雲海に浮かぶ修験の山・飯縄山(飯縄神社総社奥宮)

2022年11月27日

いよいよ冬本番へ季節が移行する11月下旬、長野県北部の飯縄山を登って来ました。飯縄山は以前からとても気になる存在でいつか登ってみたいと思っていた山のひとつです。(もうひとつは奥会津のカシャ猫伝説の残る志津倉山)

 

なぜ飯縄山に興味を持ったかというと、各地で見かける飯縄神社の総社(奥社)が飯縄山の山頂にあるらしく、上杉謙信や武田信玄、名だたる武将が信奉者となった飯縄権現のホーム的な山であること。

 

飯縄権現とは白狐に乗って縦横無尽に空を飛び、降魔の剣で悪を倒し「軍神」として崇められた神様で、上杉謙信は兜の前立てにその姿をあしらうほどの入れ込みよう。

その飯縄権現が授けた(諸説あり)といわれる「イズナの法」という呪術がまたなかなかのエグさで、管狐を召喚し対象人物に飛ばして災いをもたらしたらしいじゃないですか。※付け焼刃で調べただけなので間違ってる部分もあるかもしれません。

 

さらに飯縄山の名前が、砂のように湧き修験者が食べたといわれる謎多き生物「天狗の麦飯」が由来となっていること。うーん・・なんておもしろそうな山なんでしょう。※現在では飯縄山の天狗の麦飯は絶滅したらしく、残る小諸市の産出地は国の天然記念物に指定されています。詳しく知りたい方は「テングノムギメシ」で検索してみてください。

 

飯縄山登山口と駐車場

車で向かうと長野市内から飯縄山登山口へはそれほど離れていませんでした。長野市民にとってはホームといえる身近な山なんだなぁと思います。

住宅地を抜け急坂をどんどん上るとやがて周囲は寂しげな雑木林になりました。しばらく雑木林が続いて登山口に到着するのがよくあるパターンですが、ここは違っていました。なんと雑木林の先に突如、別荘や宿泊施設が点在する別天地のような一大リゾートエリアが出現。「なんじゃぁ、ここは!?」まったくの想定外の光景に軽い衝撃。

別天地の大きな池の横に2022年4月にオープンした「森の駅 Daizahoushi(Googleマップ)」というまだ新しい施設があり、朝6時頃の時点でトイレが利用できました。このトイレが照明も明るくとても綺麗!もぅ本当に新しい商業施設のトイレです。目指す登山者駐車場はそこから約2.1㎞ほどです。

バードライン沿いに広い「飯縄山登山者駐車場(Googleマップ)」がありました。ここにもトイレはありましたが中は未確認です。その飯縄山登山者駐車場から徒歩15分くらいの場所に本日のスタート地点「一ノ鳥居登山口」があります。

 

「一ノ鳥居登山口」です。ここの鳥居をくぐって奥へ進むともうひとつ鳥居があって、立て看板などからしてどうやらそっちがホントの登山口っぽいので、ここは「登山口入口の鳥居」みたいな存在でしょうか。飯縄神社公式サイトによるとこの場所は山頂にある奥社参拝者の駐車スペースとして開放してくださっているようです。
Googleマップで見る

 

7:00出発です。今日はここから奥社参道(南登山道)を往復します。

 

歩き始めてすぐに例の「たぶん本当の一ノ鳥居登山口」に着きました。

 

鳥居には「奥宮 一の鳥居」と記されています。ヤマレコやヤマップでは「一ノ鳥居登山口」とありますが、立て看板には「南登山口」と掲示されています。どうやらいろんな呼び名があるみたい。

 

一合目です。

 

不動明王の石像がありました。飯縄神社の公式サイトによると登山道沿いには全部で13の仏像が祀られているそうです。この十三仏について飯縄神社のサイトにこう解説がありました。

十三仏とは、没後に極楽浄土へと導いてくださる13の仏様・菩薩様の事です。
13 体の石仏を拝みながら奥宮に向け登ることで、極楽浄土(頂上)へ行き、生まれ変わって地上に戻ってくるという意味があります。
(飯縄神社の公式サイト・Facebookより)

 

なるほど・・・山形県の月山や湯殿山みたいな感じなのかな。

 

雑木の中を緩やかに登っていく登山道で整備され歩きやすいです。ただこの日は霧が凄い。霧雨で徐々に服やバックパックが湿って嫌な感じ。カバーをつけるか迷うとこだけど、このくらいならまぁいいか。やがて霧雨が小雪になりました。これが今季初めての雪です。

 

7:50「駒つなぎの場」です。駒つなぎの湯と読んでしまう悲しい性。駒つなぎの場から登山道が細くなり徐々に勾配も強くなりました。昔はここで馬を繋いで山頂に向かったんですかね?

