知らぬ間に梅雨が明けて夏本番スタートダッシュの猛暑となった6月26日曜日は、群馬県が誇る名峰「谷川岳」を数年ぶりに登ってきました。
この時期の谷川岳は樹林帯を抜けた岩場にホソバヒナウスユキソウや雪割草やハクサンイチゲなど多種の高山植物があちこちに咲いてそれはそれは美し~のです。
・・・ただ暑いんですよ。梅雨から盛夏にかけてのこの時期の谷川連峰はどこもむちゃくちゃ暑い。
実は前日にあまりの蒸し暑さに途中撤退してました
↑湿度多過ぎて幻想的な見たくれになる樹林帯。
ほんとうなら前日の土曜日が谷川岳を登る日でした。土曜日の朝、意気揚々と早朝の西黒尾根登山口を歩き出したものの、樹林帯がいままでの西黒尾根では経験したことが無いような湿度と気温で、例えるなら「換気の悪い蒸し風呂」のようでした。
全身から流れる汗が止まらず樹林帯を抜ける前から体力消耗を感じて、まだ余力のあるうちにラクダのコルの手前で撤退しました。下山してみるとその日は群馬県の伊勢崎で40.2℃、涼しさを期待していたみなかみ市も32.9℃で結構ヤバかった。夜明け前に降ったらしい雨の影響もあったのかも。
気を取り直して西黒尾根再スタート
2022年6月26日(日)
5:14そんなわけで翌日、気を取り直して再び西黒尾根登山口スタートです。この日も蒸し暑かったけれど、昨日に比べれば湿度も気温もそれほど高くなくて体がかなり楽です。二日連続で実際に歩いてみたリアルな感想として昨日の蒸し暑さはやっぱりかなり酷かった。
しばらくはジメリとした樹林帯を黙々と歩きます。「昨日よりは楽」と言いながらも高温多湿の樹林帯はキツイ。歩くのが遅いからどんどん抜かされるぅ~。
5:51西黒尾根名物の曲がった木。
ギョリンソウがあちこちで顔を出していました。
6:51パッと目の前が開けて樹林帯を抜けました!「あー爽やかだ~」ジメジメとした眺望の無い樹林帯から解き放たれたこの解放感。
花も輝いて見えます。
三国山では終盤だったタニウツギは、まだまだ蕾がたくさん。
向こうの山にはロープウェイ駅の「谷川岳天神平」が見えます。今日の帰路は優雅にロープウェイに乗るつもり。
あっ、これから向かう谷川岳の山頂オキの耳とトマの耳が見えます。
空を見上げるとなにやら大きな猛禽が悠々と飛んでました。
さぁここから西黒尾根が楽しくなりますよ~。まずは三連続で鎖場登場。足場があって難易度は高くないけれどツルツル滑る岩場で、乗り上げたときの高度感が最高。
7:20ラクダの背です。この木造の標柱もすっかり年季入って来たなぁ。
これから歩く道がジグザグに続いています。よーーくみると、すでにたくさんの人が歩いてる。そして樹林帯抜けて湿度から解放されたのに今度は容赦ない直射日光が痛い。この時期の谷川岳はどこにいても暑いよぉ。
谷川岳の難敵・ブヨ
初夏の谷川岳には蒸し暑さの他にもうひとつ厄介な敵がいます。それがブヨ!樹林帯から稜線まで所かまわず常に小さな羽虫が数十匹くらいまとわりついてくるんですが、その中に黒くて小さなハエのようなブヨが混ざってます。
山歩きをする人ならブヨに噛まれるとどうなるか知ってると思うので省きますが、このブヨが今回はとにかく多かった。虫よけを念入りに塗ったのに汗で流れ落ちた場所を狙ってくるし、鎖場などで手が離せない時に限って噛まれるし。気が付いたら肘とこめかみと頭の上と首の後ろを噛まれてました。ブヨを撃退してくれる赤とんぼくんは本格始動前で、この日は一匹しか見ませんでした。(早く本格始動しておくれ~)
7:25ラクダのコルです。ここでもうひとつの登山道「厳剛新道」と合流します。「厳剛新道」は初めて谷川岳を登った時の思い出の登山道。西黒尾根と同じく急登でキツイ道ですが、鎖場があったり樹林帯では真横にマチガ沢の残雪が見える場所もあってかなり好きな登山道でした。
谷川岳のオヤマレンゲ
上の画像は2012年に厳剛新道で撮ったオヤマレンゲです。谷川岳にもオヤマレンゲは咲くんですが「こうして登山道上に咲く場所は自分の知る限りここだけかもしれない」と厳剛新道で出会ったフォトグラファーの方に教えていただきました。
その思い出の厳剛新道は2022年6月時点で、急斜面の雪渓トラバースや崩落などで西黒尾根より危険個所が多いようです。
谷川岳の高山植物
ラクダのコルからずんずん高度をあげると、おや?花が増えて来たぞ。
出ました谷川岳名物のホソバヒナウスユキソウ。これを見るために谷川岳に来ました。
アップで見ると手芸作品みたい。これが自然の植物なんだからホント不思議。
このピンクの花は雪割草かハクサンコザクラかいつも判断に迷う。
山の花の大常連イワカガミ。
白いイワカガミも咲いていました。花がお好きな方は肩ノ小屋に着いたら少しだけ主脈縦走路方面へ行ってみてください。ほんの少し歩いただけで、たくさんのお花たちに出会えます。
目の前にはオキの耳・トマの耳。だいぶ近づいて来た。
9:03おっ雪田だ。ここまでくればあとちょっと。今年は雪の残りが多い気がする。スライドしたお兄ちゃんに右側に巻く道を教えてもらったけど、雪田の上をそのまま進みました。雪田の前方左側からは天神尾根組のハイカーさんが続々と登ってきます。
雪田の近くは気温が低いからかショウジョウバカマが咲いていました。
まさかのロープウェイ運休
9:08肩ノ小屋です。小屋前の広場にはベンチがあって何組かのハイカーさんが休憩していました。私達もここでトイレ休憩も兼ねてひと休み。復路はロープウェイで楽々下山なので気分的に余裕があります。すると、なぜか肩ノ小屋のご主人が出て来られて、ここで衝撃のひとこと。
お客様に報告でーす!さきほど機器故障でロープウェイ運休しましたぁぁー!
