インド・ラダック【仏教徒が歓喜に湧いた夏】2019年8月ラダックが連邦直轄領へ

2019年8月8日

インド北部のレーに滞在していた2019年8月、この地で起きた大きな出来事がブレイキングニュースとなって世界中を駆け巡りました。

それは滞在していたジャンムーカシミール州で、長年独自の立法や司法が認められていた憲法370条が突然の廃止発表となり、そのことに端を発してカシミールを巡って争いが絶えなかったパキスタンとインド間の高まる緊張、デモ隊と治安部隊との衝突、騒動に巻き込まれ翻弄する人々、ニュースで流れたのはそんな緊迫した内容だったと思います。

 

ところが滞在していたレーは様子が違っていました。混乱の渦に巻き込まれるどころか、住民の約半数を占める仏教徒のラダッキの間では歓喜が沸き起こっていました。

 

というのも、もともとこの地はラダック王朝という仏教の独立国だったらしく、今回の憲法370条廃止にともないジャンムーカシミール州に組み込まれていたラダックが分割されるというんです。

 

地元ラダッキは「ムスリムのシュリナーガルと仏教のラダックが分かれた!こんなハッピーなことはない!」と歓喜と興奮の中にありました。

ラダックの仏教徒にとって長年の悲願が叶った瞬間だったのかもしれません。

 

街では憲法370条廃止を公約に掲げていたBJP(インド人民党/ヒンドゥー至上主義政党)支持団体による歓喜の踊りが行われていました。

 

踊りの動画もどうぞ。(1分6秒)

 

ただまったく影響がなかったといえばそうではなく、レーでもインターネットが遮断されたり電話が通じなくなったりがありました。

 

郊外に行けば延々連なるインド軍の車列。(もしかすると国境が接しているデリケートな地域なので、いつもこんな感じかもしれません)

 

周辺の山々ではパトロールのヘリコプターも多く飛びまわっていました。

 

ホステルの女将さん情報によると、国境周辺の警備を強化しているためらしいです。

 

仏教徒によるゴンパでの祝賀イベント

女将さんに「あなたたちも仏教徒なんだからメインバザールにあるソマゴンパでお祝いのセレモニーがあるから行ってみなさい」と言われ出かけてみました。

 

ソマゴンパは大勢の仏教徒で埋め尽くされ、みんな口々に「とても幸せだ!」と歓喜に湧いていました。

 

それにしても、よくこれだけ大勢の人が集まったなぁー。

 

炎天下の会場は、強い太陽光線が降り注いで容赦なく暑いっっ。

 

大勢の人が集まる場所ではすっかりお馴染みの、バター茶のおふるまい。暑い中で飲む熱いお茶、これが結構クセになる美味しさ。

 

ここでは紙コップもたくさん用意されていたので、自前のコップを持っていかなくても大丈夫でした。

 

お菓子のおふるまいも。

 

周囲の人の様子からして、あきらかにお偉い高僧と思われる僧侶登場。

 

旗の掲揚。

 

途中で引っかかって僧侶のひとりが上に登って縺れを解く一幕も。

 

一瞬動画をどうぞ。(5秒弱)※音が大きめ
 

無事掲揚。見上げる青空がまぶしい。

 

そしてインド国歌斉唱。人々は拳をあげシュプレヒコール、中にはモディ氏の名を叫ぶ人もありました。

 

お偉い方々による挨拶。とてつもなく長い(これは世界共通)。

 

兄さんたちによる、お祝いの踊り。

 

この界隈はどうやらユル~イ踊りが多いみたい。

 

日本でもお馴染み、食べ物持ち寄りマダム。

 

お裾分けいただきました。

式典の途中あまりの暑さ&ランチを食べにいったん抜けて再び戻るとすでにメインセレモニーはお開きとなり・・

 

熱唱カラオケ大会が行われていました。

 

レーの街では仏教徒が歓喜に湧く一方でムスリムの人たちが不安げな表情を浮かべていました。レーの約半数は仏教徒、約半数はムスリムだと聞きました。

滞在中に顔なじみになったパキスタン出身の店主のいる商店に行くと、いつもと変わらない笑顔で迎えてくれました。

この時は彼の故郷のパキスタンの話になって「日本人はぜんぜんパキスタンに来ないね。パキスタンは綺麗な所だよ、今度行ってみてよ」なんて雑談をしたりしました。そんな彼らの心情を思うと、なんだか心の奥にポチャンと石を投げ込まれたような気持ちになってきました。

 

それまでまったくわからなかったジャンムーカシミール州やラダックのこと。ブレイキングニュースの内側をほんの少しだけ垣間見たできごとでした。

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