インド最後の訪問地ラダックへ(マナリからレーへミニバス移動)

2019年7月18日

ここ最近どんよりと重たい雲に覆われる日々が続いていたバシスト村ですが、この日は珍しく青空が広が見えていました。今夜、約1ヵ月、旅の拠点としてお世話になったバシスト村をいよいよ離れます。景色も温泉も、人も、牛も、犬も、猫達も、素朴で優しく、本当に幸せな村でした。

 

目指すのはさらにインドを北上したラダック地方のレーです!

 

チベットを源流としたラダック王国の地でいまなおチベット文化が色濃く残るとのことで楽しみです。そしてチェンナイから数か月かけて北上してきたインドもこのラダックでひとまずゴールということになります。

移動は例によって乗り合いミニバスで、夜に出発し翌日の午後に着くという長丁場です。チケットはバシスト村の旅行会社でひとり2500ルピーで購入しました。出発は夜遅くなのでお世話になったニューダルマゲストハウスのオーナーさんには夕方にお別れのご挨拶。オーナーさんが「また来年の夏だね」と言ってくれました。

 

真っ暗な中を駐車場に行ってみると、これから一緒に移動するお客さんもパラパラと集まって来ました。前回のスピティ谷行は私達以外全員インド人でしたが、今回はインド人半数・欧米の観光客数人(全員一人旅)、そして私達。私と同年代の一人旅イタリア人オバちゃんもいて「おぉっ!行動力あるなぁ」と思わず感心。昔懐かしのライオンヘアをなびかせたタフなお方です。

運転手さんは今どきの若干チャラめな若いインドのお兄ちゃんでした。かなりハードな山岳ロードだし気になって「ひとりで全部運転するの?」と聞いたら「そう」とのことです。この時のお兄ちゃんの様子を見て「おや?」とあることに気が付きましたが、それは後ほど。

それではいよいよ出発です。一か月お世話になったバシスト村、また来るよ!

 

↑途中のドライブインにあった、マナリからレーへのルート図。

マナリからレーまでの走る予定の道をGoogleマップで見ると約456km、車で約12時間。マナリから山を上りバルカンから峠道へ。ロータン峠を経由してグランフーで505号線に合流、北上して3号線に至るルートで道中断崖絶壁山岳道路を走り5000mの峠を越えます。

外は暗かったので走り始めるとみんなスグに寝てしまいました。どれくらい走ったか、まだ序盤のマナリ近くの峠道で車が停車。ドライバーのお兄ちゃんがビックリした顔で何か凝視、そしてスマホで撮影しています。(・・・ん?)と見ると・・・

 

ありゃー事故ってる。塗れた路面で滑っちゃったのかなぁ。でもドライバーさんいない。ってことは大丈夫だったのかな?

 

5:20外か薄っすらと明るくなり始めたころ、チェックポイントに到着です。

 

ここでひとりひとりパスポートチェックを受けました。このパスポートチェックは通常も行われているかわかりません。というのも実はこの時、これから向かうジャンムー・カシミール州は世界を賑わせたあの歴史的な騒動の前夜で、軍事的にかなりピリピリとした緊張の中にありました。

 

早々にパスポートチェックが終わったので、お店でチャイでも飲みながら他の人が終わるのを待ちます。

 

目覚めの甘いチャイがおいしい。

 

今日お世話になっている車です。

 

5:50全員のチェックが終わったので再び出発。険しい山岳地帯の中に点々と小さな集落が現れます。こういうところで暮らすのは大変だろうなぁと思いつつ、ちょっと憧れる。

 

7:35またチェックポイント。スピティ谷に行くときはこんなにチェックポイントなかったよぉ。

 

そしてレーに向かうこのルートは軍関連の車両が多いです。

 

ここでおトイレだけお借りしました。インドの北部に来るとこのタイプの簡易的なトイレが多いです。

 

レーへの道は道幅の狭い険しい山岳道路ですが、舗装されている個所が多いぶん体力的には楽でした。

 

でもあんな大きなタンクローリーが走るにはちょっと道が狭いか。

 

出ました水地獄。スピティ谷に続いてここでも登場。ゴロゴロ石でスタックする車続出の中、うちのドライバーお兄ちゃんは華麗なハンドルさばきで一発で通り抜けました。「ナイス!ナイス!」とみんな大喜び。

 

水地獄の後はぐんぐん標高をあげていきます。・・・どれ、何メートルかな?4177mかぁ。このルートの最高高度は5000m越えらしいからまだまだ。

 

残雪でゼブラ模様の山の上に湖がありました。晴れてたらキレイそう。

 

9:40湖のほとりのドライブインで休憩。夏だっていうのに天気が悪いからとても寒いです。

 

ここで小腹満たしのオムレツとチャイを注文。

 

もちろんトイレもお借りします。停まるたびにトイレは行くようにしてます。荒野の中の小さなトイレ。鍵が壊れて扉が全開状態なんでイタリアオバちゃん(同年代)と扉を押さえつつ交代交代で用足し。この扉、早く直さないとそのうち強風で吹っ飛ばされるよ。

 

休憩の後はV字に深く切れ込んだ渓谷沿いの細い道を進みます。ガンバレ兄ちゃん。

 

ガードレールなんて無いから落ちたら嫌だな。ドライバーの兄ちゃんを信じるしかない。

 

11:24またまたチェックポイント。軍事車両も多いしこの先のレーってとこは何か特別な場所なのかなぁ。

 

レーへの道がスピティよりも圧倒的に整備が進められているのは軍事車両や軍事関連物流をスムーズに動かすためのような気がしてきた。

 

再び渓谷沿いの道です。道幅狭くて嫌な感じ。

 

・・・・・!?