「うぇぇぇぇーーー!?」肩ノ小屋前の広場でもたらされた衝撃発表に、居合わせたハイカー皆さん一斉どよめき。・・・この瞬間に帰路はロープウェイでのんびり下山の夢は儚く消えました(:_;)
いつ復旧するかわからないロープウェイを待っていたら下山の時間が読めないんで、もぅとっとと諦めてどのルートで帰るか地図を広げて緊急会議です。下山の候補は三つ。
- 何度か歩いたことがある西黒尾根(でも二日連チャン往復もぅ飽きた)
- 一度だけ下山で歩いたことのある茂倉新道(西黒に比べると歩きやすい・距離長い・電車に乗り遅れたら最悪)
- 一度も歩いたこと無い田尻尾根(歩いたことのない道なので不安・途中まで天神尾根を歩くのでロープウェイ復旧して乗れるかも?)
3分ほどの話し合いの末、馴染みのある西黒尾根を下ることにしました。まさか蒸し暑Maxの西黒尾根の樹林帯を二日続けて往復するとはね~・・・ふぅ・・(意気消沈)。
谷川岳山頂「オキの耳」と「トマの耳」へ
9:28せっかくここまで来たから山頂だけでも行っておこうとやって来た「トマの耳」です。いつの間にか山頂標識が新しくなってました。どうやら2020年8月11日にまた落雷したようです。
過去のトマの耳山頂標識
2012年トマの耳(後に落雷で真っ二つ)
2015年トマの耳(後に落雷で盛大に亀裂)
苗場方面を見ると以前歩いた主脈縦走路がよく見えました。
お次はもうひとつの山頂「オキの耳」へ向かいます。
トマの耳~オキの耳、そしてオキの耳から先が高山植物密集地帯です。
あちこちでお花大好きマダム層の歓喜の声があがってました。(先にも少し触れたけれど、肩ノ小屋からほんのちょっとだけ主脈縦走路方面へ行ったところはもっと花が凄いよ)
雪割草なのかハクサンコザクラなのか、よくわからない花の白バージョンも咲いていました。
主脈縦走路ではあちこちに大群生のあったハクサンイチゲはちょっとだけ。
9:50オキの耳です。この標識も新しくなってました。
以前の標識。
オキの耳から少しだけ鳥居方面へ行った場所で景色を眺めながら食事休憩。
みるみるガスがわいて、あっという間に山頂がガスに飲み込まれてゆく。きょうは風はあまりないけどガスがどんどんわいてくる。
主脈縦走路側も。
5分もしないうちに真っ白けっけ。
ガスのわく様子を動画でどうぞ。(近くにいたマダム集団のお喋りが凄かったので音は消してあります)
10:50久々の谷川岳をたっぷり満喫したので帰ります。珍しく乗ろうと思った時に限って乗れないロープウェイ方面を未練たっぷり横目でチラリ。
この時間から上がって来る人はほとんどなくすっかり寂しい登山道。擦れ違い時に我家につかまって不毛な無駄話にお付き合いくださった皆様ありがとうございました。
14:00西黒尾根登山口に戻って来ました。
朝は気が付かなかったけれどゲートになにやら貼り紙が。子熊さんがウロウロしてるんですね。
汚れた登山靴を渓流に洗いに行ったらモリアオガエルのタマゴがありました。下の水たまりを見ると小さなオタマジャクシがいっぱい。みんな無事に大きくなるといいなぁ。
数年ぶりに谷川岳を登ってみて
数年ぶりの谷川岳は登山者が大勢で、あらためてその人気っぷりを実感しました。団体さん・家族連れ・大はしゃぎマダムグループ・ゴープロ撮影・ドローン飛ばす人・足つる人・漢方お裾分けする人、ウンコもれそうな人・・・まぁとにかくいろんな人がいましたよ。百の頂に百の人あり。たまにはこういう賑やかな山歩きもいいもんだ。
でもさすがに二日連チャンで西黒尾根の樹林帯往復は疲れた。
谷川岳登山お役立ちリンク・群馬県谷川岳登山指導センター
西黒尾根登山口近くの指導センターが登山道状況などの最新情報を発信しています。以前は独立したサイトでしたがいつのまにか群馬県のサイトの組み込まれていました。当日朝の天気・気温、入山するにあたっての装備、各登山道の直近状況など一度は目を通した方がいいページ。