バンテアイスレイの後は東バライ周辺の遺跡をいっきに巡ります。
プレループ
アンコールワット以前に建てられた寺院で、火葬場としての役目もあったそうです。
この階段手前にある長方形の石槽で遺体を焼き、その遺灰で故人を描いたとのこと。今でいう遺影のような感じでしょうか?
この寺院もなかなかの急な階段を登りました。(上りはいいんだけどね~)
この眺めから夕日鑑賞ポイントとしても人気があるみたいです。周囲のジャングルから南国の鳥たちの甲高い声が大きく響き雰囲気満点でした。
そしてやっぱり、上りより下りの方が怖い・・。
プレループは浮彫も見事でした。
象に乗る雷神インドラ。
こちらは別バージョン。後ろ向きに見えるのは単に彫が崩れてしまったため?インドラはいつもご機嫌に見えます。
四つの顔と四本の腕を持つ創造神ブラフマー(日本でいう梵天様)の妻、芸術と学問の神サラスヴァティ(日本でいう弁天様)の浮彫です。四本の腕がしっかりと残っていました。
東メボン
先に訪問したプレループと同じ、ラージェンドラヴァルマン二世によって造られたヒンドゥー教寺院です。
そのためか、この二つの寺院は雰囲気がとてもよく似ていました。
・・・というか、画像の整理をしていてどっちがどっちだったか本気でわからなくなるレベルです。
プレループ同様に上に登れますが、なだらかなのでそれほどキツくありません。しかーーしっっ、真昼間のこの時間帯、猛暑が半端なくキツイです。
今は枯れてしまった貯水池・東バライの中央に建立されたということで、その当時はどんな様子だったんだろう?と想像してみました。
東メボンもまた浮彫が見事です。
ただアンコール遺跡はどこも素晴らしい浮彫の連続で、だんだんと感覚がマヒして、そのありがたみが薄れてしまうという。なんちゅー贅沢でしょうか。
この遺跡で一番印象に残ったのが、この実物大といわれる象さんでした。
さぁー、次の遺跡へ行きますよー。
タプローム
ジャヤヴァルマン七世によって造られた仏教寺院です。
ここは遺跡を飲み込む巨木が有名で、発見当初のアンコール遺跡群は「こんな感じだったのかもしれない」と、冒険気分を掻き立てられる場所です。そのためか観光客がひときわ多い印象でした。
浮彫もとても見事なんですが、ここでは主役の座をガジュマルに奪われちゃってます。
この木は熱帯に植生するガジュマルの一種で、ここまで育つのにいったいどれほどの年月が必要なんだろうと思ってしまいますが。
このガジュマルが遺跡を破壊しているのか支えているのか、修復にあたり議論となったようです。
その修復はインド政府が行っています。
修復前と後の写真が掲示されていました。
そして実際の修復後。
遺跡内には有名な樹木ポイントが数か所あって、そのほとんどが日・韓・中のお客さんを中心に記念撮影大会になっていました。中でも中国と韓国のお客さんは一度ポージングが始まると長い長い。座ってみたり、立ってみたり、謎のポーズをしてみたり。
なので、その景色だけを撮りたくてもなかなかチャンスが無いというか、もう諦めるしかありませんでした。
このタプロームに来てしみじみわかったことは、みんな記念撮影が本当に好きなんだなぁってことでした。
タソム
ジャヤヴァルマン七世によって造られた仏教寺院です。
この遺跡は、なぜかあまり観光客がなく静かでした。
あまりに静かだったからか、入口のチケットチェック係員は椅子に座ってグーグー寝入っています。寝ているのを起こすのも悪いんで、そっとチケットを掲示して中へ。
周囲は鬱蒼とした樹木が茂り、まさにジャングルに眠る遺跡といった雰囲気で、訪問時は南国の鳥たちの甲高い鳴き声と共に、昼間なのにトッケイの鳴き声も響いていました。樹木で薄暗いから夜と勘違いしたかな?
タソムはデバターが見応えありました。
ちょっと気の強そうな女性が多い気も・・。作者の好みかなぁ。
「アタイ、髪を脱色したんだ。ナウいだろ?」
躍動感。
そしてここの遺跡もまた、タブローム同様に樹木に呑まれつつります。
東塔門です。
凄い・・・。
この辺りで小学生くらいの女の子が物売りをしていました。
そういえば昨日巡ったスモールサーキットのどこかの遺跡だったかで、やっぱり女の子が物売りをしてたっけ。その時は日本人の男性がつかまって、最初は断っていたけど最後は根負けして何か買ってたなぁ・・。
そして今日はインド人ぽい顔の少し背の高い、そして何やらプロっぽいカメラを持った男性がつかまってました。(彼も根負けして買うのかなぁ?)と、様子を伺っていたんですが・・
女の子「ハロー、〇$、〇$」
男性「それはいらないよ」
女の子「どこから来ましたか?」
男性「ネパールだよ」
そういえば昨日もこんな感じで二言三言話した後、この客は脈ありと見るのか女の子の「買って、買って」の猛プッシュが始まったっけ。
ところが、この男性は・・・
「君は、ネパールという国を知っているかい?」
まさかの逆質問!
女の子はきょとんとした顔をしています。そして男性は身振り手振りを加えて優しくゆったりとした口調で続けました。
「ネパールという国はね、とてもとても高い山がどこまでも・・そう、どこまでも果てしなく連なっているんだ」
「ほら、あのヤシの木よりも、もっとずっと高くて大きい山で、真っ白な雪が積もるんだよ」
果たして女の子がどれくらいその英語を理解しているかはわかりませんが、私は彼女の顔を見てハッとしました。
商売をすっかりと忘れ、さっきとはまるで違う、興味に輝く活き活きとした子供の表情になっていたんです。もう女の子の口から「〇$」なんて言葉は出て来ません。女の子の中で男性が「客」から「友達」に変った瞬間でした。
グランドサーキット、まだ続きます。
次は木道の水が美しいニャック・ポアンと、見どころ満載のプリアカンへ向かいます!