2019年8月23日
ウズベキスタンのサマルカンドです。サマルカンドはシルクロードの十字路として、古の時代から世界各国の手練れた商人たち相手に商売をしてきた地。
そのバザール(市場)とくれば「さぞや凄腕の商人がいるに違いない」と思い、興味津々で行ってみることにしました。
結論としては、サマルカンドの商人技法は「話術・距離感・タイミング」全てが絶妙で、その術はやっぱり凄かった。丸腰の観光客が行って「わぁ~こんなに値切れた」と喜んだところで所詮は手の上の猿です。
サマルカンドのシヨブバザール
レギスタン広場でゴージャスなマドラサ見学を終え、お次はシヨブバザールを目指します。
徒歩でも行ける距離なんですが暑い。昼間はギンギンに容赦なく太陽が照らして、とにかく暑いんです。すると、何やらバザールまで有料で運んでくれる電気自動車みたいのがあるじゃないですか。
ひとり2000スム。乗った。
迷いようのない一本道をユルユル進みます。
自転車アニキがちゃっかりコバンザメ移動。
ゆっくり進んでシヨブバザールの入り口に到着。途中に見学したかったビビハニム・モスクがあったので帰りに寄ってみます。
門をくぐると、いきなり後ろから「オオカミのぉぉぉ~♪」という日本語が聞こえてきます。
久々に聞いた日本語+リズミカルな「オオカミのぉぉぉ~♪」に思わず振り向くと、まさに絶妙タイミングで「牙ぁぁ~♪」と言いながら満面の笑みをたたえたオバちゃんが、ゆっくりと何かの牙がぶら下がったネックレスを掲げていました。
(なにぃ!?オオカミの牙だって!?見たい!近くで見たい!でも行ったらオバちゃんの思うツボにハマってしまう)
ここはグッと堪えて先へ進みます。
門を入ると広ーーい空間に、ズラリとナッツやドライフルーツなどを売る店が並んでいます。
「こんなに同じものばっか売って需要あんの?」と思ってしまうくらい延々とナッツ&ドライフルーツです。
ここがエジプトだったら、ドライフルーツを目の前にグイグイ突き付けて強烈に「買って買って買って」を連呼しそうですが、サマルカンドの商人は決して押し売りしません。目が合うと優しく微笑んで「こんにちは」とか「暑いね」とかそんな感じで緩い挨拶を交わします。
そして必ず聞かれるのは「どこから来たの?」です。おそらく国によって営業の手法を変えるんだと思います。穏やかな語り口についついこちらも乗ってちょっとした会話。
すると目の前にスっと試食用のドライフルーツがスマートに差し出されます。あたかも知人の家にお邪魔して「お茶菓子もどうぞ」みたいな自然な流れです。そうなるとこちらも「ではひとつ」と自然につまんじゃいます。
これがまためちゃめちゃ美味しい!
こちらの脈ありな表情を素早く確認すると「これも食べてみて」と別のドライフルーツ登場。もちろんコレもめちやめちゃ美味しい!特に干し柿(?)にクルミがさし込んである茶色の大きいの。肉厚で柔らかく甘味が濃厚でフルーティで「ナニコレ、ビックリするくらい美味しい!」
…で、気が付いたら買ってました。ドライフルーツとナッツを。
もちろん交渉して言い値の半額近くで、おまけのナッツもたくさん付けてくれて1000円くらい。「いい買い物ができた」と喜んでいたら…
バザール内で別の店で買い物したインド人に遭遇。私達の5倍以上ありそうなナッツとドライフルーツの入った袋を重そうに持っていて、全部で700円くらいで済んだと!(な…なにぃぃ!?)
気を取り直してバザール見学を続けます。ケーキ屋さん。
華やかなホールケーキがズラリ。何て書いてあるのかな?
