このページでは2023年9月3連休の日曜日と月曜日、二日間かけて歩いた谷川馬蹄形(反時計まわり)で宿泊利用した蓬ヒュッテの様子を紹介します。
→初日(白毛門~蓬ヒュッテ)・当日持参した水の量などは前回の記事をどうぞ
蓬ヒュッテ宿泊データ
2024年の営業は6月1日~10月27日を予定
2024年2月1日予約開始/3日前までにwebから要予約
今回利用したプランは「一泊夕食・朝食・お弁当付9000円」でした
→その他のプランなど詳細は蓬ヒュッテ公式サイトをご覧ください
※特にキャンセル料などよく目を通されることをおすすめします
蓬ヒュッテは地形の関係か、馬蹄形反時計回りだとすぐ近くまで来ないとその姿が見えません。稜線上からの遠望では見えないので「まだか?まだか?どこまで歩かせるんだ?」と永遠に続くような稜線に飽きてきたころ突如パっと目の前に蓬ヒュッテが現れます。
蓬ヒュッテはこぢんまりとした山小屋で、予約が入っている日は管理人さんが入り、それ以外はセルフ利用の避難小屋として使われているのかなぁ?と思いました。小屋のすぐ横には数人が利用できる椅子とテーブルがひとつ、山々を眺めながら寛げる長椅子がありました。
到着したら先ずは受付です。小屋を回り込むと小窓があって、そこに管理人さんがいます。年配の厳つい山のヌシみたいな人が登場するのかと思ったら、意外にも若めなお兄さんでした。
管理人さんは受付時に歩いて来たルートなどを聞きながら、ハイカーさんの様子を見て健康状態に不安がありそうな人にはすかさず声掛けをしていました。
訪問時の蓬ヒュッテには管理人さんがひとりしかいないようで、次々とやってくるハイカーさんの受付や案内、食事の準備、売店業務など全てワンオペで大変そうでした。
蓬ヒュッテ名物!?ウェルカム水汲み指令
受付すると小屋に入る前に「はい、じゃあザックを乾かしている間に水を汲んで来ましょうか」と、水場へ行くようすすめられます。この日の宿泊者はほぼ全員、先に水を汲みに行くようすすめられていたので、これが蓬ヒュッテの流れなのかなぁ。
今日これまで歩いて来た距離からしたらなんてことないですが、やっと小屋に到着した安堵感で休息モードに切れ変わった直後の水汲みはキツかったなー。
蓬ヒュッテの水場
蓬ヒュッテの水場は小屋前の「蓬新道」を10分ほどずんずん下った場所にあります。下るってことは登って戻らなきゃならず、重い水を持って暑い登山道の登り返しがなかなかキツかった・・・。朝から長距離を歩いた〆のトレーニングみたいなもんです。「ここで買うことはできませんか?」と聞くハイカーさんも数人いましたが(その気持ちよーーくわかる)、販売している水の値段を聞いてほとんどの人が「・・・汲みに行きます」となってました。
水場は想像以上に小屋から離れていて、途中から「本当に水場があるのかなぁ?もしかして気が付かずに通り過ぎた??」と不安になってしまいました。蓬ヒュッテから行くと水場は登山道右側のすぐわかる場所にあって、これを見逃すことはほぼ無いと思います。
▲動画もどうぞ。短いのですぐ見終えます。(16秒)
水場は冷たく美味しい水がじゅうぶん出ていました。2リットルのボトルもすぐ満タンになる満足の水量です。他の水場が枯れてもここだけは枯れないと言われているようで、水枯れの秋は特に重宝しそうです。
蓬ヒュッテ小屋内
玄関扉を開けると正面にトイレの扉、右手に小屋内への扉があります。小屋内へ入ると豪雪地域の納屋のような独特の匂い(キノコのような)がしました。三昧は「飯豊の切合小屋と同じ匂いがする」と言ってましたが、まぁそんな感じです。
入口左側にサンダルがズラリと並んだ下駄箱があるので、ここで登山靴からサンダルへ履き替えます。下駄箱前には幾つかのハンガーもあって、既に誰かしらの靴下やシャツがぶら下がっていました(管理人さんのものかな?)。
小屋の中はこぢんまりとしていて、左側が山小屋ド定番の蚕棚スペース(二段に仕切られた就寝エリア)右がちょっとした小上がりにテーブルが置かれた団らんエリアになっていました。
バックパックの置き場の指定は特にないものの、ほとんどの人は下駄箱の前に置いていました。管理人さんによると「寝床スペースの横に積んであるマットの上に乗せちゃっていいですよ」とのことだったので、私たちは遠慮なく置かせてもらいました。
寝床は管理人さんに指定されます。各寝床スペースにはマットと毛布が一枚づつ畳んで置かれているので就寝時はそれを敷き、さらにその上に持参した寝袋を敷きます。私達は寝袋とインナーシーツを持って行きましたが、当日の小屋内はムシムシ蒸し暑くてインナーシーツだけ使いました。
置かれているマットをよく見ると元々は寝袋だったようで、経年劣化で寝袋としての役目が果たせなくなったか、コロナ対策なのかは不明ですが、現在はマットとして利用されていました。
