谷川馬蹄形(反時計まわり)・1|高温多湿の白毛門から蓬ヒュッテへ

2023年9月3連休の日曜日と月曜日は谷川連峰の馬蹄形を二日間かけて歩いて来ました。世の中には1日でまわっちゃうツワモノもいるようですが、歩くのが遅い我家では明るいうちに下山するのは到底無理なので、おとなしく蓬ヒュッテで一泊です。

谷川馬蹄形というのは白毛門登山口から谷川岳登山口を結ぶ縦走路が馬蹄のような形をしているのでそう呼ばれ、長距離+繰り返されるアップダウンという、なかなかボリュームのあるコースとしても有名です。白毛門に登るといつもその縦走路が見えていて「いつか歩いてみたいなぁ」と思っていました。

 

谷川馬蹄形反時計まわりを選んだ理由

今回「反時計まわり」を選んだ理由は、数日間の山行になると何故か2日目が一番疲れる傾向にあるので(あくまでも我家の場合)、初日よりコースタイムを短くしたかったからという単純な理由です。

その他に・・・

  • もし疲労が大きかったらロープウェイでエスケープできる
  • 段差が大きく木の根で滑りやすい白毛門を疲れる2日目に下りに使いたくない
  • 程よい位置に有人小屋(肩の小屋)がある

それともうひとつ理由があって、実は長年この「反時計まわり」こそが馬蹄形の王道だと思っていたんです。

ところが蓬ヒュッテの管理人さんによると時計まわりが8割で、反時計まわりを歩く人は2割しかいないそうです。ツアーなんかはほぼ時計まわりだそうで。(知らなかった・・・。反時計回りって人気無いんだ・・)

 

谷川馬蹄形で持参した水の量と水場

1日目(白毛門駐車場~蓬峠)ひとり3リットル(ふたりで6リットル)持って行き、到着時にふたり合わせて1リットル余りましたが、笠ヶ岳からジャンクションピークまでの涼しい濃霧がなければもっと消費して、ぜんぜん足りなかったと思います。

2日目(蓬峠~白毛門駐車場)蓬新道の水場で給水し、ひとり2リットル(ふたりで4リットル)持って行きました。「足りなくなりそうなら途中の肩の小屋で何か飲料を買えばいいや」な考えで少なめに持って行きました。オキ・トマ通過時点では思ったほど水を消費しなかったので肩の小屋をスルー。ところが西黒尾根がなかなかの猛暑でガンガン水を消費し、途中から足りなくなりチビチビしか飲めず。樹林帯の鉄塔で完全に飲み切ってしまいました。

水枯れの秋ですが「他が枯れても蓬ヒュッテから蓬新道を10分くらい下った水場は出ている」説があるようで、訪問時も冷たく美味しい水がじゅうぶん量出ていました。

 

谷川馬蹄形スタートは白毛門登山口から

夜明け前の午前3時頃、まだ真っ暗闇な白毛門登山口駐車場到着です。夏休みと紅葉との谷間だから?三連休中なのにいつもに比べて駐車している車が少ないです。真っ暗な中で準備を始めると背後の雑木の中からガサっガサっと大きな動物が歩く音がしてビビる。(カモシカかな?)

 

3:30白毛門登山口出発です。

 

陽が昇って暑くなる前に白毛門の樹林帯を抜けたかったので、こんな早朝過ぎる出発になりました。おかげでほとんど寝てません。眠い・・・。きょうは暑さ+寝不足との闘いになりそう。

歩き出してすぐに強烈な湿度に包まれます。夜明け前なのに蒸し暑い。ヘッドランプで照らされた湿った空気が締め切った風呂場のようにモワモワと湯気って見えます。

そして秋だからか?蛾(ガ)がめちゃめちゃ多いです。大中小様々な蛾がヘッドランプめがけて飛んで来て顔に当たります。

獣臭もあちこちから漂ってきます。過去にもこれくらいの時間帯に白毛門を登ったことありますが、今日はなんでこんなに獣臭ぷんぷん?お彼岸で動物たちも親戚の集まりがあるのかな?

 

松ノ木沢の頭少し手前の岩場です。

 

ここで陽の出になりました。陽の出前に樹林帯の核心部は抜けました。激しい湿度と汗で髪の毛もシャツもビシャビシャです。

 

松ノ木沢の頭からはボンヤリとした朝陽に染まる東壁が見えました。

 

これから向かう白毛門はガスがかかってるなぁ。

 

6:58白毛門です。予想はしていたけれどガスで真っ白です。よりによって馬蹄形する日にコレですよ。

休憩していたら後ろからお兄さんがやって来て「今日は日帰りで馬蹄形だけど、でもこんな天気だから朝日岳までにしようかな?」と言ってました。同感。こんな天気じゃあまり気分が乗らない。けれど私たちは行くしかないのです。なぜなら予約した蓬ヒュッテのキャンセル料が当日17時までだと70パーセントかかるからです。

