ラダック北の果て・ヌブラ渓谷7【ローカルバスでディスキットから温泉村パナミックへ】

2019年7月29日

パキスタンのすぐ近くパルティスタン地方の小さな集落トゥルトゥクで2泊3日を過ごし、きょうは温泉の湧くパナミックに移動する日です。朝早くにトゥルトゥクからローカルバスに乗り込み乗り継ぎのディスキットには9時30分に到着しました。

トゥルトゥクからディスキットのローカルバスの様子はこちら

さっそくディスキットバススタンドにいたオジサンに次の目的地「パナミック行き」のバスを聞くと・・・

 

「あれだよ」と3台仲良く並ぶバスを指さします。「あれのどれがパナミック行き?」「全部だよ」「全部?3台とも?」「そうだよ」とのことです。なんとパナミック方面へ行くバスが3台同時刻に出発するんだそうです。・・・なんだろう、このトゥルトゥク方面との格差。

 

オジサンによるとバスは14時30分に出発らしく「・・・時間があり過ぎるなぁ」と思っていたら「座席に荷物置いて時間までに戻って来るといいよ」とのこと。実際バスの中を見ると荷物やストールなどで幾つかの座席がキープされていました。

パナミック方面へのバスはトゥトゥク行きのように座席指定のチケット(という名のノートの切れ端)を購入するのではなく、早い者勝ちで席に座り、下車時に運転手さんに料金を支払うシステムのようです。

 

重い荷物をバスに置いてまずは町の食堂で腹ごしらえ。

 

野菜・キノコたっぷりのボリューム満点トゥクパ、おいしかった。

 

まだまだ時間があるので大きな仏像が目印の「ディスキットゴンパ」に行ってみることにしました。ゴンパ目指して歩き始めると、思った以上に距離があった・・・。

 

ようやくディスキットゴンパの上り口に到着。

 

さらに九十九折の坂道を上ります。

 

やっと辿り着いた~~。

 

ディスキットゴンパは見どころが多く、一度の訪問では心残りが多すぎて後日あらためて再訪問しました。ディスキットゴンパの様子は別記事で紹介します。

 

ディスキットゴンパからバススタンドに戻る頃には丁度いい時間になっていました。

 

ガラーンとしていた3台のバスには既に大勢のお客さんが乗っています。私たちもキープしていた席に座り出発を待っていると、何やら熱い視線を感じます。周囲を見回して隣のバスをフト見ると「・・・!!?」なんと、今朝トゥルトゥクのバスが満員過ぎて乗らなかったアリャさんとサンディップさん夫妻が乗ってるじゃないですか!

「どうしたの!?なんでここにいるの!?」「温泉の話を聞いておもしろそうだから私たちも行くことにしたのよ」「そうじゃなくって、バスに乗らなかったのになんでここにいるの!?」と聞くと、勝ち誇ったような表情を浮かべて「ヒッチハイクしてやったのよ・・・アーミーを」「ぇぇぇえええ!!」難攻不落、絶対不可能と噂されるインド軍の車をヒッチハイクできたって凄すぎる。実際私たちもインド軍の車をヒッチハイクした時は全然相手にしてくれなかった。いったいどうやってヒッチハイクできたんだろ?聞けばよかった。

 

バスは予定時間14時30分きっかりに出発。出発時点で3台ともほぼ満席。客層はラダッキのご老人が多いです(ディスキットに病院でもあるのかなぁ?)。トゥトゥク村方面は薄茶色の瞳をしたエキゾチックな顔立ちの人達が多かったのですが、こちらパナミック方面は「あれ?日本の田舎に来た?」というくらい馴染みのある、東アジア風の人多し。ほっかむりしたお婆ちゃんなんて、北東北にいる角巻のお婆ちゃんそのもの。

 

バスはヌブラ渓谷らしい荒涼とした大地を進みます。

 

同じヌプラ渓谷沿いでも軍事施設が点々と続く殺伐としたトゥトゥク村方面とは違い、こちらパナミック村方面は軍事施設がほぼ見当たらず。

 

素朴でのどかな村が点在し、人々が日常の足としてこのミニバスを活用していました。

 

ただインド軍の車列とは何度もすれ違ったので、更に奥に行けば軍事施設があるのかなぁ?

