はじめてのタイ国鉄寝台列車(1等個室寝台)|チェンマイからバンコクへ

 

チェンマイからバンコクへタイ国鉄寝台列車で

ソンクラーンの終わったチェンマイ。あれほど賑わっていたお堀端も、すっかりといつもの姿に戻りました。もうバイクで走っても水をかけられないので、ホッとしたような、ちょっと寂しいような。そして快適なチェンマイの日々も、そろそろ次なる国へ移動する日が近づいてきました。

きょうはチェンマイからバンコクへ移動します。移動手段は、以前から一度乗ってみたかったタイ国鉄の寝台列車です!

ほんとうはもっと早く乗りたかったけどタイ国鉄寝台列車は大人気過ぎて、まーーーーーったく予約が取れませんでした。そもそも観光客が大移動するソンクラーン時期と重なったのがいけなかった。チェンマイを出る日を少し遅らせて、ようやく取ることができました。

 

駅にあった掲示によると、2019年4月時点で運行していたタイの寝台列車には新しくピッカピカの新タイプ車両(上の画像/中国製)と、

 

使い古されて年季入りまくりの旧タイプ車両(上・韓国製/下・日本製)が運行しているようです。ただ訪問時の2019年4月では日本製は定期運行から既に退いていたようで、韓国製がメインとなっているようす。

新タイプは早々に売り切れ、かろうじて取れたのは旧タイプのクラス1(1等個室寝台)です。この1等個室寝台にこだわらなければ席はそこそこ空いてたんですが、どーーしても一度でいいから個室寝台を利用してみたかったんです。

 

タイ国鉄寝台列車のチケットをオンライン予約

今回の寝台列車はタイ国鉄のホームページからオンライン購入、メール添付されたeチケットを宿泊していたホステルでプリントアウトしてもらいました。

2019年4月時点ではメールにてPDF添付されたeチケットを当日プリントアウトして持っていく必要がありました。(プリントアウトって・・・なんだろう、この微妙なアナログ感)
 
 
オンラインチケットの予約方法はタイ国鉄公式サイトのHow to book ticketsをドウゾ。

 
気になる運賃ですが、ふたりで2706バーツ引き落とされました。

 

オンライン予約ができなかったら

タイ鉄道に限らず海外のオンラインチケットシステムは使えたり使えなくなったり流動的なところがあるので、もし予約できなかったら諦めて駅の窓口へ行って直接買いましょ~。

 

過去に何度かタイ国鉄の切符を窓口購入しましたが、某国のように目を血走らせた人が無秩序に窓口へ殺到したり、外国人には売ってくれなかったり、何時間も駅をたらい回しにされるなどは一切なく普通に買えました。

 

チェンマイ駅へ

 

2019年4月22日チェンマイ駅です。

 

駅前に昔の車両が展示されているのは世界共通の光景!?

 

駅の構内はもちろん、改札もないのでホームへ入るのも自由です。ワンコも自由に出入りするのんびりとした雰囲気がいいですね~。

 

このオブジェはタイの別の駅でも見かけました。流行っているのかな?

 

タイ国鉄寝台列車・1等個室寝台

 

17時発のSPECIAL EXPRESS TRAIN No.14(14列車)に乗ります。

 

車両はかなり年季が入っていて、子供の頃に乗った列車を思い出しました。

 

向かいには18時出発の新しいピッカピカの寝台車両(中国製)を使用した列車が停まっています。あちらは早々に満席になっていてチケットは取れなかったなぁ。

 

乗り込みます。入り口でチケットチェックはありませんでした。(いったいどこでチェックするんだろう??と思っていたら、出発前に車掌さんが部屋にやってきました)

 

今回利用する寝台車はかなり年季の入った韓国製の1等個室寝台です。

 

上段21番と下段22番の二段ベッドです。明るいうちは上段ベッドが外されソファーとして利用、夜になるとスタッフが背もたれを跳ね上げて二段ベッドにセットしてくれる仕組みです。

椅子の正面には隣の個室との扉がありますが施錠されています。もしかしたらグループで利用したら開放してくれるのかな?

