インド・幸せの町バーダーミ(Badami)

幸せの国ブータンってあるじゃないですか。私はインドのバーダーミに来て「ここは幸せの町だ」と思いました。金銭的にはぜんぜん裕福じゃなくインフラ整備もまだまだだけど、物質的な豊かさだけでは得られない、おおらかな心と助け合いの精神が大切に受け継がれている町だと思いました。

 

最初にバーダーミに来たときは「なんか、とんでもないとこに来た」なぁんて思い、1泊か2泊くらいで観光が済んだら次の町へ移動する予定でした。ところが妙に人間臭いこのバーダーミが気に入り1週間滞在。

 

気が付けば私はこのバーダーミが4ヵ月旅したインドの中でもベストスリーに入るくらい大好きな場所になっていました。

今回はそのバーダーミを、ちょっとだけ紹介したいと思います。

 

バーダーミってどんなとこ?

インドのカルナータカ州にある小さな町です。

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一言で言うと、びっくりするほど人々が素朴です。それは、ほんわかとした穏やかな素朴さじゃなくて、なんというか変な飾りのない逞しい素朴さです。

 

人々の暮らしや服装も同じカルナータカ州でも大都会のバンガロールとはまるで違う「別の国に来た」と思うほど。ハンピのような欧米バックパッカーに毒された感もありません。

 

バーダーミはまだまだインフラが整ってなく、乾いた道路を土埃舞いあげながら往来する車のクラクションが鳴り響き、その横をたくさんのブタやヤギが走り回り、そしてまだ多くの人が青空トイレで用を足していました。

 

文字を読めない人も一定数いるようで、ATMを操作するときは暗証番号も残高も全てオープンにワイワイみんなで助け合いながら行っていました。

 

バーダーミのフォトジェニックな町並み

バーダーミのバススタンド前を通る大きな通りに面して、宿泊施設や食堂、商店が並んでいます。ここだけみると埃っぽく雑多なインドのよくある景色なんですが・・・

この道路を渡り、バススタンドを背に右側斜め奥へとずんずん進むとガラリと景色は一変します。

 

そこは細い路地が入り組む昔ながらの住宅地で、

 

人々の飾り気のない「普段着の暮らしぶり」を垣間見ることができました。

この住宅地が絵葉書の世界のようで、とーーーっても素敵なんです。

 

カメラをやる人ならシャッターを押す指が止まらなくなりそうな、異国情緒満点の路地が迷路のように続きます。

 

実際に居住してる人たちは、この町並みがどれくらい素敵かわかっているのかどうかは謎ですが、バーダーミはもっとこの景観をウリにすればいいのにと思ってしまうほど。

 

でも欧米バックパッカーに毒されてハンピみたいなチャラい空気になっちゃうのも嫌だなぁ。

 

こちらは共同の水場です。常に水が出っぱなしになっていました。ってことは、どこかで湧いているのかな?もしかしてアガススヤ湖から引いてる??

 

ここに水を汲みに来たり洗濯したり。ちょっとした交流の場にもなってるみたいでした。

 

住宅地エリアに入ると元気な子供たちに囲まれます。「なんて名前?」「どっから来たの?」「歳はいくつ?」と、みんな同時に口々にワアワアと騒ぐからうるさいのなんのって。あまりにテンションが上がって来ると家から大人が出できて「やめなさい!」と制してくれます。

 

ちなみに私の名前はヨーコなんですが、このあたりの子達はいくら教えても「ヨーカン」って発音するんです。全国のヨーコさん、バーダーミでヨーカンって呼ばれに行ってみてください。

 

初めて住宅地を歩いた時は大人たちにジーーッっと凝視されたり、子供たちに取り囲まれていじられますが、何度か行くとみるみる反応が薄くなって、三日もすると大人たちは軽く挨拶、子供たちは「あー、あのオジサンとオバサンがまた歩いてる」くらいの感じになってました。なんとなくここの一員になれたような気がしてちょっと嬉しかった。

 

女の子、カメラを見たら怖がっちゃった。

この住宅地では「スクールペン」とか「チョコレート」とかの、おねだり系の言葉を子供たちが言うと、ちゃんと叱る大人がいます。子供の将来を考えて大人たちが頑張って「良いこと・良くないこと」の分別を教えている印象でした。

 

バーダーミの市場

住宅地の中にある活気ある市場です。

 

トマトの収穫時期なのかなぁ?すっごいたくさん。手前の細長い野菜はなんだろう?

