この記事では2019年7月インド北部のマナリ(バシスト村)から行った秘境スピティ谷への小旅行を紹介しています。全部で6ページ構成のうちの2ページ目、マナリ(バシスト村)からスピティ谷のカザまでの酷道の様子を紹介しています。
マナリのバシスト村からスピティ谷のカザへ
2019年7月11日
スピティへ出発当日の朝。バシスト村の駐車場には朝5時集合、5時半出発です。バシスト村には坂道を少し下った商店街の途中にあるオートなどが停まる寺院広場寄りの駐車場と、さらに坂道を下ったミニバスなどが停まるメイン駐車場があり、今回の集合場所は「メイン駐車場」の方です。
「5時集合だから余裕をみて4時45分頃に行こう」と向かうと、なんと他の乗客は既に全員揃っていて私達待ちだっという。お客さんは全員インド人。インド人って結構真面目で時間に正確なんですよ。
ジープには一番前の列にドライバーと私達ふたり、真ん中の列に3人、一番後ろの席に荷物と一人という計7人です。7人というと余裕ありそうですが、狭いジープ内はかなりキツキツでした。
5:10全員(というか私達)が乗り込んだところですぐに出発!しばらくは高原リゾートのような爽やかな高原地帯の急坂をグングン上り高度を上げていきます。
6:28一回目の休憩。峠のような場所にズラリと飲食店が並んでいます。標高あるからかヒンヤリ・・・を通り越して寒い・・・。
各自好きな店で朝ごはん食べたりチャイ飲んだりします。時間的に朝ごはん注文する人が多かったかな。私達は朝早すぎてあまりお腹空いてなかったんでチャイだけ注文してトイレもお借りしました。
6:45出発です。道がガタガタ、落石ゴロゴロ。目の前には何やら標高高そうな雪をかぶった山々が連なってます。
おー-っと、いつの間にか富士山の標高を越えてました。これまでの最高標高が登山した富士山だったので、いよいよ未知の領域に突入です。体調がどう変化するかワクワク。ちなみに高山病の薬は飲んでないです。
ここまではダートや落石はあるものの、まぁまぁ平和。トラックの往来も多く、周辺地域を結ぶ大切な道路でもあるのかな。
ドライバーさんです。お客さん乗せての酷道長距離運転は疲れるだろうなぁ。でも若いから大丈夫!
私たちの後ろの席のお兄ちゃんふたりは、それぞれ単独で乗車して意気投合してさっきっから英語で話してる。「なんでインド人同士なのに英語なの?」と聞くと「南部と北部で使う言葉が違うから英語の方がわかりやすいんだよ」だそうです。ふぇぇーー!さすがに広いインド、住む場所によって使う言葉も違うんだ。津軽弁と琉球弁みたいな感じかなぁ?
カザまで139㎞もあるのかぁ。(頸椎やばい)
(動画36秒)チェナーブ川沿いの505号線に出ました。この道をスピティのカザ方面へ向かいます。逆方向に北上するとラダックのレーです。ここからがいよいよ本格的な「酷道」です。渓谷沿いの細いダート道が続きます。ガードレールはありません。
山の上の膨大な残雪がとけて流れ落ちてゴウゴウと音を立てて滝になってます。(こりゃ開通工事が難航するわけだ)
おや?どこから来たのかな?すれ違うお馬さん。谷の下のではたくさんのヤギたちも放牧されています。ヤギ使いの兄さんもいる。ということは近くに集落があるのかなぁ?(民家があるようには全然見えない)
丘の上にポツンとチョルテン(仏塔)が立ってる。
8:55峠の茶屋のようなドライブインで2回目の休憩です。
ここでもチャイを注文。まだ少し肌寒いので温かくて甘い飲み物に癒されます。
9:15出発。斜面に青く綺麗な花がたくさん咲いていました。牧歌的な景色もつかの間、峠の茶屋を過ぎてから一段と道路状況が悪くなりました。
(動画46秒)道路に大量の雪解け水と落石が流れ込み立往生の車続出、居合わせた皆で石をどかしたり誘導したり押したりして一台づつ難所を抜けます。
この時、水から抜け出そうとした一台のバイクが勢い余ってうちの車にドカーンとぶつかってしまいました。バイクのドライバーさんは怪我なかったみたいでよかったです。ただ車がヘコんじゃいました。
うちのドライバーさん最初は「このくらいなら、まあいいか」と言ってたんですが、三昧が「これ結構ヘコんでるよ。旅行者なら保険入ってると思うし修理代出してもらえるか聞いてみなよ。」と言い、集まっていた他の車のドライバーさん達も「そうだ、そうだ」となって「じゃあ聞いてみる」となりました。やがてニコニコ顔で戻って来たドライバーさん「ドイツ人だった、修理代出してくれるって」とのことでした。
難所を抜けたあと少しばかり走行の後再び停車。乗客の兄さんが「今すぐトイレに行きたい」と急便を申し出て急遽停車。せっかくなので皆で青空トイレタイムです。
私が車の前方に向かったので気をつかってくれたのか、男性陣は車の後方数十m向こうまで行ってくれました。ところが全員揃って道路で堂々の「野ション・野ウンコ」開始。これだけ身を隠せる岩場があるのになぜ大開放の道端でする?