 

座るとこんな感じです。寝台個室は1.5畳ほどの広さで、大きなバックパック二つは余裕で置けます。

 

ソファー(夜はベッド)の廊下側はガラス窓になっていて、カーテンを閉めないと中が丸見え。

 

上部に荷物を置けるスペースがありました。

 

室内は車体同様に相当年季が入ってますが、洗面台、鏡、コンセントがついていました。洗面台の右側は廊下通路の扉を開けっぱなしにしている状態です。

 

部屋の扉を閉めるとこんな感じ。

トイレは共用で車両にタイ式と洋式+シャワールームがありました。トイレは清潔でトイレットペーパーも完備です。

運行中のネットはデザリングを利用しました。トンネルや山間に入ると接続が切れる以外は普通に使えるので、ほぼ支障ない感じです。

この車両のお客さんは半分ほどが欧米人、半分ほどがタイ人でした。あれほどチェンマイの街にいた日韓中の人々は、この車両に限っては見当たりません(みんな新タイプの方に乗ってるのかなぁ)。私達の部屋の隣はアユタヤへ行くというバックパッカーの欧米カップル、逆隣りはタイ人ファミリーで生まれたばかりの子猫を連れていました。

 

他の車両も見てみます。こちらは2等寝台。構造からして夜は背もたれを跳ね上げて1等と同じく二段ベッドになるっぽいですね。

 

食堂車です。

 

強敵!手練れスタッフ「買って買って!オバちゃん」登場

列車に乗り込みほどなくして、黄色いユニフォームを来たオバちゃん登場。夕食と朝食のお弁当の注文取りに各部屋をまわっているようです。ちなみにチケット代に食事は含まれていません。この列車には食堂車もあったんでお弁当を注文するか迷ったんですが、オバちゃんの押しの強い迫力に負けて注文してしまった。

そうこうしているうちに車掌さんもやってきて、プリントアウトしたチケットのチェックをここで初めて行いました。

同時に別の男性もやってきて、この車両と部屋の設備の説明をザッとします。今思えば乗り込んですぐのこの時間が一番慌ただしかったかも。チェックを終えると紙に穴を開け、車掌さんはいなくなりました。

 

で、さきほどのお弁当を決めるため、メニューを夢中になって眺めていたんですが・・・17:00なんといつの間にか列車は静かにチェンマイ駅を出発してました。楽しかったチェンマイの日々を思い出し、別れを惜しみながらしみじみと出発の時を迎えたかったんですが、あれーーっ!いつの間にか出発しちゃってるよ!

 

さきほどの黄色いユニフォームのオバちゃんが戻って来たのでとりあえずお弁当を注文。するとすかさず、「今飲むオレンジジュースはどう?おススメよ」と。ということで2本注文。美味しいジュースだけど、後で頼んだ夕食にもミニボトルがついてきて、オレンジジュースが計4本になってしまった。

オバちゃん今度はお菓子が満載されたカゴを持ってきました。「お菓子はどう?」「お菓子はいらないよぉ」するとオバちゃん、急に10代のアイドルのように口をすぼめ、ぷうーーっと頬を膨らませつつ「お菓子買って~っっ!私にお金が入るんだから買ってよ~っっ!買って、買ってーーー!」と、かなりストレートで強引な売り込みをしてくるじゃないですか。(しかも車両中に響くような大声)

「じゃ・・じゃあ、そのお菓子にしようかな」と、オバちゃんの押しに圧倒されつつ小さな声で一番安そうな袋を指さすと、「ええっ、こっちにしてよぉーー、こっちの方がお金が入るんだからーー」と。そう言いつつプリングルス2本セットを強引に置いて「アリガトー!(日本語)」とご満悦で去って行きました。

