フエの朝です。いきなり動画でスミマセン。ゲストハウスの窓から見えるフエの朝です。チチチッと激しくないているのは、たくさん飛び交うツバメ達です。「このツバメ達が5月には、はるばる日本まで飛んで来るのかなぁ」と思うと、なんだか親近感がわいてきます。
次の街へ移動するために予約しようとした「ベトナム統一鉄道寝台車」が、なにげに人気で席が取れず、フエに一週間滞在することになったので、せっかくなんで「まち散歩」を楽しんでみました。
まずは基本中の基本。ここは外せません、
世界遺産のグエン王朝王宮
いまさらここで書くまでもないですが、フエでは15箇所16の建物が「フエの建造物群」として世界遺産に登録され、その一番の見どころとされているのがこの王宮のようです。フエの街はフォン川を境に旧市街と新市街に分かれていて、王宮があるのが旧市街、主にホテルや街の繁華街などは新市街になるとのこと。
で、今回お世話になったホテルは新市街側フォン川近くだったわけですが、マップで調べると王宮まで歩こうと思えば歩ける距離でしたが・・・なにしろ暑い!そこでホテル近くのレンタル自転車を借りることにしました。
朝から夕方まで借りて一台50000ドン。面倒くさいので一切交渉はしていません。これが高いか安いかもわかりません。デポジットは不要でした。
ここのワンコ(勝手にポチと命名)が、とーーってもかわいいんです。ご主人大好きで、常にご主人にピッタリ。
道路の向こうにもついていきます。そしてご主人が部屋の中に入ると一緒に中へ。ポチにはもうご主人しか見えてないみたいですね。
さぁレンタル自転車で意気揚々と王宮へ!
・・・と思っていたら、
新市街から旧市街へ渡る橋の交通量が半端ない。さほど広くない道路をバイクや車が怒涛のごとく通るもんだから、いつ引っ掛けられて転倒してもおかしくない状況で本気で死ぬかと思いました。逆にバイクや車側の人にとっても、慣れない自転車漕ぎがフラフラと走ってる横を通過するときは怖かったろうな~。
そんな中、私の自転車のスタンドが走行中にいつの間にか下がっているというミニアクシデントが。私を追い越すベトナムの人達が、バイクに乗りながら、自動車の中から、はたまた後部座席の子供たちが次々と指さして大声で教えてくれました。日本で同じことになっても、たいていが知らん顔だよな~。
ベトナムの交通事情は一見無秩序に見えて、実は案外しっかりしているところはしっかりしています。というのも、日本のような自転車の道路逆走(右折左折時や、自宅から道路へ出るまでのほんの短い距離などは除く)や歩道走行をしている人はいません。まぁ歩道に関してはバイクや屋台で通行不能なことも多いし、そもそもデコボコ過ぎて危険っていうのもあります。
新市街からフォン川を渡ると、金魚屋さんが軒を連ねていました。
王宮を囲むお堀手前に着くと、大砲の後ろに駐輪場が見えました。どうやらここにバイクや自転車は置くようです。駐輪代は一台1000ドンでした。
停めるとこんな感じのチョークで印をつけられ、
番号カードを渡されます。
駐輪場から見て斜め左前方のお堀端にあるチケットブースです。フエの観光地について詳しく書かれたサイトがいくらでもあるので、いまさらココで書く必要もないかもしれませんが、もしかするとうちのサイトだけしか見ていないという奇特な御方もいるかもしれないので、そんな貴方のために念のため書きましょう。「フエの建造物群」は王宮のみと、ミンマン帝陵やカイディン帝陵なども見学できるセット券があります。
- 王宮のみ15万ドン(当日のみ有効)
- 王宮・ミンマン帝陵・カイディン帝陵28万ドン(購入から2日間有効)
- 王宮・ミンマン帝陵・カイディン帝陵・トゥドック帝陵36万ドン(購入から2日間有効)(いずれも2018年12月現在の料金)
私達はこのテの中国風建造物にはあまり興味がないので、王宮のみのチケットを購入しました。「ひとり15万ドンかぁ・・ベトナム物価からすると高いなぁ」なんて思いましたが、世界遺産の入場料とみると安い方なんじゃないですか?