ビスケットなんかを大量に売るお菓子屋さん。
この辺はお菓子屋さんが集まってます。
こちらは青果コーナー。
青果エリアはほぼ地元のお客さんで活気がありました。
細長いメロンと丸いメロン、スイカもあります。
中央アジアのメロンは熟れて甘いのはめちゃめちゃ美味しいけれど、いくら追熟させてもいまいち味が薄いのもあって当たり外れの差が大きい。
イチヂクはビッチリと並べるのが定番みたい。
ウズベキスタンのあちこちで見かけるグリルチキン屋さん。皮とお肉がジューシーで美味しいけれど、二人で一羽買うと食べきるのに二日かかりました。
ウズベキスタンで時々見かけるジューススタンド。
黒い方が謎で試したかったけれど、無難なオレンジ色の方にした。
シヨブバザールも他所の市場同様に、規模が大きいのでゆっくり見て歩くとアッという間に時間が過ぎちゃいます。ただタシュケントのバザールと比べると人は少ないしゴチャゴチャしていないし、気分的にゆっくり見学できました。
ビビハニム・モスクとビビハニム廟
シヨブバザールの近くにあるビビハニム・モスクとビビハニム廟に寄ってみました。
軍事の天才で広大な領土を築いたティムール。その奥さんの名前を付けた大きなモスクを建築。それがここビビハニム・モスクです。
とにかく大きい。どぉぉぉーーーん!画像に小さく写る三昧と比べてもその大きさがおわかりいただけると思います。
これだけの建造物、クレーンもショベルも無かった時代に大変だったろうなぁと思っていたら、なんとインドから連れて来たゾウを大量投入して造り上げたらしいです。
けれど完成からほどなくして、デザイン性と大きさばかりを重視し建築技術が追い付かなかったのか、あちこちで崩壊が起こり、さらに大地震が追い打ちをかけ無残にも廃墟同然となってしまい長年放置。
ソ連によって歴史的建造物としての価値が見直され、修復がはじまったのは1974年らしい。
まだ修復途中と思われる箇所も。
全てを真新しくビシーっと修復するんじやなくて、こういう部分をあえて残すのも、この建造物の歴史の一端を知ることができるので、いいかもしれない。
ドームの上に草が生えてサボテンみたいになってる。
大理石でできた大きな書見台(ラウヒ)。この書見台を3周すると願いが叶うらしいですよ。何人かがぐるぐるまわってました。
ビビハニム・モスクの向かいには、奥さんとそのお母さんと姉妹のお墓「ビビハニム廟」もありました。
外の石板に埋め込んであったこれは何だろう??
お墓ということもあって、内部の写真を撮っていいかわからず聞くと大丈夫でした。
棺の前にはベンチスペースがあって、見学者が座っています。
綺麗な織物の掛けられた棺が五つ。四つは明るい色調の同じ柄、ひとつだけシックな色合いの落ち着いた柄の織物が掛けられていました。
想定外のホットドック
レギスタン広場に戻る途中、小腹が空いたので若者たちが集っていたファストフード的なお店に入ってみました。若い子ばっかりのお店でオジサン・オバサンはめちゃめちゃ浮いていた。
メニューにホットドックとあったので、その中のひとつを適当に指さして「コレちょうだい」。するとスタッフさんが「ソーセージ1本?2本?」と聞くので無難に1本にしておきました。
その他にもいろいろ美味しそうなメニューが目に入り、軽く小腹満たしのはずがいろいろ注文。…まぁそれはいいとして、出て来た「ホットドック」があまりに想定外でした。
右端のビニール袋に入ったのが「ホットドック」です。しかもデカい。
この「ホットドック」と呼ばれる謎の食べ物が超ジャンクで、生地の中にパンパンにつまった甘酸っぱいビーツその他野菜、そしてソーセージ1本。それらを覆いつくすかのようにタップタプに入ったマヨネーズの海。中高年殺しのヘビー級。
なんとか完食したけど、マジでキツかった。