気弱な日本人が押しの強いタイ人に負けた瞬間を、同じ車両の全乗客が自室の中から固唾をのんで聞き耳をたてていたかもしれない。その証拠にこの後、どの部屋もオバちゃんの声掛けに応じることなく扉を開けることがなかったから。

しかもこの一件で私達が日本人だということがモロバレになったらしく、それまで眼を合わせて微笑みながらすれ違った同じ車両の人が、急に「コンニチワー(日本語)」とか「ドウゾ、ドウゾ(日本語)」とか言うじゃないですか。ほらほら、やっぱりオバちゃんとのやり取りは、車両中に筒抜けになっていたんだよ~~。

 

17:23ランプーン駅ここでも何人かお客さんが乗り込んで来ました。

 

窓の外に広がる椰子の木と田んぼ、時折牛たちの姿も流れてゆきます。

 

田んぼの向こうの山々にかかる虹も見えました。きっとあのあたりではスコールが降っているんだと思います。

途中停車したクンターン駅は、のどかな山間の駅で、ホームにはワンコがたくさん寝っ転がってました。

 

タイ国鉄寝台列車「冷えすぎ問題」

車内は冷房強めで調整はほぼできませんでした。最初は暑い街中から来たんで「あー快適」なんて思ったんですが、徐々に肌寒くなります。寝台個室の天井にたくさんの冷房の吹き出し口があって、冷たい風がバンバン出て来るんです。(シミだらけの年季入りまくりマットレスは後にベッドで使用します)

 

なのでタイ人がやっていたのを真似して必殺穴ふさぎ。風量が和らぐのでこれで寒さは随分違います。

 

タイ国鉄寝台列車の夕食(車内販売のお弁当)

 

18:30オバちゃんが「ディナ~!」と叫びながら注文したお弁当を持ってきました。

 

注文したのは「カツどん弁当(上の画像)」と「塩チキン弁当(下の画像)」です。

 

カツどんは意外にもちゃんとカツどんだったし、塩チキンはタイでこれまで食べたどのチキンよりも柔らかで美味しい。お弁当というと冷めているものかと思っていたら、普通に温かだったのも好印象。お弁当というより定食みたいな感じですね。

 

そしてスープは鶏団子・きくらげ・白菜・ニンジンのたっぷり入った中華風で、これもおいしかったなぁ。・・・なんだ、タイ国鉄のお弁当、なかなか美味しいじゃないか。

 

これにオレンジジュースのミニボトル、食後のコーヒー、そして朝食のサンドウィッチ×2、さきほど強引に渡されたプリングルス2本とオレンジジュース2本、しめてお会計1280Bなり。とんでもない出費になっちゃったけど滅多にできない寝台車旅なんで「まぁ、いっか~」と財布の紐もゆるゆるです。

 

ちなみにメニューはこんな感じでした。

 

いろいろ揃ってます。

 

タイ国鉄寝台列車(1等個室寝台)のベッド

 

19:12すでに真っ暗になった中、ランパーン駅に長めの停車。なにやらニワトリの像がありました。バスターミナルはあるし、ビックCはあるし、比較的大きな街みたいです。ここは連日42~3℃で暑い所のようです。

 

この停車中に車掌さんがやってきて手際よく二段ベッドをセットしてくれました。二段ベッドはマットレス(さっきのシミだらけの)は丁度いいかたさで、シーツ、枕カバーは真っ白で清潔。

 

個包装のタオルケットも真っ白で気持ちよく使えました。

 

二段にしてもそれぞれ天井までの高さは充分あるし(参考までに三昧の伸長173cm)、とても快適なベッドでした。

この二段ベッド、上段と下段でそれぞれ様子が異なります。

下段は窓からの景色が見え天井の冷気も届きにくいのですが、かなり薄暗いです。

上段は窓の景色はほぼ見えず天井の冷気も(何も対策をしていなければ)直撃ですが、照明が近いので全体的にとても明るいです。

 

