば死後に繰り返される輪廻から解脱できると信じられているんです。
ガンガーの泥を固め飾りつけをして美しい供え物を作っているご婦人がいました。そしてその供え物ができあがるとガンガーに浸します。
あれほど丁寧に作った泥の供え物が一瞬にしてガンガーに帰る光景は、なんとも不思議と心に残るものがありました。
ガンジス川で青空ヨガ教室
プージャが終わると今度は青空ヨガ教室が始まります。天気がよければ夏場は毎日開催なのかな?
先生のいる舞台周辺は女性エリア。
舞台正面の広場が男性。
広場奥の東屋のガンガー寄り半分が男性、もう半分が女性エリアにわけられていました。
近所の子供たちも参加。あれ?君はやらないのかな?
ヨガ初体験の私達も2回参加!最初は「お婆ちゃんお爺ちゃんも普通にできてるから楽勝」と思ってたら、普段使わない筋とか筋肉を動かすし、独特の呼吸がキツイし終盤にはヘロヘロになってしまいました。
「さぁ~終わった、終わった、きょうも一日がんばるぞぉ」みんなスッキリとした表情で解散。ヨガが終わると不思議と爽快感があり体全体が軽くなった気がするんですよね。
アッシガートの外ではオバちゃん達が謎の木の棒を売ってます。何かと思ったらコレ歯ブラシなんだって。歯垢がよく取れそうだ~。
この歯ブラシ棒を売っていたオバちゃん達かなり気が強くて、値段を下げて来る男性客の持っていた歯ブラシ棒を奪い取って「一昨日きやがれ」といわんばかりに手で追い払うような仕草をしてました。
しかし、この21世紀に木の枝で歯を磨く人なんているのかなぁ?・・・と思っていたら
いたーーーー!しかも若い兄ちゃん。・・・私も試せばよかった。
まだまだ続くガンジス川沐浴タイム
お昼に近づくにつれて気温はじわじわ上昇。そんな中でも午前中のうちはヒンズー教徒の巡礼者が団体で入れ代わり立ち代わりやってきます。
中にはバダミとかデカン高原の田舎の方でみかけた鼻や耳にアクセサリーじゃらじゃらのオバちゃん達もいて、みんな地方から遥々バラナシにやってきたんだなぁー。
ひとりのお婆ちゃんがサリーの中からビニール袋に大事にしまったお金を出すと、まわりにいたお婆ちゃん達が一斉に何か騒いでいます。もしかすると「ダメだよ、こんなとこでお金出しちゃ!北は危ないんだから!」と言っているのかもしれません。なんだかバダミの素朴な人達を見ているようで、ちょっと嬉しくなりました。
牛様接近中。
あ、食べちゃった。でも牛様だから大丈夫。
「これもお食べ」優しいおじちゃん。
かわいい。
火葬場ガート(ハリシュチャンドラガート)
いよいよお昼になり炎天下のガンガー沿いをプラプラ歩いていると、凛々しいシヴァ神の描かれた立派な建物が現れました。そしてその上から大きな二本の煙突が突き出てモクモクと煙をあげています。「ハリシュチャンドラガート」火葬場のガートです。
ガンガーには観光客も多く訪れる大きな火葬場と、比較的静かな小さい火葬場があり、このハリシュチャンドラガートは後者の「小さい方の火葬場」になります。
火葬場は写真撮影禁止と聞いていたので、いったいどこからダメなのか確認のため数人の男性に「ここはカメラは大丈夫?」聞くと、みんな揃って「問題ない」。火葬場すら「問題ない」(おいおい本当?インド人は耳ざわりの良いことを適当にいう傾向があるからなぁ)
このサドゥのおっちゃんがいる建物の奥が火葬場になっています。ここで聞いても「カメラ?問題ない」。それでもさすがに火葬中の様子は気がひけて撮る気がしなかったなぁ。
火葬場内は様々なものが焦げたような独特の臭いが漂い、あちこちに大量の薪が山積みになっています。そしてすぐ横を荷台に乗せられ布にくるまれたご遺体が川岸の焼き場に運ばれていきます。
川岸にはいくつも木材を組んで造られた焼き台があり、ご遺族に見守られご遺体が火葬されていました。そして遺灰はすぐ目の前のガンガーに流されます。
そうかぁヒンズー教徒は死んだら母なるガンガーに帰るからお墓はいらないのかぁ。なんだか後腐れなく潔くていいなぁ。ある程度の年齢になるとわかるけど、お墓の管理とかほんと面倒だから。
で、さきほどの建物内にいたサドゥのおっちゃんに「あなたの写真撮ってもいい?」と聞いたら「問題ない」ということでパシャリ。すると「はい写真撮ったからね、わかってるよね?チップね」(・・・まぁ、そうくるとは薄々思ってましたとも)
カメラ目線のキメ顔撮らせてもらったけど、爆笑しているこっちの方がサドゥのおっちゃんの素だと思うので、この一枚を載せます。隣の若サドゥくんは終始一度も表情変えなかったなぁ。
それと火葬場には観光客目当てのしつこいガイドの勧誘とか入場料必要とか言ってくるヤカラがいるらしいですが、そういうのはひとりもいませんでした。まぁ、しいていえばサドゥのおっちゃんの撮影料・・・。
火葬場の外に積んであった薪。「これは撮っていいの?」って聞いたら「問題ない」ってことなので薪も一枚。とりあえず火葬場のガートでは一枚撮るごとに周りの人に確認するのがいいですね。面倒だけど。
そして猛暑のお昼過ぎ。灼熱のガンガーは、あんなにいた人達がすっかりいなくなりました。(みんなどこに行った?)