秋の燕岳・燕山荘テント泊

潔い秋晴れとなった土日は、北アルプスの玄関口、燕岳でテント泊でした。はじめての燕岳は、とっても楽しかった!週末のたびに雨に泣かされた今秋をジッと耐え忍んだ先に、山は、とびっきりの秋晴れと大展望をプレゼントしてくれました!

 

これが噂の燕岳登山口・駐車場争奪戦

2016年10月15日(土)
中房温泉が登山口となる燕岳は、北アルプスの大人気縦走路の玄関口にもなるため、「第一・第二・第三」と三箇所用意された駐車場は早々に満車になるらしく、頑張って前日の金曜日夜に出発。安曇野インターを降り、中房温泉へと続く暗く細いクネクネ山道(327号線)を進み駐車場へ到着したのは、日付をまたいだ深夜1時頃でした。

327号線は先行する車と三台連なるように走っていたのですが、到着した第二駐車場は我家を含めたこの三台で正規の駐車枠は満車!ふーーっ、危なかった!ギリギリセーフ!第一駐車場は確認しなかったのですが、第二が満車なら第一も既に満車でしょう。その後も続々と車はやってきて、細い通路にどんどん停めてゆきます。駐車場出入り口の角にまで駐車され、翌日の下山時は大き目の車が出るに出られず苦労してましたよ。

 

第一駐車場(翌日の下山時撮影)

 

第二駐車場(翌日の下山時撮影)

噂に聞いた平成駐車場合戦を目の当たりにし、北アルプスの尋常じゃない大フィーバーぶりにビックリ。少しばかり仮眠後、5:40まだ薄暗い中を駐車場出発。とぼとぼと中房温泉まで行き、登山相談所にて登山届け提出。トイレを済ませ、ベンチにておにぎり朝食。

 

いよいよ出発・合戦尾根

6:15身支度整え、今度こそ本当に出発!最初は地味で急な樹林帯を進みます。夏場は湿度が多そうですが、さすがに10月も半ば、ヒンヤリとした爽やかな空気が心地よいです。楽しみにしていた紅葉は・・これからなのか、もう終わっちゃったのか??あまり見当たりません。

登山道の下の方を見ると続々とハイカーさんが上ってきます。燕岳って本当に人気があるんだなぁー。多くの人は身軽な日帰り(もしくは小屋泊)装備、テント泊と思われる装備もチラホラ。

高校生位のテント装備グループがいたので声を掛けてみると「きょうは燕山荘にテント泊で、明日は大天井へ行きます!」との事。「じゃあ、きょうのテント場は、この子達と一緒かな」なんて思っていたら結局燕山荘テント場には姿を現さず。まだ時間が早かったし、若いし大天井まで行ったかな?

 

それにしても二ヶ月ぶりのテント装備が重いのなんのって。寒さ対策の冬用寝袋やらダウンの衣類やらで、夏と比べ重さ倍増。特に今回がリハビリ山行となった三昧は相当キツそうです。

 

・・・はて?リハビリ山行とは?実は前回の火打山の途中から三昧が「なんか体が重い」と言い出しまして、その後も背中が痛い熱が続くで病院へ行ってみると、急性疾患に罹患しておりました。熱は40℃まで鰻のぼり、その高熱のまま10日ほど寝たきりに。おかげで完治するまでの約3週間ほとんど筋肉を使ってませんでした。・・・で、今回がそのリハビリ山行です。

あまりにキツそうに見えたのか「荷物重そうですね、がんばってください」と励まされたりしながら、鬱蒼とした樹林帯を抜け、しばらく進むと・・

 

8:40合戦小屋です。夏場はスイカが名物のようですが、この季節はお汁粉がウリになっていました。ベンチやテーブルは霜が薄っすらと覆い、手洗い水には氷が張っています。ここで少しばかり休憩。そうこうしている間も続々とお客さんがやってきて、飛ぶようにお汁粉が売れて行きます。

 

8:55合戦小屋を出発して更に足を進めます。

 

すると・・おっ?