その後は少しだけ起きていたものの、疲れには勝てずあっという間に爆睡。個室はメイン電気を消すと、廊下側のカーテン越しの薄明かり以外は真っ暗になるのでかなり安眠できました。

21時にもなると車両で喋る人はいなくなり、電車の走るリズミカルなガタガタ音ばかりが聞こえます。同じ寝台列車でも、乗客が一晩中スマホ大音響だったベトナムとは隋分違うなぁと思いました。

夜中1時頃トイレのため目を覚ますと列車は結構飛ばしているような感じでした。なのでトイレでも体が振られてちょっと大変だったなぁー。

 

翌朝5時・なんと列車は100分遅れ!

朝5時過ぎ、列車の汽笛で目を覚まします。最初、誰かがトランペットでも吹いているのかと思うような音でした。身支度しつつ下段ベッドに移動して、昨日注文したサンドイッチが来るのを待ちます。

5:12見覚えのあるどこかの駅に停車。大きなサルの像があるロップリー駅でした。ここはサルの町で有名で、年末にアユタヤからピサヌロークへ列車移動時に車窓からもたくさんのサルが走り回る姿が見えました。どうやらスコールが降ったようでホームが濡れています。まだ暗いホームのベンチや床で横になっている人の姿もチラホラ見えました。

「ん?ロップーリーで5時って、おかしくないか??」

 

タイ国鉄のサイトで乗車している列車の現在地や遅延など確認できるんですが、どうやら100分以上遅れている事が判明。後続の新タイプ寝台列車にもいつの間にか追い越されていました。

タイ国鉄公式サイトTRAIN TRACKING SYSTEM

トイレ(タイ式の方)へ行くと、見た目は綺麗なままなんだけどちょっと臭いが出てましたねー。列車の揺れで的が外れちゃう人が多いんでしょうね。

6:08薄曇りのアユタヤ駅です。ホームには人やワンコがチラホラ。隣の欧米カップルはここで降りて行きました。本当ならまだ暗い早朝4時台に到着したはずなんで、彼らにしたらこの遅延は逆にラッキーだったかも。夜明け前の駅で時間潰すのって体力的にシンドイんですよ。
 

列車は遅れを少しでも挽回したいのか、とっとと出発。

 

この辺りで昨日のオバちゃんが「カフェ~カフェ~、オハヨー!」と陽気に言いながら、昨日注文したサンドイッチを持ってきました。このサンドイッチもなかなか美味しかったです。

その後も各部屋を「カフェ~、カフェ~」とまわりながら、そのたびに賑やかな話し声が聞こえてきます。もしかしたら列車の名物オバちゃんなのかも。(列車がもし遅れてなかったらどんだけ早朝にサンドイッチ食べなきゃいけなかったんだろー?)

 

車窓はいつの間にか、バンコクっぽい景色に変っていました。

 

楽しかったはじめてのタイ国鉄寝台列車・ドンムアン空港到着!

 

6:57ドンムアン空港到着。今日はスワンナプーム空港近くに宿を予約したので、ドンムアン空港からシャトルバスに乗るためここで下車します。遅れを取り返すためか列車がスピードをあげていたようで、タイ国鉄サイトでリアルタイム更新される予定時刻よりも早く到着。慌てて下車しました。

 

下車時は車掌さんがニッコリ笑顔でバックパックを降ろしてくれたりして、タイ国鉄の人はみんな陽気で優しかったです。終始無表情だったベトナム統一鉄道の車掌さんとは全然違うな~。

 

この景色を見ると、ああ、バンコクだなぁと思います。

はじめて利用したタイ国鉄寝台列車。料金もそれほど安くないしスピードは遅いし、このご時世の移動手段としてはアレですが、なんといっても列車旅には旅情がありました。

たのしかったなぁ、はじめてのタイ国鉄寝台列車。もう一回くらい乗ってもいいかな。

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