 

あのタンクローリーどう見ても落ちたばっかりだよね!?ドライバーさんの姿は見えないけど私物と思われる荷物は外に運び出されてる。ってことはドライバーさんは大丈夫だったのかな?

 

こんな狭くて不安定な山岳路を走らなきゃいけないなんて、本当に命がけで大変な業務だ。

 

14:16またまた休憩です。いまどの辺だろう?レーはまだかな?

 

寒いのでお店の中に入ります。

 

お店にあった毛布にくるまりながら、きょう何敗目かのチャイ。

 

外に鳥の餌台があって、鳩と嘴の黄色い九官鳥みたいなのがいました。

再び走り始めます。レーに近づくとますます軍事施設が増えました。この辺りはパキスタンと中国の国境に近いから、かなりデリケートな地域なんだと思います。あのチベットもこの先にある。

 

またまた峠を上ってます。今度はなかなかの上りっぷり。

 

うおっ!標高5000m越えてるよ。このぐらいの高度だと高山病症状が出る人がひとりふたりいそうだけど、乗客みんなピンピンしてる。

 

雪だーー。雪だよーーーー。

 

これ、ヤバくないかい?この車ってノーマルタイヤだったんじゃないの??・・・の心配をよそにドライバーのお兄ちゃん難なく峠を通過。

 

ヤギ様の群れが通せんぼ。ドライバーのお兄ちゃん、ヤギとかヤクとか馬の放牧群れが通るたびに珍しそうにスマホで撮影してる。運転中のスマホは日本だと罰金もんですがここはインドなので(たぶん)問題なし??

 

あっ、いつの間にかジャンムー・カシミール州に入ったみたいよ。

 

17:48ワンコがたくさんいる小さな田舎の町に到着。ここでまたまたパスポートチェック。どうやらレーにはこうまでして守りたい(軍事的な)秘宝があるのかもしれない。

 

19:00どうやらレーの中心部に到着したようです!ここに来るまでに乾いた大地の中に立派なゴンパ(仏教施設)や仏塔がいくつもあって「いよいよ来たなぁ」と感じました。

 

レーの中心部でちょっと迷いつつバススタンド到着です。

到着したレー・バススタンドをGoogleマップで見る

 

お兄ちゃん、ハードな道のロングドライブ本当にお疲れ様!ここで最初にお兄ちゃんと話したときから気になっていた質問をしてみました。「マナリからレーのこの道路走るの初めてでしょ」「そう初めて」「なんでわかったの?」「最初に話したとき不安そうだったから」

という私たちの会話を近くで聞いていた他のお客さんが「ん?いま何て言った?」「初めてあの道を通ったの!!」「・・・・えーーーーーっっ!!なんで先に教えてくれなかったの!?」と大騒ぎになってました。

 

そんなワケで無事レーに着きました。・・・が本当の試練はここからでした。まだ明るいけれどもう夜19時過ぎ。この時点でまだ今夜の宿が決まってませんでした。「観光地だし現地ですぐに見つかるでしょ」と思っていたら、ゲストハウスやホステルを何軒まわってもフル!フル!!フル!!!この時期のレーは一番の観光シーズンで宿泊施設がかなりタイトであることを現地ではじめて知りました。

 

「困ったね」とバススタンドから1kmほど歩いた大きなマニ車のベンチに座っていると「あなたたち日本人よね?宿を探してるの?」とラダッキの肝っ玉母ちゃんに声を掛けられました。「うちも宿をやってるから来なさい」これはありがたい!とついていくことにしました。

しょんぼり座ったマニ車をGoogleマップで見る

 

そこは仏塔群の近くに位置するちょっと広めな庭のあるお宅で、ゲストハウスの看板が門の裏に隠してあります。女将さんによると「若い騒々しいのが来ると大変だから看板を隠しているんだよ」「日本人は部屋を綺麗に使ってくれるしマナーがいいから好きなんだ」とのことでした。

 

ペンションのようなアットホームな宿で娘さんが美味しいチャイをいれて迎え入れてくれました。他のお客さんと数人会ったけれどみんな年齢層高めだった。みんな女将さんにスカウトされてきたのかな?

 

ようやく部屋で休むことができてホッと一安心。あーー本当に着かれた。長い移動だったなぁ・・・。窓の外には真っ白な仏塔がいくつも見える。どこからか哀愁を帯びたアザーンが聞こえる。

それでは、おやすみなさい。

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