【下風呂温泉さんぽ】大間鉄道アーチ橋メモリアルロードと取り壊しが決まった大湯・新湯

 

2018年9月5日

下風呂温泉は朝から贅沢な海鮮三昧です。これを目当てに宿泊しているといっても過言じゃありません。

 

下風呂温泉で宿泊すると、大抵どこでも朝食時にイカ刺が出ます。どうやらこれが下風呂スタイルなんですね。以前宿泊したお宿の女将さんによると、活きたイカを捌いてすぐ出すと硬くコリコリとした歯触りになるけれど、ねっとり感を出すためにあえて時間を置いて刺身にする、と仰ってました。

 

まだお天気はスッキリしないけれど、雨はやんでいるようなので少しだけ温泉街を散歩してみました。

 

大間鉄道アーチ橋メモリアルロード

 

下風呂温泉には、海を眺めながら足湯に浸かれる「大間鉄道アーチ橋メモリアルロード」という素敵ポイントがあるんです。

 

↑以前撮影した大間鉄道跡地の一部。

これは第二次大戦中に開通予定だった大間までの鉄道跡地の一部を利用したもの。この大間鉄道、戦争という歴史の波に翻弄され竣工を目前にして放置され、結局開通することはなかったんですね。ゆえに「幻の大間線」とも言われたりもします。人は暗い話題には蓋をしてしまう傾向がありますが、この大間線の工事では非人道的強制労働が行われ、尊い命が奪われたことも心に留めなくてはならないです。

 

↑2005年7月

長らく放置されていた大間鉄道跡地が日の目を見たのは2005年4月。メモリアルロードとして整備され、下風呂温泉の観光の目玉としてオープンしました。まだできたてホヤホヤの大間鉄道アーチ橋メモリアルロードは、どこもかしこもピッカピカの初々しさがありました。

 

2005年には下風呂温泉で初めて温泉手形を発行したりと、温泉街にとって大きな転換期となったようです。温泉手形はひとつ800円、シールが三枚ついていて、一枚につきお宿に一か所立ち寄り入浴できました。

 

そして2018年9月の大間鉄道アーチ橋メモリアルロードです。いまや下風呂温泉の観光の目玉の一つとして多くの人に認知され、いぶし銀の落ち着きがありますね。そうか・・・ここができてから、もう10年以上も経ったんだ~。

 

足湯には下風呂の中でも人気が高いグレーの湯が楽しめる「海辺地2号泉」が利用されています。この源泉は「さつき荘」でも使われていて、根強いファンがいます。ちなみに私はまったり濃厚な白濁湯の大湯源泉が一番好きかな。

この日はグレーというより白濁ですね。

 

絶好調にグレーの時は、こんな感じになります。

 

足湯に浸かると、目の前に下風呂温泉街、その向こうに海峡、そして天気がよければ北海道が見えるという贅沢さ。ここまで眺めのいい足湯は、日本中探してもそうそうあるもんじゃないですよ。

この大間線にもし列車が走っていたら、今頃は五能線にも匹敵する海沿いを走る風光明媚な観光路線になっていたかも。

 

そしてもしあの時「下風呂温泉駅」ができていたら、もしかしたらこの温泉街は今とは違った姿になっていたのかなぁ・・。でも私は、今の下風呂温泉も好きです。

 

台風の影響を受けにくい下風呂の沖には、時化から逃れるため数隻の船が泊っているのが見えました。下風呂の人によると、あれは某大国の船で「イカを乱獲しに来ているから本当は船を泊めてもらいたくないんだ、でも人道的にそれはできないから」と、なんとも複雑な表情で船を見つめていました。ここ数年のイカの不漁は、下北までイカがあがって来る前に某国の漁船が乱獲しちゃうのも原因のひとつらしいです。

 

取り壊しの決まった大湯共同浴場・新湯共同浴場

 

下風呂温泉いちばんの観光の目玉は、なんといっても二軒ある風情満点の共同浴場でしょう。もちろん、今回も行きましたよ~。

 

真っ白に白濁する源泉を利用した大湯共同浴場。

はしご湯のすすめ「下風呂温泉 大湯共同浴場」入浴の感想

大湯共同浴場は、たまに無色透明の時がありますが、それは湯元の湯花除去をしばらく行っていない時で、湯花が(湯元の)底に沈殿しているからだそうです。普段は白濁のことが多いので、無色透明に当たると若干のレア感。

 

そして新湯共同浴場です。

はしご湯のすすめ「下風呂温泉 新湯共同浴場」入浴の感想

 

観光客の多くは大湯共同浴場で満足してしまうので、こちらの新湯は空いている・・というかほぼ独泉のことが多いです。世話好きの管理人さんがいらして、観光客とわかるや「ここは滑るから気を付けて」とか「熱いからここで水出して」とか使い方を親切に教えてくれました。

下風呂温泉に来た温泉好きは「大湯共同浴場」「新湯共同浴場」どちらもハシゴするのが鉄板です。さらに朝、昼、夕と時間を変えて訪問すると、湯の様子や利用する客層も変り、違った表情が楽しめます。

 

今回のような秋や夏もいいんですが、やっぱり良いのは雪の降る冬。特に年越しに行われる無料のふるまい湯は独特の郷愁を味わえます。年明け零時になると共同浴場は無人のまま開放され、普段は決して経験できない夜明け前の湯に浸かったり、非日常の世界を楽しむことができました。

今回の訪問時に「おおぎや」のご主人に、この二軒の共同浴場も数年後に取り壊され、長谷旅館の跡地に新しい温泉施設を建設予定と伺いました。いつだったか大湯の番台で地元の奥さんたちが「大湯にも休憩できる広間とかがあればいいなぁ」「でもアンタ、そんなことしたら、ゆんゆんみたいになっちゃうよ?」「それはダメだぁ~」なんて笑いながら話していたのを思い出します。

このあと数年は下風呂温泉に来られる機会がないので、「次に訪問する時は大きく変わった下風呂温泉になっているのかなぁ」と、しみじみと思いました。

 

そして温泉の湯花を利用した、こんな素朴なお土産もあります。

 

なにげにリアル湯花って本気で浴用に使うと風呂釜が壊れてしまうことがあるんで、家では実際には使わず(使うのが勿体ないってのもあります)、ときどき眺めては思い出に浸りつつニヤニヤしてます。

 

そうこうしているうちに、おやぁ、青空が見え始めました。台風は行っちゃったんでしょーか?

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