 

槍です。唐突に槍が出現しました。ぴょこんと小槍も見えます。

なんともテンションが上がる尾根道です。この辺りから昨夜小屋泊したと思われるハイカーさん達とも擦違うようになりました。充実した小屋泊だったようで、皆さん満足そうな笑顔で下りて来ます。そして何度も「いい日に来て良かったね」と声をかけていただきました。

 

気が付けば燕山荘は目の前です。目の前と言ってもホイホイ着くわけではありません。何気にここからの一歩一歩がキツかったなぁ。「うわぁ・・あんな高い所にあるよ~、あそこまで行くのかぁー」と。

 

燕山荘・テント場

9:55やっと燕山荘到着!いやーキツかった。一度でいいから「テント装備なのに楽々到着できました~」なんて言ってみたい。

 

燕山荘からの眺めはというと・・・これは凄い!真っ青な秋空の下、山々の陰影がリアルに迫ってきます。

 

槍ヶ岳方面もバッチリ。

 

早速テントの受付。テントは一人700円で、支払いの証にオレンジ色の幕営手形を受け取ります。受付けの人に「きょうはとても混むと思いますので、早めにテントを張った方がいいですよ」と教えていただく。

テント場は北アルプスの反対側に面していて、安曇野の町並みや富士山、南アルプス、八ヶ岳などが遠望できます。画像は10:00頃ですが、写っているテントの大半が前日に張られたもので、この後ほどなくして、ほとんどが撤収しました。一見すると画像で見える部分だけがテント場のように見えますが、一番奥の白いテントの先にも段々畑状に下に向かって続いています。

 

これがその奥のテント場です。左に写っている小屋はトイレです。目の前に燕岳がドーンと迫り眺望もよいですが、日当たりが悪く寒いです。また、トイレの近くだと臭うかもしれません。この日当たりの悪さが敬遠されるのか、夕方になっても数張り増えただけで、最後までガラーーーンとしていました。

トイレはテント場専用のボットンを使う事になります。テント泊では山荘内のトイレは使用できません。ボットンなので臭いが強く、到着早々にトイレに行った三昧が「扉を開けたらハエが50匹位わんわん飛び回っていてビックリした!」と、恐怖に顔を引きつらせながら帰って来ました。更に不思議な事に、午後にトイレにいくと「あんなにいたハエが、今度は一匹もいない!」と二度目のビックリ。気温が下がって寒くて便槽で寝てるか、殺虫剤でも撒いたんですかね??

水は1L200円でわけてもらえます。自分で汲むのではなく、山荘東側にある喫茶店の外窓口に持参した容器を渡すと、中で入れてくれるシステムです。

 

肝心のテント設営ですが、どこにしようか少しだけ迷った後、富士山を望む日当たりの良い山荘側に張ってみました。張り終えたところで、おにぎりの昼食、そしてプシューッと一本!ビールは350ml・500円、ロング缶・700円で売られています。空き缶は引き取ってもらえます。おつまみは山行前にセブンで買った野菜スティックです。

2023年再訪時をメインに「燕山荘テント場の様子」をこちらのページに詳しく載せました。

 

テント場から山荘を見ると大勢の人で賑わっているのが見えます。多くは日帰りの人で、みんな楽しそうにお昼ゴハンを食べていました。

 

北アルプスの女王・燕岳へ

さぁ本日のメインイベント、北アルプスの女王と呼ばれる燕岳へ参りましょう~!燕山荘からは、のんびりと散策しながら30分ほどで到着します。

 

有名なイルカ岩。

 

そしてメガネ岩。周囲には○○岩と名の付きそうな奇岩が勢ぞろい。

 

振り返るとギザギザとした奇岩の向こうに燕山荘が見えます。こうして見ると、高台に建つ富豪の屋敷みたい。

 

燕岳山頂に到着しました!山頂はとても狭く(これまで行った山の中で一番狭い)、記念撮影をしたら、次の人のためにとっとと降ります。

 

北燕岳の向こうに立山や剱岳が迫ります。

 

せっかくなので、北燕岳にも行ってみました。ここには山頂標識がないんですね。ここが山頂かな?と思える場所で記念撮影。更に先にも行ってみたけれど、何もなかったなー。この道は、餓鬼岳へ続いているようです。時間を見ると15時。空気がヒンヤリとして来ました。そろそろテント場へ戻りましょ。

 

夕暮れの燕山荘テント場

燕岳が夕日に染まってきました。

 

夕暮れのテント場です。17時で気温は3℃。風が無いので体感温度はそれほど低くないです。冷え込む前にダウンのジャケットとズボンを着込みました。ダウンのズボンは今回初めて着てみましたが、これが効果抜群。夜になっても足があたたかでした。夕飯はパイタン鍋です。熱々で美味しかったなぁー。