お堀をボーっと見ていたら、なんとカワセミが5~6羽ズラーッと並んでいました。近づいたら反対側に飛んでっちゃいましたが。画像はかろうじて撮った一羽です。
かくして王宮は、悠久の流れを感じる素晴らしい建造物でした。
なんだか映画ラストエンペラーの一コマのような。
映画のラストシーン、現代の紫禁城に観光客の一人としてやってきた溥儀が、引き出しの中から誰も知らないコオロギをそっと出すシーンに胸がジーンと熱くなりましたっけ。
そういえばこのグエン朝も最後の王、ラストエンペラーでした。
おっ、麒麟さんがいました。王様が慈愛に満ちた国造り(政治)をすると現れる、伝説の幻獣ですね。日本人ならキリンビールのラベルでお馴染み。
この美しい建造物群もベトナム戦争で一度は破壊し尽くされたんですよね。
賑やかに人々が暮らすフエの街が激戦地になり、2800人もの人々が処刑という名の下で殺害されたフエ。戦時下というのは、人々の思考を狂わせるようです。
王宮内はあちこちで修復作業が進行中でした。
まぁ、のんびりとしたベトナムのこと、いったいどのくらいの年月がかかるかは、わかりませんが。
いまは穏やかな時間が、ただ、ただ、静かに流れます。
そんな王宮ですが、この周りのシクロやフルーツ売りは、ちょっと用心し方がいいかも。特にシクロはガラが悪い人がチラホラいて、私達が歩いていると声を掛けて来て「自転車だからいい」と言うと「嘘つき!」と強い口調で言ってきたり(嘘じゃないよぉぉ)、断った観光客にすれ違いざま罵声を浴びせたり。
フルーツ売りのオバちゃんは、カットマンゴーを一袋10万ドンとふっかけてきたり。(←このくらいわかりやすいと、逆にかわいいもんです)この時は欧米の女性2人と三昧の三人でそれぞれ一袋づづマンゴーやパイナップルを買おうとしたんですが、あまりの金額に三人同時に「ソ~リ~」と、おばちゃんにフルーツを戻してました。普通に商売してたら三つ売れたのになぁ・・でも、一発逆転で10万ドンの大穴狙ったのかなぁ、なんていろいろ考えてしまいました。
勿論、これほどの大観光地にもかかわらず街中のコンビニとほとんど変わらない値段で普通に商売している人もいましたよ。相場をある程度知っていれば、大きくふっかけられても買わなきゃいいだけです。
気分が悪いのはやっぱりごく一部の悪質なシクロかなぁ。こういう人は全体のほんの一握りだと思うんですが、ひとりでもそういう人に出くわすと、フエに対する印象が悪くなっちゃいますよね。三昧に言わせると「みんな生活かかってるから必死なんだよ。てぶらで家に帰ったら母ちゃんや子供にいろいろ言われちゃうし、一円でも多く稼いでビールの一本でも飲んで憂さも晴らしたいだろうし。」ってことです。
お次は世界遺産関連の次ぐらいに有名かもしれない
フエの日本橋タントアン橋
※ここへ行くには、帽子と水分必須!
フエの「日本橋」と呼ばれるタイントアン橋。ここは距離的に徒歩ではキツイので、再びポチの所で自転車を借りました。
車の往来激しく埃っぽいフエの市街地を抜けると、周囲の景色はアッサリとのどかな田園風景に。ただこの道、大きなトラックが時々行き交うんで、その時は用心が必要。
途中で後から来た欧米のツアー客十数人に追い抜かれました。皆マウンテンバイク+ヘルメット装着。
アヒルの養殖場。
かわいいなぁ。でもみんな、いずれは食べられちゃうのかなぁ。
やがて、寺院を過ぎると小さな集落に到着。
細い運河が流れる静かな集落です。集落を進みT字路に突き当ったら左へ。
すると、ほどなくして地域のマーケットです。
このマーケットの駐輪場に自転車を停めます。駐車は自転車一台1000ドン。
駐輪場の周囲では、のんびりガチョウや鶏が闊歩していました。
タントアン橋です。
まるでモネの絵画のような美しさです。
ホイアンの来遠橋はちょっと観光地・観光地し過ぎてあまり心に響かなかったんですが、このタントアン橋は不思議と響きました。
周囲が静かな田園風景だったのがよかったのかもしれません。
地域の昔の暮らしなどを展示する、いわゆる民俗資料館的な所もありました。ひとり20000ドン。このテの資料館は日本にもちょいちょいあって、たいてい100円くらいだったりするので、ベトナム相場からするとちょっと高いのかなぁという気もしますが、これが多少なりとも集落の収益になるなら全然OKです。
展示物は少なく、すぐ見終わりますが、お婆ちゃんによる昔の農耕の様子の実演もありました。
見学者は私達ふたりだけでしたが、丁寧にいろいろ見せてくれました。合間合間にムチをふりあげ「バッファロー!」と叫びながら三昧を追い掛け回すのは、お婆ちゃんお決まりのネタなのかもしれません。全ての実演が終わった後、少しばかりですがお礼をお渡ししようかと思っていたのですが、かなりの急ぎ足でその場を立ち去ったので、慌てて後を追いかけました。外ではお孫ちゃんが待ってたみたいですね。
タントアン橋、周囲ののどかな景色も含め楽しめましたが、とにかく炎天下の自転車がキツかったな~。フエの中心地から自転車でのんびり行くには丁度いい距離なんだけど、日焼け止めを塗らなかった首の後ろが真っ赤に日焼けして、熱中症状態になってしまったっっ。
ヘン島(しじみ島)散策
フエの名物はいくつかありますが、私が特に好きなのがヘン(しじみ)を使った料理です。宿泊したホテルの近くにある橋を渡ると、「コムヘン」というシジミを使った混ぜご飯を出す店があるんですが、そこから更にフォン川に沿った通りを進むと、ヘン島へ渡る細い橋が登場します。ホテルからは徒歩でも十分行ける距離ですが、自転車で行ってみました。
車も通れない細い橋を渡ると・・・
ローカル度満点のヘン島です。
橋向こうの市街地はあんなに賑やかなのに、たった一本の橋を渡っただけでビックリするくらいローカルになりました。というか、ちょっとインフラ格差が心配になってしまうほど局地的にローカルです。
これといった見どころは無いんですが、ローカルで素朴な島の暮らしぶりを垣間見れたのが良かったです。自転車でウロウロしていると地域の人が声をかけてくれたりもしました。
ただ、周囲を取り囲むフォン川はあまり綺麗じゃなくて、というか臭くてゴミも凄くて汚いんです。三昧は思わず「あのコムヘンはここで獲れたシジミかぁ・・」と呟いておりましたが。
ただコムヘンはめちゃうまです。シジミの身たっぷりの混ぜご飯に、シジミのスープ、全部一緒に混ぜ混ぜしていただきます。コムヘン×2・さとうきびジュース×1全部で40000ドン。旨い、旨すぎる・・(←埼玉県民だけがわかるネタ)
それでは、きょうはこのへんで。