至近の国道は何度も通過はしていましたが、どういう訳か海ノ口温泉には行ったことがありませんでした。当日は登山後で入浴したかったのと、登山口が海ノ口温泉に比較的近いというのが重なってもう行くしかない状態でした。
今回立ち寄りしたのは海ノ口温泉の一軒宿です。以前はいくつかの旅館があったようですが現在は和泉館さん一軒のみが営業していました。建物は横に長く赤い屋根が目印になります。公式HPによると27部屋で収容は150名(団体200名)と中規模な旅館になるようです。玄関前には「入浴できます。10時から7時まで500円」的な案内が掲げられていました。
中に入ると帳場があり女将さん?らしき方がおられました。料金を払って受付します。その際、浴場までの行き方と簡単な浴室内の設備と温泉の説明がありました。ロビー周りを見回して浴場への廊下を進んで行きます。第一印象としては完全ないわゆる昭和の温泉宿といった感じです。久しぶりにこのような昭和宿に出会いました。
浴室に入ると左側にカランシャワーの洗い場、右側には女将さんご自慢の低温サウナ、そして中央部分から右側にかけて浴槽がありました。浴槽は3つ、いちばん大きな浴槽は5-6人サイズの円形タイル造りのものです。他の浴槽は横並びのそれぞれが一人用サイズのタイル造りです。
右側の一人用浴槽にだけ竹筒状の湯口があり常時お湯が湯舟へと落とし込まれていました。実測32.3℃、推定で約5L/minほどの投入湯量でしょうか。おそらくこれは源泉と思われます。湯舟内では31.3℃で鉄さび色や白色糸くず状の湯華が浮き沈みしていました。お湯は薄い黄土色の貝汁濁りです。湯口にて口に含んでみるとはっきりとした重曹甘味に新鮮金気臭味、微弱な炭酸味を感じました。浴槽においては生ぐさ臭があります。この浴槽に限っての湯使いは源泉そのままの掛け流しでしょう。オーバーフロー湯は湯口下の浴槽側面にある穴のような箇所に流れ込んでいく造りです。
またすぐ隣にある同じく一人用浴槽は一見すると湯口のない溜め湯状態に見えます。ですが勝手に推測すると先の掛け流し浴槽のオーバーフロー湯が湯舟内のどこからより浴槽内へと流れ込んでいるような気がしないでもないです。とりあえず温度計を差し込んでみたら27.8℃とヒンヤリした状態でした。結局こちらには温度に物足らず感があったので浸からずじまいでした。もう一つの円形浴槽のお湯は無色透明で湯温は42-43℃で一般的な感じでしたがなんせこちらは非温泉かと想像できます。ですがこの浴槽では適温入浴ができるということもあり、源泉槽との交互入浴に突っ走ってしまいました。屋外には小さいながらも露天風呂がありましたが、内湯ですっかりと満足してしまい当日は見学のみで宿を後にしました。
(三昧・2022年10月)
田畑広がる長閑な地域の一軒宿です。立ち寄りも積極的に受け付けていて今回は甲武信ヶ岳下山後の汗流しに立ち寄ってみました。和泉館は今では全国的に数も減ってしまったアットホームでちょっと雑多な昭和風情の懐かしいお宿です。館内ではカラオケ大会をしているのか歌声が漏れ聞こえ、ご高齢のお客さんが行き来していました。
館内には男女別に浴室があり、どちらも内湯+露天風呂がありました。浴室はだいぶ年季が入っていて館内同様に昭和の鄙び感満載です。浴槽は一人用非加熱源泉浴槽がひとつ、おそらく源泉浴槽からの流れ込みと思われる冷たい浴槽がひとつ、おそらく真湯と思われる5~6人適温浴槽がひとつ、窓の外に5人サイズほどの謎の人肌より冷たいぬる湯浴槽がひとつありました。
今回は入浴時にカラオケ大会のお婆ちゃんグループと一緒になったので画像は撮れなかったのですが、後で男湯の画像を見せてもらうと浴槽の造りが違っていたのでもしかすると入れ替え制かもしれません?
今回主に浸かったのは一人用非加熱源泉浴槽です。竹筒より流し込まれる湯は人肌よりぬるく浸かると最初は「冷っ」と感じます。湯色はほんのり黄土がかった濁りを帯びているようにも見え、湯の中には細い糸状の白湯花や細かな茶系の湯花が漂っています。湯表面には奥会津でも見られる一見すると油にも見える湯膜も漂っていました。特徴的なのはとにかく突出した重曹感です。湯口や湯面からは重曹独特の甘ったるい匂いがムンムン漂ってきます。体感的には冷たく感じるので適温の真湯浴槽と交互入浴したいところですが、適温浴槽はお婆ちゃん達で満員御礼だったので源泉浴槽のみ浸かって浴室を後にしました。それでも浴後は後からジンワリとあたたまり感がありました。
(まぐぞー・2022年10月)
▼海ノ口温泉 和泉館 玄関
▼セラミックの原石とのこと
▼受付
▼館内
▼古い分析書が掲示されていました
▼掲示
▼浴室入口
▼男性脱衣所
▼昔はよく見かけた自販機
▼男性内湯浴室
▼源泉利用浴槽
▼湯口の動画です。(13秒)
▼右が源泉そのまんま左が多分加水かな
▼男性露天風呂
▼浴後は源泉垂れ流しの「温泉之碑」を見学しました。(7秒)
海ノ口温泉 和泉館 データ
長野県南佐久郡南牧村海ノ口933
→Googleマップで見る
0267-96-2106
10時~19時(現地掲示)
※公式サイトには21時までとあるので要確認
500円
訪問:2022年10月
海ノ口温泉 和泉館 温泉分析
海ノ口温泉 ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 33.5℃ (掘削自噴) pH=6.6 溶存物質計=2.668g Li=1.1mg Na=470.3(61.47mv%) K=33.7 Mg=94.2(23.29) Ca=78.5 Sr=2.6 Ba=1.8 Fe2=1.1 F=0.3 Cl=303.6(25.76) Br=0.9 I=0.5 SO4=35.7 H2PO4=0.6 HCO3=1458(71.89) H2SiO3=131.7 HBO2=53.3 CO2=490.2 (H259.9) ※温泉利用状況=掲示見当たらず