谷川岳の西黒尾根登山口からスタート、平標山の家テント泊を目指した谷川岳主脈縦走です。
→その1・西黒尾根登山口→中ゴー尾根分岐
→その2・オジカ沢ノ頭→万太郎山
→その3・万太郎山→平標山の家(このページ)
→その4・平標山の家→青年会新道→ゴール
万太郎山山頂で小休止の後は再び歩き始めましょう~。ここまでに繰り返されたアップダウン+重い荷物+暑さで体力はかなり消耗してますが、頑張って自分の足で一歩一歩前進するしかありません。
ここからしばらくは両側がストーンと切れ落ちた細い尾根道が続いて楽しめました。こういう細い尾根道が何気に大好きなんです。細い尾根といっても背の低い樹木が垣根のように両側をガードしているので、意図的に乗り越えるなんて暴挙に出ない限り落ちるなんて事はなさそうです。
お花畑です。
この縦走路では見事な花畑がいくつも点在していました。
じっくり眺めたりカメラで撮ったり、そういう「お楽しみ時間」があまりないのがツライとこ。
それにしても下るなぁ・・。
さっきっからどんどん下ってる。ピークの後は必ずドーンと落とされるのがこの縦走路の定番だけど、それにしても今回はやけに落とされるなぁ。
それもそのはず。この先の避難小屋を経て縦走路の最低鞍部まで落とされて、そして谷川連峰の最高峰「仙ノ倉山」へ一気に登りあげるのです。・・・地獄だ。
12:05越路避難小屋です。
ここも比較的広さがあり、床がフラットなので使い勝手は良さそうです。近くの風通しのいい場所を見つけお昼の大休憩、そして再び歩き始めます。
実はだいぶ前から目の前に、何やらシャキーンと尖がった山がそびえているのが見えているんですが、「まさかアレを登るわけじゃないよねぇ」とあえて見ないようにしていました。けれど悪い予感というものは当たるもので・・
その「まさか」でした。この後に最高峰の仙ノ倉山が待ち構えているというのに「この期に及んでまだ一山あるのかあっっ!」という泣きたい気持ちですが、この伏兵を越えなければ先へは進めません。
ヘロヘロの足を一歩一歩前に進めます。しかもこの伏兵がかなりの難敵で、ピークらしき部分に到達したかと思いきや、その先にもうひとコブふたコブ続くという・・。
「よしっ!あそこがピークだっっ」と最後のひと踏ん張りで到達したものの、その先にコブがまだまだ続いていた時の絶望感。それがこの縦走路の常套手段である事は、もうだいぶ前から気が付いてました。
ううぅぅっっ、キツイ・・。本気でキツイ。殺される・・縦走路に殺される!
13:57エビス大黒ノ頭です。大障子ノ頭あたりでは辛く苦しい鬼のような表情をしていた三昧ですが、いまや疲れ果て筋肉ユルユルのダラ~っとした表情になっています。・・そうか、人は苦しそうな表情ができるうちはまだ元気なのか。後ろにはこれから歩く仙ノ倉山と、平標へと続くお花畑らしき穏やかな稜線が見えています。
歩いて来た稜線を眺めます。
そして遠くに見える山々。しかし名前はわからず。・・・というか、疲弊し過ぎて「アレは〇〇山だねぇ」なんて遠望を愛でる余裕無し。
山頂では万太郎でお会いした男性が休憩していました。「キツイですね」と言うと、「休み休みでも進めば、必ずゴールは来るから」と。
そしてまた例によって下ります。
14:38エビス大黒避難小屋です。エビス大黒ノ頭と仙ノ倉山との鞍部にあるカマボコ型の避難小屋です。今日はここに泊まるという男性が中に座っていました。テント装備な我が家の姿を見て(もしやコイツラもココに泊まるんじゃないだろーな?)と思ったのか、表情が警戒の色を示しておりました。
ここから谷川連峰の最高峰、仙ノ倉山へ一気に登りあげます。「最低鞍部の後の最高峰って、どんだけ鬼なんだよ!」と毒を吐きながら進みます。これがまた地獄。着きそうでなかなか着かないんですよ。今思い返せば、この仙ノ倉山への登り返しが縦走路の中で一番キツかったなー。なにしろコース終盤で体力も尽きかけてましたから。
登山道の斜面にはハクサンイチゲの群生、終わりかけのシラネアオイなどなど・・。この頃にはアップダウンの繰り返される主脈縦走路に対する恨みつらみで心はすっかりドス黒いものに覆われていたのですが、そんな暗黒に支配された心に反して花達はどこまでも清らかに輝いていました。
15:04仙ノ倉山頂!ヤッター!
ここからは先は歩いた事のある道で、穏やかな稜線である事も知っているので、いっきに緊張感から解放されました。
さすがにこの時間じゃ、もう誰もいないだろうと思っていたところ、一組だけ謎の年配グループが、まさにいまからバーナーに火をつけ宴会でも始めようかという所でした。
ここからは木道も整備された穏やかな遊歩道です。
肩ノ小屋より10000m、感無量。
ここまで歩いて来たご褒美は、
誰もいない静かな静かな平標の花畑でした。そして最後のピークは・・・
15:56平標山でした。
ここからは淡々と木の階段を下って「山ノ家」へと向かいます。
「そういえば、あの男性はどうしただろう?」と稜線を見ると、今まさに仙ノ倉から平標へ向かう花道を颯爽とウイニングランするシルエットが見えていました。
16:30山ノ家に着きました。は~~~っっ、これでザックが降ろせるよ。