 

細ーーい路地に人がギュウギュウ詰めになってワアワア騒いでいます。

 

何をしてるのか覗いてみたら・・・

 

競り?みたいなことをしてました。

 

ド派手にデザインされた牛様がいました。

 

牛様ご本人は、まさか自分がこんな姿になってることを、たぶん知らない。

 

インドのデコトラ。

 

コンパクトにまとまっているバーダーミ周辺のみどころ

バーダーミには住宅地の横にある大きな貯水池(アガススヤ湖)の周囲にいくつかの見ごたえある遺跡が点在していました。見どころのほとんどが徒歩で行けるコンパクトさもバーダーミのいいところだと思います。

バーダーミ最大のみどころは岩山に造られた見事なバーダーミ石窟寺院群。規模もレリーフも素晴らしくて「なんで世界遺産にならないのかなぁ?」と不思議に思えるほど。世界遺産登録の基準ってよくわからないけど、隣接する住宅地も含めてこのあたり一帯を世界遺産登録すればいいのに。

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2019年5月 バーダーミのバススタンド沿いを走る表通りだけ見ていると、なんてことない(ちょっと薄汚い)インドの田舎町なんだけど、バススタンドから道路を渡って少しだけ斜め右に進むと雰囲気がガラリと変わり、表通りからは想像もつかないフォトジェ

 

バーダーミ石窟寺院群からアガススヤ湖を挟んだ対岸には「バーダーミ考古学博物館」があります。考古学博物館の背後は大きな岩山になっていて、博物館向かって左手から上に登ることができました。岩山からはバーダーミの町が一望。貴重な遺跡も残っています。

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2019年5月 バーダーミ石窟寺院見学の後は、貯水池(アガススヤ湖)の脇を通って散歩がてら対岸のバーダーミ考古学博物館へ向かいました。考古学博物館の背後にそびえる岩山のてっぺんが遺跡寺院と大展望で素晴らしいんです。 ここもバーダーミに行った

 

シヴァ神のために建立されたマハクータ寺もバーダーミで外せない「みどころ」のひとつです。アガススヤ湖の横から散策路を歩いて徒歩1時間半くらい、または乗り合いの車やオートでも行くことができました。歴史ある遺跡寺院としても素晴らしいのですが、バーダーミの子供たちはここのプールが大好き。実際に地元の子達はマハクータ寺を「プールに行く」って言ってました。

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2019年5月 シヴァ神のために建立されたマハクータ寺(Chikka mahakuteshwara temple, Mahakuta)です。ここもバーダーミで外せない「みどころ」のひとつです。 ・・・なぁんて言ってますがバーダーミに来るまで

 

夕暮れの貯水池(アガススヤ湖)はバーダーミ町民の憩いの場

夕暮れの貯水池には、家族や友達で夕涼みする人達があちこちから集まってきます。

ここにいると通りがかった町の人が話しかけてきます。内容はごく普通の世間話。インドの人は他人との垣根がめちゃくちゃ低くて、見ず知らずの人と眼が合うと突如どうでもいい世間話がはじまります。で、一通り自分の話が終わるとス~ッと帰って行くという。

 

ここで立ち話をした仕事帰りの男性は「工場をまかされてるんだけど仕事がキツくて」「40過ぎて独身なんだよ、この間も花嫁候補の女性とランチしたのに、結局嫁に来てくれなかったんだよ」と嘆いていました。その後お嫁さんは見つかった?

 

貯水池のすぐ横にも立派な遺跡がありました。

もう夕方で立ち入り禁止なのか、遺跡に近づく人がいるとセキュリティのオジサンが「ピピーーっ」と激しくフエを吹いて制止します。

 

すると近くで夕涼みしていたオジサン3人組が何かをセキュリティのおじさんに言ってます。「中にもいるぞー」と言ったのかな。

「何い!?」と慌てて遺跡の中を目視するセキュリティのおじさん。そして何かを見つけ、激しく「ピピーーーッ!」とフエを吹き鳴らします。

すると・・・

 

出てくる、出てくる、「こんなにいたの?」ってくらい若い兄ちゃんたちがゾロゾロと。

 

こんな状況でもセルフィする兄ちゃんたち。これがインド流。

 

その後お兄ちゃんたちはセキュリティのオジサンにお説教されてました。

 

バーダーミにいたのは一週間。インドではもっと長くいた街が他にもあったのに、なんでバーダーミがこんなに心に残ったんだろうと、いまも不思議です。
 

移動前夜の結婚行列

2019年5月11日

明日はいよいよ次の街へ移動の前夜、いつもならすべての店が閉まり静寂に包まれる夜22時、突然大音響の音楽が鳴り始め花火も打ちあがり、人々の熱狂的な歓声と口笛が聞こえました。

外へ出てみると、白馬にまたがり伝統的な衣装に身を包んだ男性を囲みながら、ハイテンションになった男性たちがダンスをしながら行進しています。その後ろには、綺麗な衣装に身を包んだ女性たち。

 

なんでも二日続けて行われるウエディングで、花嫁の待つ婚礼会場への行進なんだそうです。「ダンス、ダンス」と誘われて、一緒に途中まで踊りながら行進に参加。明日出発じゃなかったら婚礼会場まで行ったのに。

明日はいよいよバーダーミを離れるのかと思うと寂しいなぁ。

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