ラダック北の果て・ヌブラ渓谷8【インドの温泉場パナミック・温泉とスモールレイク】

2019年7月29日~31日

インド北部ラダックのレー滞在中、一週間かけてヌブラ渓谷沿いを旅しました。まず最初に訪問したのがパキスタンとの国境近くに位置する小さな集落トゥルトゥク、そして次に温泉の湧くパナミックにやって来ました。

 

同じヌプラ渓谷沿いでも先に2泊したトゥトゥクは「インドで外国人が訪問できる一番パキスタン寄りの集落」というレア感からか、集落にはイスラエル人観光客(みんな若い!)がいーーっぱい。ところがこのパナミックには、あれほどいた観光客をまったく見かけません。

 

インドでは珍しく温泉浴場がある集落なのに・・・みんな温泉にはそれほど興味ないのかなぁ?

 

パナミックは、荒涼とした険しい岩肌の間を流れるヌプラ渓谷沿いに、突如現れた緑豊かなオアシスのような集落です。

 

ディスキット方面から来ると集落入口の岩場に温泉の源泉地帯があり、その周辺に温泉を引いた宿や公衆浴場があります。メイン通りを更に先へ進むとちょっとした集落になる・・のかなぁ?

というのも温泉地帯から歩いて最初にある雑貨屋さんまでは何度か行ったものの、ポツンポツンと家やゲストハウスがあるだけで、これといった住宅地が見当たらなかったんですよね。もっと先やヌブラ渓谷の対岸に行けば住宅地があったのかな?

 

ヌブラ渓谷の向こうに壁のように連なる山々や、遠く雪を被った高山まで見渡すことのできるナイスビューな集落です。夜になれば空には落ちて来そうなほどの凄い星空が広がりました。

訪問した2019年7月時点でパナミックへの通電は夜19時頃から23時まで。通信環境もエアテルとボーダフォンは使えませんでした。情勢や気候に大きく左右され、物流も乏しく人々の暮らしは厳しいものだと容易に想像ができました。ただ顔があえば誰もが「ジュレ―!(こんにちは)」と声をかけてくれ、村人はみんな優しく穏やかなパナミック村でした。

 

パナミックの見どころ1・温泉

パナミックには「温泉」「スモールレイク」「ゴンパ」の三つの見どころがあり、私達は温泉とスモールレイクを観光しました。

本当はゴンパも行きたかったんですが、聞くと集落の端から5㎞ほど奥へ行った先の橋を渡り、更にヌプラ渓谷の対岸を5㎞戻った場所にあるらしい。歩いて行けなくはない距離だったけれど、暑さと野犬に怖気づいて徒歩は却下。さらに地元の人の「タクシーを頼むと1000ルピーくらい取られるかもよ」の言葉にビビり、ゴンパ訪問はやめました。

 

パナミックには温泉入浴施設として、崖の上にある村の共同浴場と、私達が今回宿泊したオアシスゲストハウスがあります。両隣にも温泉を引いてそうな宿泊施設っぽい建物がありましたが訪問時は休業中でした。

 

パナミック共同浴場

パナミックのメイン道路からザレた坂道を上ると共同浴場です。途中には「いつからあるんだろう?」と思う古いマニ車があったりして、パナミックの歴史の古さが伺えました。

 

パナミック共同浴場、訪問時はひとり30ルピーでした。

 

高台にあるので、とんでもなく眺めがイイです。

 

浴室は男女別にわかれています。ただあまりに熱すぎるためか、地元の人が入りに来る気配がありません。

しかも男性側の浴槽の構造がかなり変なんです。掛け流しは掛け流しなんですが、浴槽の排湯口が下過ぎて腰湯程度しかお湯がたまらないという・・・。女性側は普通に浴槽の上部に排湯口があるのに、なぜに男性側はこの構造??

詳しくはパナミック温泉共同浴場の記事をどうぞ。

 

そんなこともあってか、むしろ宿泊していた「オアシスゲストハウス」の浴場の方が、地元の人に共同浴場的に利用されていました。オアシスゲストハウスは「熱い浴槽」と「ぬるい浴槽」のどちらかを貸切利用できるのが人気みたい。中庭は地元の若者たちのクリケット場になっていたり、夕方になるとどこからか集まって来るご近所さんのお喋りの場になっていました。

オアシスゲストハウスの詳細記事はこちらをどうぞ。

 

パナミック温泉共同浴場の食堂

パナミック温泉の共同浴場には食堂も併設されていて、ほがらかな女性達が作る美味しいモモやトゥクパをいただけました。

 

源泉湧出地見学

温泉の源泉地は崖の斜面にあり、大きくわけて二か所ありました。ひとつが集落の共同浴場の真裏です。

 

触るのもツライ激熱湯が湧出し、それをすぐ下の共同浴場にバンバン投入するので浴槽湯は温泉玄人向きの激熱湯になっていました。

 

