2019年7月
ラダックのレーからローカルバスを乗り継いで、インドの北の果て、パキスタンのすぐ近くパルティスタン地方の小さな集落トゥルトゥクにやってきました。今日はトゥルトゥクにある観光ポイントを巡ります。
巡った主な観光ポイントは「ヤブゴ宮殿(夏の離宮)」「バルティ様式伝統家屋&博物館」「仏教寺院」の三か所です。
ヤブゴ宮殿(YABGO ROYAL PALACE TURTUK)
2019年訪問時ひとり50ルピー
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現在もヤブゴ王族の末裔が住まう宮殿(夏の離宮)です。
宮殿と言っても豪華絢爛金ピカ御殿ではなく、
凝った彫り物があしらわれた柱や門が印象的な木造建築のお屋敷でした。
トゥルトゥクらしい素朴で質素な建物。
モデル・アリャさん。
ここではなんとヤブゴ王族の末裔ヤブゴ・モハマド・カーン・カチョさん直々に歴史や展示物の案内をしていただけました。
王族の末裔と聞くと近寄りがたい雰囲気ですが、普段は農業に従事し私達のいろいろな質問にも丁寧に教えてくれる気さくなオジサンでした。
ヤブゴ王朝家系図。一番下にはカチョさんのお子さんの名前が記されています。まだまだこの先も家系図が続くんですね。
凝った彫り物がほどこされた弓矢や杖。
壁に飾られた絨毯も素敵。
凛々しい写真が並んでいます。わりと新しめな家族写真もありましたよ。
ここにもあった立派なアイベックス。
「アイベックスを見たことありますか?」と伺うと「冬になれば標高の高い山から下りて来て、群れが毎日道路を歩いている」とのこと。「群れが毎日!」と驚いていると「角の突起を見るとだいたいの年齢がわかる」と、数え方をレクチャーしていただきました。
角に動物の顔が彫られたカワイイ杖を持たせてくれました。この図柄はユキヒョウかなぁ?
バルティ様式伝統家屋&博物館(Balti Heritage House and Museum)
2019年訪問時ひとり50ルピー
→バルティ様式伝統家屋&博物館をGoogleマップで見る
次に見学したのは昔のバルティ建築家屋を一般公開した博物館です。代々継がれた邸宅のすぐ横に現在も三世代のご家族が暮らしていました。
邸宅内にはバルディ地方の伝統的な古い生活道具も展示され、日本で言うところの「バルティ民俗資料館」といったところ。
ここではイマドキの若いお兄ちゃんが案内してくれました。
一見チャラそうですが、ひとつひとつ道具を実演して丁寧にわかりやすく案内してくれます。
バルティスタンの伝統的建造物の家屋は、冬の寒さ対策のため全体的に屋根が低く窓は明り取り程度の小窓で、ひとつひとつの部屋がこぢんまりとしています。「うーーん、この感じ、どこかで見たぞ?」と思い出してみたら、改築する前の秋田のお爺ちゃんの家と似た造りでした。お爺ちゃん家はもっと小さかった。
各部屋内は薄暗く(場所によってはほぼ暗闇)展示物を、お兄ちゃんが手持ちのライトで照らして案内してくれます。暗すぎて画像がうまく撮れない・・・。
後で見返したらほとんどがブレブレでした。訪問の翌年には村に電気が通る予定なので、今頃はもっと明るく展示物も見やすくなってるかな?
冬の必需品クランポン(アイゼン)があった。
この箱には冬の間の食料となる木の実を大量に保管するんだそうです。
さらに足元のカーペットをペロリとめくると・・・
この床下収納庫にもパンパンに木の実を詰めるらしい。そういえば以前、福島県の奥会津にかつてあった「三条集落」の跡地に行ったことがあり、その集落の人達も冬の前に食料を大量に買い込み、春までほとんど集落から出て来ることがなかったらしい。
これは何だったかな?
いよいよ暗闇度が増したキッチンです。棚には伝統的なポットが並んでいます。
出ました、バター茶製造器。これは現役で使っている所を何度か見たことあります。
なんとキッチンには、こんなものがありました!囲炉裏だよーー!日本の囲炉裏そのまんま!!
「こうやって火を起こして煮炊きをする」と一通り説明が終わったところで「これと同じ囲炉裏っていうのがうちの国にもあるよ」と言ったら、お兄ちゃんがパッと満開の笑顔になって「知ってる!日本にも同じのがあるんだよね!知ってるよ!」と、とても嬉しそうに言ってました。バルティスタンと日本、遠い昔に繋がりがあったりして?
ここはママが炊事中に赤ちゃんを寝せるところ。
明るい中庭に出ました。中庭には水路が引かれていたのが印象的でした。(アンズの種の殻が散らばってる)
ここは木の実や農作物の作業所みたいな場所でもあるみたい。訪問時も片隅で小さなお婆ちゃんがチョコンと座って何か乾いた植物を処理してました。するとお兄ちゃんが「お婆ちゃんは100歳を超えてるんだよ」と言います。凄い!100歳過ぎて現役でバリバリ仕事をこなしてる。トゥルトゥクは元気なお年寄りが多いなぁー。
天然の冷蔵庫(Natural Cold Storage)
トゥルトゥクの集落には「天然の冷蔵庫」が数か所点在しています。日本でも山を歩いていると岩の隙間からヒンヤリとした冷気が漂う個所があって、そういう場所を冷蔵庫として利用しているのかな?と思いました。石組の倉庫にもなっていて、バターなど傷みやすい食品を保管したり、衣類も入れたりするとのこと。
トゥルトゥク僧院(Turtuk Monastery)
集落の外れの高台に仏教寺院があって、世界第二位の標高を誇るK2の頂が見えると聞いたので出かけてみました。途中に長閑な畑や林の小道を歩くんですが、トゥルトゥク初日の散歩で迷子になった場所によく似ている。
かわいいロバくんがいました。
雨が降って来ました。雨が降るとたちまち肌寒くなります。
高台の上に、こぢんまりとした無人のささやかな仏教寺院が見えてきました。
中は簡素ですがしっかり清掃され、定期的に管理されているのが伺えました。
トゥルトゥクの住民はほぼ全員イスラム教徒だと聞いていました。とすると誰がどこから、この小さな寺院の管理に来ているのか、近くに仏教徒のコミュニティがあるのか、それとも遠方からわざわざ来ているのか・・・いろいろ謎多き仏教寺院です。
生憎のお天気でK2は見えなかったぁー。
トゥルトゥクの畑や家々が見えました。アリャさんが「あそこに見えるのがイスラム教徒の墓地よ」と教えてくれたけど、どこが墓地なのか全然わからなかった。
ホステルに戻るとオーナーさんが、甘酸っぱくて美味しい小さな赤い実を差し入れしてくれました。
飲み物もササっと出してくれるし、ホント細かく気配りしてくれます。トゥルトゥクの男性は皆こんな感じなのかな?
ホステルにはデリーから来たインド人のご家族が新しいゲストとして加わっていました。なんとお嬢さん北京の大学に留学していて中国語が堪能。会うといつも楽しそうで朗らかな素敵なご家族でした。