 

通り過ぎる集落には立派な仏塔とマニ車がありました。新しいものから、歴史のありそうなものまで。

 

道路の真ん中に造られた仏塔は、ちゃんと左回りで迂回するように造られていて、道端に仏像が見えれば乗客の多くの人が手をあわせ拝んでいました。

 

乗客の皆さんはかなりマイペースで、長めの休憩停車時間が過ぎていよいよ出発というタイミングで「買い物したい」と言い出してお店に行ったり(なんで休憩中に行かないかな~)、そのお爺ちゃんが買って来たものを見てバスが少し走り出した後に「自分も欲しい」とバスをUターンさせ別のお爺ちゃんが買いに行ったり。

 

飲み水を汲みたいとバスを降りたり。

 

「知り合いが運転手してるバスだ!」と言って、バスを止めさせて・・・

 

延々と立ち話したり。この時はさすがに運転手さんにせかされてました。

買って来た大きなガラスを立て置きにするか横にするか、バスを止めて長々と乗客同士で協議したり。

 

このオジちゃんは新品のネズミ捕りを買ったらしく、嬉しそうに何度もバシャーンと大きな音を立ててミズミが捕まるところを再現してました。

 

オジちゃんに「ネズミ?」と聞くと、寝てる間に顔をネズミが走るパフォーマンスしてました。

 

やがて延々と続く広大な荒野を抜け緑の木々がオアシスのように見える頃・・・

 

16:50温泉が名物のパナミックに到着しました。車掌さんに「温泉のある宿に行きたい」と言ったら村の入り口にある一軒の宿の門の前で降ろしてくれました。車掌さんによると「温泉で泊れるのはたぶん今はここだけだと思う」とのこと。

 

その隣にも温泉を引いているリゾート風の宿があったんですが、そちらは休業中で車掌さんの言う通り「泊れるの温泉宿」はここ一軒だけのようでした。

 

バイバイバス。(この先にも行ってみたいな)

 

ようやく辿り着いたパナミックは、荒涼とした荒野の中にポツンと切り開かれた小さな集落で、人の姿は見えずロバとワンコだけが歩いています。なんとも寂しい場所に来ちゃったなぁ・・・というのが第一印象でした。

 

サンディップさん夫妻は私たちと別のローカルバスで少し先にディスキットを出発したので、既に到着して宿も決まっているはず。「私たちも早く宿を決めようか」というわけで「オアシスゲストハウス」を突撃訪問です。

 

やたら広い敷地に建物がポツン、ポツンと点在するちょっと寂し気な施設で、受付らしき棟に行ってみると若めなラダッキ兄ちゃんたちが数人。「温泉ある?泊まれる?食事もつけてくれる?」と聞くと部屋と浴場を見せてくれました。

 

部屋はまぁまぁ良さげだし、なんといっても浴場が良い。広々浴室が二つあって片方が熱めのかけ流し、もう片方が源泉を冷ました「ぬる湯」で「それぞれを好きな時にいつでも貸切利用していいよ」とのこと。

値段を聞くと「900ルピー+食事代」(むむむ強気な値段を言って来たぞ、よし値切るか)と思っていたら、三昧が「じゃあそれでお願い」とほぼ値切ることなくアッサリ承諾。「なんで値切らないの」と聞くと「だって温泉入り放題よ?」だそうです。

 

ちなみに部屋の洗面台やインド式浴用蛇口も全て熱い温泉利用でした。

 

部屋に荷物を置いてさっそくパナミックを散策です。荒涼とした景色に囲まれ妙にガラーンとしたパナミックは、民家の並ぶ中心部らしき場所に行ってもほとんど人の姿を見かけません。

 

集落のワンコを引き連れて歩いていると向こうからサンディップとアリャさんがやってきた。集落の中心部で一泊500ルピー(食事なし)のホステルにしたらしいです。「で、そっちは?いくら?」「・・・900ルピー」と小さく答えた途端アリャさんが豹変!

「なんですって!900!?旅行者と思ってぼったくってんのよ!これだからインドはダメだって言われんのよ!」とお怒りMax。しまいには「どこよ!?オーナーに会わせなさい!!私がお金を取り返す!」と、静かなパナミックにアリャさんの絶叫がこだましていました。

(やっばり高いよなぁ)と思いつつ「温泉入り放題はそれだけの価値がある」と、温泉好き以外にはいまいち理解不能な理由で説き伏せて、アリャさんによるオーナー襲撃は回避しました。明後日の朝に出るシェアタクシーを予約してレーまで一緒に帰ろうということになり、アリャさん達とはここでいったん解散です。

 

夕方になるとオアシスゲストハウスの中庭に近所の若い子たちが集まって賑やかにクリケットしてた。数組の家族連れや近所のオバちゃんも来てお風呂に入ったりお喋りしている。どうやらココは集落の憩いの場でもあるようです。

 

(集落を囲む山々が夕焼けに染まっている・・・美しい光景だなぁ)さぁ今日から二泊三日、バシスト村以来久々の温泉を楽しむぞ~。

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