 

北アルプスの山々に陽が沈みます。

 

皆さん名残惜しそうに、いつまでも空を眺めていました。

 

日没後に売店で買い物をしようかと、山荘を少しだけ覗いてみました・・・が大混雑で断念。

 

空に浩々と輝く十四日月。それでは、おやすみなさい・・。

 

燕山荘テント場から見えるご来光

2016年10月16日(日)

日付をまたぐ頃、トイレに起きた三昧に「雪かなぁ外が真っ白だ」と言われ見てみると、浩々と照らす月の下で一面の霜がキラキラと輝いていました。テントの中は結露しなかったものの、フライの内側には氷が付着しシャリシャリしています。どうやら冷たい空気が流れ込んで来たようです。

次に目が覚めたのは4時頃。外の気温は約-1℃でした。いつのまにか暖かな空気に入れ替わったようで、夜中にあった一面の霜は無くなっていました。まだ真っ暗な登山道を熊鈴鳴らしながらヘッドランプの灯りがユラユラと近づいて来るのが見えます。「もう上って来た人がいるんだ・・」

しばらくテントの中でゴロゴロ。今回は寒さ対策のため寝袋を♯3から♯1に引き上げて、これがホカホカフワフワで心地いいんです。今回位の気温では、まーーったく寒さを感じる事はありませんでした。それにしても、昨夜はうちのテントを含め周囲のイビキが凄かったなぁー。両隣も後ろも我家もみんなイビキ。しかも大イビキ。みんな疲れていたのかな?

 

夜明けです。

 

燕山荘も人が動き始めました。

 

街の灯りが残る中、南アルプスの向こうに富士山がクッキリと浮かび上がってきました。

 

後ろを見ると、鷲羽岳とワリモ岳に月が沈もうとしていました。

さようなら、十四日月。次に会うときは満月だね。この時、足元のハイマツの中からは、グゥゥゥェェェッという雷鳥の鳴き声が。姿は見えなかったけれどすぐ近くにいたようです。

 

さぁ、いよいよご来光来ましたよーーー!新しい朝の始まりです。

 

眩しい朝陽を浴びながらラーメンの朝食。寒い朝に熱々ラーメンが美味しい。

 

きょうもいい天気になりそうですね。

 

テント場では、そろそろ撤収が始まりました。

 

足元にはテント場のおこぼれを探しに?小鳥がうろうろしていました。随分人馴れしていて、全然逃げません。

 

8:07さぁ帰りましょうか、この眺めをしっかり心に焼き付けます。一晩お世話になりました。帰りは来た道を淡々と下るのみです。空は今日も青空。無風であたたかで、本当にいい日に来られました。

 

8:20合戦沢の頭。ここから先が何気に大変だったなぁー。日帰り組との擦違いで時々詰まり、思うように先へ進みません。でも「夏のピーク時よりは全然人が少ない」の声も聞こえてきたので、夏場の混雑はとんでもない状況なのかなぁ。

8:37合戦小屋。相変わらず大人気で、大勢の人で賑わっていました。

 

10:15中房温泉の登山口まで戻って来ました。その後、舗装路を歩き、第二駐車場まで帰って来たのは10:20。

 

出発時は暗くてわからなかったのですが、駐車期間は最大2日間まで、縦走などの長期間はご遠慮くださいと書かれてました。第二駐車場には「幕営・自炊を厳に禁ずる」の文字も。

さぁー早く〆の温泉に浸かるぞぉ~。下山の人が押し寄せそうな中房温泉や有明荘は素通りし、お邪魔したのは常念岳の時にもお世話になった穂高温泉の富士尾山荘です。綺麗に澄んだ無色透明の湯に身を浸す瞬間の幸福感!「あ゛ーーっっ、このためにテント泊したんだよ」と思わず唸ってしまいます。浴後はカツどんを注文。おいしかったです。

はじめて歩いた燕岳。爽やかな秋晴れの下、絵画のような大展望を見る事ができて本当に良かったです。燕山荘の華やかさもあってか、お客さんは圧倒的に女性率が高かったです。時間が許せば、その先の縦走路に足を進めたい!そう思える北アルプスの玄関口でした。

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