足元湧出で有名な木賊温泉共同浴場の並び、西根川沿いに佇むお宿です。雪の積もる1月に訪問してみました。玄関先では御主人らしき人物が何やら作業中。私達の姿を見つけると「川沿いのお風呂はあっちですよ」と共同浴場の方を指差します。どうやら、井筒屋さんを川沿いの共同浴場と間違えて訪問する人が多いようで。「いえいえ、お宿のお風呂に浸かりたくて」と言うと「家は有料で露天風呂もないんですよ」と実に申し訳無さそうにおっしゃいます。「井筒屋さんのお湯が良いと聞いて来たのです」と言うとホッとしたように、館内へ招き入れてくださいました。
井筒屋さんには男女別に内湯がひとつづつあり、特に足元湧出の男性浴室はあまりに有名。女性タイムもあるようですが、あいにく訪問時は違いました。思い切って「もし可能であれば私も男性湯へ入りたいのですが」とお願いしてみると、「では貸しきりで使っていただいていいですよ」と、なんとも嬉しいお返事が。そんなワケで早速男性浴室へ向います。
男性浴室は階段を降りた先にあり、窓をあけるとすぐ横に西根川の清流。木枠の窓ガラスが風情満点で、射込む光が美しい。浴槽は5~6人サイズの四角いもの。浴槽内の一部がゴツゴツとした岩となっていて、おそらくそこから湯が湧出するんだと思います。ところが訪問時、中越地震と昨年秋の降雨量不足で足元湧出がストップ中との事。湯量減少にくわえ地震の際に湯の流れが変わってしまい、浴槽ではなく川の中に流れ込んでしまうようになってしまったのが原因との事。
浴槽には川横に湧出する源泉をポンプアップした湯が35L/minほど投入されていました。足元湧出ではないですが、充分な掛け流し量に満足。鮮度の良いやや熱めの無色透明湯は弱ヌル感のあるツルスベ。特に印象的なのはプンプンに漂う香ばしい焦げタマゴ臭。飲むと口いっぱいにタマゴ臭が広がります。お宿の方は「雪解けの頃には足元湧出も復活できると思います」と仰っていましたが、私は今回のお湯でも大満足でした。次は山菜の美味しい季節に宿泊で訪問したいと思います。
(まぐぞー・2006年1月)
▼外観
▼すぐ横は西根川の清流
▼受付まわり
▼フクロウ君の剥製
▼源泉についてのお知らせ
▼貸切利用させていただいた男性浴室
▼窓の外は西根川
▼木枠の窓が風情あります
▼天井もいい感じです
▼源泉は川の横からポンプアップ
木賊温泉 旅館井筒屋 データ
福島県南会津郡南会津町宮里字湯ノ坂1988
0241-78-2452
※2006年訪問時の情報です。最新の料金などは要問合せ。
時間要問合せ
300円
訪問:2006年1月
木賊温泉 旅館井筒屋 温泉分析
井筒屋源泉 単純硫黄泉 46.0℃ pH=8.5 108L/min(自然湧出) 溶存物質計=355mg Li=0.6mg Na=104.9(88.21mv%) K=2.7 Mg=0.1 Ca=8.9 F=7.9 Cl=111.9(59.29) Br=0.5 HS=2.8 SO4=29.5 HCO3=45.8 CO3=9.0 H2SiO3=29.3 HBO2=1.5 H2S=0.1 (H17.4.25) ※気温の高い期間のみ加水