 

心なしか阿閦如来が寒さをぐっと堪えているように見えます。

 

8:00少し先に水場がありました(動画でどうぞ38秒)。山の水にしてはあまり冷たくない水でした。外気温のわりにあまり冷たくない水に触れると「ん?鉱泉?温泉混じってる?」と妙にときめいてしまう悲しい性です。

 

8:14天狗の硯だそうです。大きな岩が確かに硯っぽく見える・・・かな?

 

雪が薄っすら積もった虚空蔵菩薩の「はぁ・・またこの季節が来ちゃったね」の声が聞こえてきそうです。

 

何やら線香花火みたいな植物がありました。

 

おや、いつの間にか雨も雪も止んで空が明るくなってきました。

 

8:39「西登山道」との分岐です。

 

どんどんガスが抜けて景色が見えてきました。

 

8:47飯縄山南峰です。このタイミングの青空って十三仏に天上へ誘われている感あります。

 

鳥居の奥に小さな古い祠がありました。中を覗くと翼が金色に塗られた小さな飯縄権現が祀られていました。そしてこの祠、武田菱があしらわれています。「さぁ~武田菱を探せ」(見つかったかな?答え合わせは現地にて)

 

今回の飯縄山一番のお目当てはこちらです。

 

飯縄神社総社奥宮!

 

修験の地独特の圧倒的な「何か」が押し寄せてきます。この地でどれだけの修験者が命を張った過酷な修行を行ってきたんだろうと思うと、ただ、ただ、畏敬の念を禁じえません。

 

目の前には雲海が広がり、飯縄神社総社にふさわしい立地だと思いました。

 

これから向かう北峰です。よー-く見ると山頂に人がいるのが見えます。

 

それにしても足元のドロドロっぷりが凄い。もう少し気温が下がって土が固まるか積雪があれば歩きやすくなるのかなぁ?

 

9:12飯縄山山頂(北峰)に着きました!

 

たちこめていたガスがみるみる消えて、真っ白な北アルプスの連なりが姿を現しました。

 

山頂からの眺めを動画でどうぞ。(28秒)

 

飯縄山の山頂はまるで海に浮かぶ孤島のようで、ここが修験場だった理由がなんとなくわかる気がしました。

 

帰りはガスも消え北アルプスを目の前に下山です。

 

朝は凍えたように見えた十三仏も太陽に当たってあたたかそうでした。

 

携帯トイレ専用のトイレブース

復路で利用した携帯トイレ専用のトイレブースです。南峰と北峰の間(南峰寄り)にあります。内部は整理整頓され清潔感があったので、まだ設置されて間もないのかと思っていたら、平成17年に建てられたものでした。経年劣化を感じさせない大切に管理されたトイレです。

 

トイレブースには「携帯トイレ」「使用後に包むポリ袋」「アルコール消毒液」が置かれていました。(トイレットペーパーはありませんでした)料金は200円でした。

 

驚いたのは携帯トイレも置かれたこのトイレブースの利用料金が、訪問時はたったの200円だったことです!私が持っている携帯トイレ単品の値段が約260円で、それより安いことになります。

もしかすると携帯トイレまで置かれていたのはトイレブースの周知や、とにかく一度お試しで使ってもらって「こんなに簡単なんだ」と携帯トイレに対する敷居を下げてもらう目的もあるのかな?と思いました。※今回は携帯トイレも置かれていましたが、無いことも想定して持参されることをおすすめします。

使用後の携帯トイレはバックパックの中に入れて登山者用駐車場まで持ち帰り、設置された専用回収ボックスに入れます。

 

こちらが登山者駐車場にある使用済み携帯トイレの回収ボックスです。今日の一番乗りでした。

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