すると、なんてことでしょう、絶妙なタイミングで後ろからバイクが来ました。バイクの兄さんもカーブ曲がったら野グ●軍団でさぞやびっくりしたでしょう。
ここまでじっくり写真が撮れなかったので、いい撮影タイムになってちょっとラッキー。可憐な高山植物もあちこちに咲いていました。
再び走り始めます。凄いギザギザ山。
11:30山岳荒野の中に突如出現したオアシス。
ここで3回目の休憩です。
お昼時なのでみんなでカレーを注文。(この時点でみんなぐったり疲弊)
おいしいダルカレーでした。
再び出発。山岳荒野は続くよどこまでも。
12:38タルチョ(経文の書かれた旗)はためく峠のような場所に着きました。クンズム峠(Kunzum Pass)です。ここを下ればいよいよスピティ谷です。
チョルテン(仏塔)が祀られています。
雪をかぶるヒマラヤの山々と白いチョルテン(仏塔)が神々しい景色を織りなしていました。
おーーっと、いよいよ4000mを越えて来ました。でも体調に一切変化なし。2050mのバシスト村で約一か月過ごしたので、いつの間にか高度順応できたてらしいです。一緒に乗り合わせた人たちも誰一人体調不良になりませんでした。
ここで4334mってことは、もっと高いあの山の標高はいったい何メートルだろ?
再び山岳荒野を走ります。何もなさそうな荒野にお馬さんを連れた人がいました。(どこから来てどこに行くんだろう?)
九十九折りを下った先で、さっき見かけたお馬さん達と再び遭遇。どうやらショートカット道があるみたいよ。
13:45標高3935mの小さな集落に到着しました。これまで立ち寄った季節営業のテント式ドライブインとは違って、普通に建物がある集落です。
ここで4回目の休憩です。マナリ~スピティ間の道は酷道だけど、こうして頻繁に休憩あるのが助かった。
おっ、マニ車発見。
かわいい犬の親子。お客さんに食べきれないほどたくさんチャパティもらってた。犬の親子は近くの仏教僧院に入って行って名前も呼ばれてたからそこのワンコだったようです。
ゾの子供もいました。お母さんゾはいないのかなぁ?蹄がかわいい。(ゾ=ヤクと牛の雑種・この辺りでよく見かける家畜)
再び走り始めます。この辺りからポツポツと田畑や小さな集落が出て来ました。
富士山より高い標高に位置する荒野にいくつもの小さな畑がつくられていました。人間って逞しいな。
集落と集落の間は相変わらず険しい山岳道です。実際に通っている最中はそれほど恐怖感はないけれど、離れた場所であらためて見るとなかなかキワドイ道でした。
ゾがのんびり草を食んでいます。
あ、ゴンパだ。(ゴンパ=チベット仏教の僧院)
やがて人々の暮らしの気配が増えて来て・・・
16:17やっとスピティ渓谷のカザに到着しました。朝5時10分に出発してカザに到着したのは16時17分。なんと11時間かかりました。
あの酷道をひとりで長時間運転したドライバーのお兄さんお疲れ様!「またすぐマナリに戻るの?」と聞いたら「二晩寝てからマナリに戻るよ」だそうです。ゆっくり休んで疲れ取ってね。
さぁ、はるばるやってきたスピティ谷。滞在時間が短いからめいっぱい動きまわるぞ!
▲マナリからスピティ谷への山岳道路まとめ動画です(6分10秒)