さぁ、慌ただしい日帰り奥尻島のはじまりです。
江差→奥尻島の行程はこちら
奥尻島は利尻島や礼文島同様に漁業の盛んなのんびりした場所で、島自体もそれほど大きくなく車であれば一日で回れるくらいのサイズです。ただし前回の記事でも書きましたが、意外にも(失礼っっ)見どころが多く、
日帰り観光では、ぜんぜんっっ足りません!!
せめて一泊しましょう。
訪問した9月はもうシーズンオフだったようで、商店は閉まっているところもありました。
夏には奥尻島のキャラクター「うにまる」が出迎えてくれるみたいですが、当然のようにいません。うにまるくんは、硬質な第二形態となり早くも冬眠の準備に入ったようです。来春には第三形態となり、この硬質な殻の中から「シンうにまる」が出て来るのかもしれません。頭をちょっとツンツンしてみましたが、うにまるは微動だにしませんでした。
街灯の上にはウニのオブジェらしきものが・・。「うにまる」といい、このウニのオブジェといい、どうやら奥尻島はウニ漁が盛んなようですね。これで「実は奥尻にはウニはいないんだよ」なんてことだったら、逆にすごいけど。
マンホールは函館土木現業所です。
最初に向かったのはレンタカー会社です。といってもトヨタとかニッポンとかの大手会社ではなく、個人でやっているローカルなレンタカー会社です。行ってみると、礼文島に続きここでも気のいいご主人が迎え入れてくれました。
地図を見ながら、ご主人による見どころポイントと、効率のいい巡り方など熱いアドバイスがいただけます。
最初はフェリー乗り場のある奥尻地区から、一番南端にある青苗地区へ行くようにとアドバイス。
「ここで食事。次に津波記念館、海沿いをドライブしながら球島山展望台。ここが一番のおススメだから。あ、細い小道は道に慣れない人は危ないから絶対に入らないようにね。」
「そして・・賽の河原公園ね。えっ?神威脇の温泉入るの?なに、温泉メイン?じゃあ賽の河原公園は無しね。本当のこと言うと賽の河原は広いところに石がポツポツあるだけでおもしろくないから。球島山は行ってね。本当にいいところだから。」
そういえば奥尻島といえば「奥尻ブルー」と言われるくらい海が綺麗な事で有名で、もしかしたら礼文島の澄海岬のようにとりわけ綺麗な所があるのかもしれないと、ご主人に聞いてみたところ、
「ない。そんなのないよ。だって全部綺麗だもん。」
その言葉通り、奥尻島の海はどこへ行っても青く澄み美しいものでした。
というわけで、まずは青苗地区にあるお食事処潮騒へ。奥尻島は食堂自体が少ないそうで、ちょうどお昼時とあって地元の人で賑わっていました。
メニューの中から選んだのは・・・
いか定食(1050円)と、あんかけ焼きそば(900円)どちらもなかなかのボリュームで美味しかった~。
この青苗地区はキッチリと区画整備された新しい印象を受けます。1993年の北海道南西沖地震で奥尻島は津波による大きな被害に遭い202人の死者と28人の行方不明者を出す大惨事となりました。とりわけこの青苗地区の被害が甚大だったわけです。そのため地区全体が新しい印象なのか、それともその後、再度区画整備をしたのかわかりませんが。
奥尻島津波記念館
受付に行くと「時間がある人」と「急ぎの人」とに案内コースがあるようで、我が家は勿論、急ぎの人コースです。実際にはこんな名称ではありませんが、勝手に名付けてみました。
展示物は主に被災当時のパネル展示、復興の様子、映像で見る北海道南西沖地震という感じになります。
奥尻島津波記念館のすぐ目の前には赤と白のシンボリックな灯台があるんですが、この灯台が被災時は
こんな事になっちゃったんですね。
こちらでは被災により壊滅的被害に遭った奥尻島が、人々の力により復興し現在にいたる様子がジオラマで表現されています。
子供の頃私の故郷でも津波があり、当時日本海側には津波はおきないなんていわれていた中での出来事で、たくさんの尊い命が奪われたのですが、同じ日本海ということもあり、この奥尻島の津波は今でも鮮明に記憶に残っています。ところが、たとえば関東地方など遠く離れた地に住む人達にとっては、もう記憶の片隅にも残っていないようで、秋田や奥尻の津波の話をしても「え?そんなことあった?」と言われるばかりでした。ただ、以前勤めていた職場の同僚が私の出身地を聞いて「津波あったでしょ、修学旅行で行った」と言った時は「あぁ覚えていてくれる人もいるんだ」と、ちょっと嬉しかった記憶があります。
北海道南西沖地震の慰霊碑です。
奥尻ブルーと呼ばれる青く澄んだ海を見下ろす丘に造られています。今を生きる私達が亡くなった人達の為にできることは「忘れないこと」なんじゃないかなと思います。
次に目指すは奥尻島でぜひ行きたかった神威脇温泉です。
神威脇温泉
見てください、このロケーション、この佇まい。温泉マニアなら誰もが一瞬にして心を鷲掴みにされることでしょう。
そして肝心のお湯も湯使いも、北海道の中で上位に入るんじゃないかと思える一級品でした。
元々は関東や函館で温泉の仕事に携わっていたという管理人さんがこの地に呼ばれ、湯使いから根本的に作り直した湯は、一階と二階にそれぞれ同じ源泉を掛け流しているものの、汲み上げ距離や浴槽サイズで別の湯のように楽しめます。たった420円でその両方が楽しめてしまうんだからお得です。かなりマニアックな温泉話が楽しめるので、マニアの皆さんはぜひ管理人さんを訪ねてみてください。
そして、これが奥尻ブルーの海です。えっ?よくわからない?写す腕がいまいちなんで、この海の美しさをまったくお伝え出来ません。実際は透明な水に紺色の絵の具をほんの少し垂らしたような、まるでガラス細工にも似た美しさなんです。ぜひ一度奥尻島へ足を運んで、ホンモノの奥尻ブルーを目撃してください。
防波堤の上には例によってカモメだかカラスに突かれたうにまると、干からびた小魚が横たわっていました。
そしてレンタカー会社のご主人イチオシの球島山へ向かいます。
その途中にこんな施設がありました。
温泉マニアとしては、なんともそそられる島ですね。
球島山への道中ではタヌキに会えることもあるそうですが、この日は残念ながら姿は見えませんでした。北海道に来てからキタキツネは毎日のように出会うんですが、そういえばタヌキはまだ一度も会っていません。家の近所じゃしょっちゅう車にひかれて転がってますが。
球島山展望台
球島山の展望台へは駐車スペースから少しばかり階段を上ります。
この階段が地味にキツかった・・・。
球島山展望台に着きました!
レンタカーのご主人が強プッシュしていただけあって、360℃の大展望です。標高は369.3mという低山なんですが、周囲に遮るものがなく大海原が広がるのでそれを感じさせません。海岸から山頂まで歩けるハイキングコースがあればぜひ歩いてみたいとこです。
三角点もありました。
そして最後に眺めたのは、奥尻島のシンボル鍋釣岩です。どうしてこんな形になっちゃったのか、本当に不思議ですが。
こうして怒涛のワンディ奥尻島は無事終了しました。
行きでは気が付かなかったんですが、フェリーの待合室には学校のイスとテーブルを利用した、こんなホノボノとしたスペースもありました。
ワンディ奥尻島の終了は、1ヵ月弱の北海道旅の終わりも意味します。
海が染まり始めました。(動画/音あり)
帰路のカランセ奥尻は、北海道旅のフィナーレを飾るにふさわしい素晴らしい夕焼けでした。