指定された寝床スペースは、下段の管理人室側(廊下側)の角でした。就寝スペースには廊下を遮る白いカーテンがあったんですが、これがカビだらけで顔のすぐ横にあるから臭かったなー。家に持って帰って洗濯したい・・・。
寝床は横3人×縦4人のギュウギュウ詰めです。足元すぐ近くに他の人の頭が来てしまうので間違って蹴っちゃったらタイヘンです。私は背が低いからまだいいけど、これが高身長の人だとどうなるかなぁ?これでもまだマシの方で管理人さんによると前日は横4人のより一層ギュウギュウ詰めだったようです。
蚕棚タイプの山小屋はどこも同じようだと思うんですが、天井が低いんで就寝エリア内の移動は常に中腰、これがなかなか腰に来るんです。そして油断するとすぐ天井に頭をぶつけます。(5~6回はぶつけた)
蓬ヒュッテのトイレ
蓬ヒュッテのトイレは小屋内に男女兼用が一室ありました。トイレ内に入ると自動点灯しますが、すぐ消えます。体を動かすと再び感知して点灯しますが、またすぐ消えます。トイレ使用中は電気点灯→電気消える→体を動かす→電気つくの繰り返しです。
トイレは洋式のバイオ式でトイレットペーパーあり(無くなりそうだと言うと管理人さんがすぐ補充してました)、全体的に清潔に保たれ、臭いもほとんどなくストレスなく利用できました。手洗い場があったのも嬉しかったです。
使用済の紙は備え付けの箱に捨てますが、使用後の紙は汚れを中に丸めて捨てるように書いてあるにもかかわらず「ほぅらご覧」と言わんばかりの大全開で置く人もいるから困ったもんだ。そういう人にはウスシマ明神が夜中にお仕置に行くかもよ。
蓬ヒュッテのテント場
公式サイトには
当山小屋周辺エリアは「幕営禁止地区」となり、受付等は行っておりません(ビバークを除く)。
(蓬ヒュッテ公式サイトより)
とあったので今回は小屋泊にしました。実際に行ってみると普通に良さげなテント場があり、テント装備の人が普通に「テント場の受付」をしてました。表向きはあくまでもビバーグってことなんだと思います。この辺はグレーなのかな。
テント泊の人はトイレの使用に制限があって夜20時~翌6時までは使用不可とのことです。
まぁ、白毛門からの反時計回りが想像通りキツくて、これがもしテント装備だったらキツさ倍増だったと思います。次に馬蹄形するときもやっぱり小屋泊まりにすると思います。
蓬ヒュッテの売店商品
品数は少ないですが、飲料とおつまみの販売がありました。ソーセージは魚肉でした。ビールは冷えてませんがバンバン飛ぶように売れてました。
新潟パッケージのビールです。これみて「あ、ここは群馬じゃなくて新潟なんだ」と気が付きました。
蓬ヒュッテの夕食
17時頃に夕食です。ラッキョウと福神漬けの乗ったアルファ米っぽいご飯のカレーでした。容器は皿・スプーン共に使い捨てです。
夕食は皆で一斉に食べるのではなく、ひとりひとり用意ができたら順番に声を掛けられる流れでした。その時にご飯は大盛か普通かを聞かれます。
カレーを受取ったら好きな所で食べます。私達は屋外の長ベンチ(板)に座って暮れゆく周囲の山々を眺めながら食べました。
自分でガス缶や食材を運ばなくていいし、こうして食事を提供してもらえるってホント最高。山に来てこんなに楽しちゃっていいの!?と逆にソワソワしてしまいました。
ちなみにこの夕食時にブヨに噛まれました。昼間は全然いなかった小さな羽虫が、夕暮れになるとブンブン湧いているのは見えていたんですが「さすがに9月中旬にもなって噛む虫はいないだろう」と思っていたら、まんまとヤラレました。管理人さんによると、普段なら9月中旬になればブヨなどはいなくなるそうです。やっぱり猛暑の影響かな?
蓬ヒュッテの朝食
訪問時は宿泊者が多かったからか、4時と4時20分の2回転でした。朝食は小屋内の団らんテーブルで皆一緒にいただきます。
普段テント泊でよく食べる「尾西の五目ごはん」とそっくりなご飯と、セルフでお湯を注ぐインスタント味噌汁です。
シンプルですが、朝はこのくらいが丁度いいです。
蓬ヒュッテのお弁当
500円プラスでお弁当を付けられるとのことで、どんなもんかの興味で頼んでみました。「マルちゃんのレトルト赤飯」と「魚肉ソーセージ」と「チーかま」という斬新なお弁当でした。茂倉岳で食べようとしたら赤飯が温め不足でお米がポリポリだったので、家に持って帰ってレンチンで美味しくいただきました。
蓬ヒュッテの消灯は夜20時とのことです。管理人さんは「団らんスペースでお話しとかしていいんですよ」と言っていたけれど、みんな疲れ果てて20時を待たずに早々に爆睡。夜中に目をさましたらイビキの大合唱でした。
翌朝、3時半くらいに目が覚めたので小屋の外に出てみると、ガスはすっきりと消え空には満点の星空。天の川や幾つもの流れ星も見えました。