笠ヶ岳に行く途中は笹が凄くて足がビチャビチャ。白毛門までで湿度と汗で上半身ビショビショだったので、これで全身ビショビショになりました。

 

笠ヶ岳に近づくと草刈りするお兄さんが電動草刈り機でブィィーン!と笹を刈っています。

 

お兄さんから後ろは綺麗に笹が刈られていて快適に歩くことができました。ありがとうお兄さん。すると先ほどの日帰り馬蹄兄さんが戻って来て「今日はもう帰る」とのこと。笠ヶ岳の上に行ったら風が凄くてもう朝日岳にすら歩く気が失せたらしいです。

 

8:01笠ヶ岳の山頂です。うーん、まっしろ。そして馬蹄中止兄さんが言っていた通り風が強い。この強風とガスはこの後ジャンクションピーク手前まで続きました。

景色が見えなかったのは残念ですが、この区間の濃霧と強風で体がクールダウンできたので体力的にはかなり楽できたと思います。もしここがピーカンの晴れで予報通りの気温だったら、水分が足りなくなっていた可能性大。

 

朝日岳への笹道もお兄さんが綺麗に刈り払いしてくれたおかげで、光り輝く黄金の道のように私達を誘っていました。

笠ヶ岳山頂近くのカマボコ避難小屋を覗くと中には草刈り兄さんのものとおぼしき家財道具がたくさん。

 

9:20朝日岳山頂です。広い山頂で休憩にもよさそうですが、この状況じゃとっとと先に進むだけです。

 

朝日岳の先は湿原になっていて、水場情報もあったのでどんなもんか確認しに行きつつ、急に面倒くさくなって途中でやめました。

 

9:46ジャンクションピークです。指導標の背後の笹薮にはどうやら巻機山への道があるようでした。指導標にも「難路」と書いてあり、そのスジのマニアさんが「ヤマレコの足跡」を眺めつつニヤニヤしながら歩きそうな所でした。

 

ほんのり秋の気配。足元では行き場を失ったガマガエルくんがもがいていたので踏まれないように救出。その後も点々と3匹のガマガエルくん登場。

 

ようやくガスが消えて晴れ間が出てきました。すると、それまで涼しくて快適だったのがジリジリとした夏の猛暑襲来。直射日光に焼かれ、地面からは熱せられたスチームがムワムワ湧き上がって、周囲の景色は清々しいですが体にまとわりつく空気がとんでもなく気持ち悪いです。

 

登山道脇の草が茶色になっていたので「わぁー素敵、草紅葉の始まりかなぁ?」と喜んで撮影していたら、下山後に谷川岳山岳資料館のスタッフさんが「今年は猛暑で草紅葉になる前に枯れちゃった草が多い」と言ってました。なんと・・・これも枯れてるのかな?

 

ジャンクションビークから清水峠までどんどん下ります。途中からジメジメ蒸し蒸しMaxの樹林帯にもなって、この超絶長い下りが今回の馬蹄形の中では一番退屈だったなぁ。

 

よーく見ると遥か遠くに清水峠らしき場所が見えます。遠いなぁ・・・。

 

ようやく清水峠目の前まで来ました。いろんな道が交差して谷川連峰の十字路みたい。

 

11:30清水峠。清水峠白崩避難小屋をちょっと見学。とてもしっかりとした造りでいい感じの小屋でした。先客様に周辺の水場状況を聞くと一個所以外は涸れていて、その一個所も5分で1リットルたまる程度と仰ってました。秋は水枯れの季節。どこも状況はシビアですね。

 

清水峠から七ッ小屋山へ向かう登りが長くて暑くてキツかったなぁ。でも笹は刈り払いされて快適に歩くことができました。

 

上越のマッターホルンの方の大源太山がすぐ近く。大源太山もいつか登ってみたい。

 

今日歩いて来た山々も見えます。

 

13:05七ツ小屋山山頂です。

 

七ツ小屋山からはググッと下り、その後は小さなアップダウンを繰り返しながら蓬ヒュッテに向かいました。

 

刈り払いされて歩きやすい、爽やかな笹原の道でした。

 

途中にあったちょっとした湿原。

 

大好きなモウセンゴケ。

それにしても歩いている登山道から地形の関係か目指す蓬ヒュッテが全然見えないなぁ。本当にこの先にあるのかなぁ?もしかして、あの山を越えないとダメなのかなぁ・・・と思い始めたころ・・・

 

突如パっと目の前に蓬ヒュッテが出現しました!

 

14:03蓬ヒュッテ到着!予定通り14時ほぼピッタリに蓬ヒュッテ到着。それにしても疲れたなぁ。「これでようやくバックパック降ろせる」と安堵も束の間、蓬ヒュッテ名物(!?)ウエルカム水汲み指令が管理人さんから言い渡されます。
 

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