そしてもう一つの湧出ポイントが、私達の宿泊した「オアシスゲストハウス」から道路を挟んだ山の斜面にある源泉地です。ゲストハウスの部屋からもよく見えます。あの源泉地から宿まで激熱湯を引き湯し、浴槽湯や館内のありとあらやる蛇口や利用しています。

 

こちらの源泉地へは、パナミック共同浴場の横から崖沿いを源泉地方面へ伸びる道から行くことができました。オアシスゲストハウス向かい辺りからも直登できましたが、ザレた斜面を歩く個所もあって足をとられて結構滑ったなー。

 

岩肌を覆うように流れ落ちる源泉が見事です。

 

多くは激熱湯ですが、ところどころ適温ポイントがあり人がひとり浸かれそうな謎の湯升もありました。

 

源泉地の下段には、フェンスで囲まれた「ミニ湯畑」もあって、その湯を地元の人達が毎朝お湯を飲みに来ていました。話を聞くと「体にいい」ってことでした。

パナミックの源泉地見学の詳細はこちらの記事をどうぞ。

 

パナミックの見どころ2・スモールレイク

宿泊したオアシスゲストハウスのお兄ちゃんが「鏡みたいに本当に美しい所だから行ってみた方がいい」「ゴンパよりもこっちを見てほしい」と強烈にプッシュするので行ってみました。

スモールレイクへの入り口は、パナミックの温泉地帯から数キロ(3㎞くらいだったかなぁ?)ディスキット寄りにあります。「買い物に行くから途中で降ろしてあげるよ」ということで、お言葉に甘えて車に便乗。

 

降ろされたのは、なーーーんにも無いがらーーんとした荒野で、メイン道路から枝分かれした小道が出来ていました。

 

灼熱の太陽が降り注ぐ中をどんどん進みます。この非現実的絵画のような景色が凄い。

 

標高が高く空気が汚染されていないぶん、空の青や、植物の緑が鮮やかです。

 

周囲の岩肌の陰影もくっきり。

 

この白くなっている部分は何だろう?

 

この結晶もしや塩?舐める勇気はなかった。

 

やがて湖・・・というより沼地に到着。お兄ちゃんが言っていたより随分早く到着した。もしかしたら本当のスモールレイクとは違う別の所に来ちゃった気がしないでもない。ここはここで、とても綺麗だから、まぁいっか。

 

周囲の山々や空を写し込んで鏡のようです。個人的にはパンゴンツォよりこのスモールレイクの方がかなり心に残りました。

 

牛がのんびり草を食んでいます。「ほほぅ、ここでピクニックしたら気持ちよさそう」(ただむちゃくちゃ暑い)

 

メイン道路をよーーく見ると、いつの間にかインド軍の車列が。トゥルトゥク方面ではインド軍の車列をたくさん見かけたけれど、こちら側では初めて見た。

 

それにしても暑い・・・。日差しを遮るものが無いからジリジリと皮膚が焼けるように暑いです。あまりに暑いので早々に撤収します。

 

帰りは炎天下の道路をとぼとぼと歩いて戻りました。ひたすら真っすぐなので迷う心配はありません。

 

こんな乾いた地にも植物が。逞しいなぁ。

 

ラダック名物観光ライダーのアニキたち。

 

パナミックの集落を守るワンコたち

インドの集落でお馴染みのワンコはあまり多くないです。私達の滞在した温泉場界隈をテリトリーにしているワンコグループは、人に危害を加えるような子はいなく、中にはめちゃくちゃ人懐っこい子もいます。皆にかわいがられているんですね。

 

温泉湧出地を見に行くといつも同じ顔ぶれの三匹のワンコが護衛をするようについて来て、見学している間は私達のそばで寝たりしていました。この他に普段は三匹とは群れず、いつもメイン道路に一匹でいるワンコもいます。

手前の黒いのが最年長、真ん中の茶色いのが中高年(一番人懐っこい)、奥の白っぽいのが若手。

このワンコ達の凄さを知ったのは、遠くの荒野の方から野犬グループが集落に向かって来たときです。明らかに地域外の野犬が群れでやって来るのが見えて「うわ~襲われたらどうしよう」とかなり冷や汗をかきました。

 

すると三匹のワンコがサッと立ち上がり、凄い勢いで崖を猛ダッシュ。一番若いのが先頭きって駆け下り、アッという間にメイン道路を疾走。その後を年配2頭も頑張って応戦。

 

やや遅れてメイン通りの一匹も加わって、あっという間に野犬を追っ払ってました。

 

あの光景は凄かった。あのワンコ達がいるから野犬が集落に入って来れないのかぁ。

 

こうしてパナミックの二泊三日は、ゆる~く過ぎてゆきました。

 

→次回は予約したシェアタクシーに乗り遅れてヒッチハイクでディスキットを目指します(:_;)

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